動物のおやつはスーパーの廃棄野菜 「ニフレル」の取り組み 捨てる食品が1割減ってカピバラもワオキツネザルもハッピー 【カンテレSDGsウィーク】 2023年11月22日
大阪府吹田市の「ニフレル」は、動物を間近に観察できるユニークな展示で人気を集めている「生き物のミュージアム」です。
「うごき」にふれるゾーンでは、動物たちがヒトとの垣根なく自由気ままに過ごしています。
■生き物たちのエサに“あるヒミツ”
この「ニフレル」、周辺の環境を生かすSDGsの取り組みをしています。ポイントは「エサ」です。
エサの時間、カピバラがむしゃむしゃと小松菜をほおばります。ワオキツネザルもクンクンとエサに興味津々な様子です。このエサに、ある“ヒミツ”があります。
この1時間前、私服に着替え、かごを持ってニフレルを出る飼育担当の職員の姿がありました。
向かった先は、ニフレルに隣接しているショッピングモールです。 業務用の扉の向こうに消えた職員が数分後に戻ってくると、空だったカゴがパンパンになっていました。
(‐Q:何が入っていますか?)
【ニフレル飼育担当 松岡亮治さん】
「かごの中に入っているのは、イズミヤさんからいただいた廃棄野菜です。これが動物たちのエサになっています」
■エサはスーパーの“廃棄食材”
飼育担当の職員が向かった先は「デイリーカナート・イズミヤ」というスーパーマーケットだったのです。
通常、店頭に並んだ野菜や果物で時間が経ったもの(売れ残り)や、加工の過程で取り除かれたものは廃棄食材として処分されます。この「廃棄食材」は、人の判断基準で捨てるものであって、生き物にとっては栄養のある部分もあります。これをエサとして活用しています。
廃棄野菜を動物のエサとして利用する…「ニフレル」とスーパーが同じ敷地内にある環境だからこそできる“SDGs”な取り組みです。
この取り組みにより、こちらのイズミヤでは廃棄される食品が1割ほど減りました。
■生き物たちも“廃棄食材”のおやつに大喜び
職員は「ニフレル」へ持ち帰り、さっそく中身を確認します。
【ニフレル飼育担当 松岡亮治さん】
「きょうは、白菜と大根と小松菜とバナナがメイン。トマトも入っていました。季節によって様々で、今の時期なら柿が入っていて。柿、(生き物たちが)食べられるかチェックします」
カゴの中には7キロの野菜や果物が入っていました。
生き物たちにとって害がないかをチェックし、今回は、おやつとして白菜と小松菜、柿を与えることにしました。
早速、おやつに気が付いたワオキツネザルが「もう待ちきれない」と集まってきました。
置かれた白菜もカピバラがきれいに食べていきます。
【ニフレル飼育担当 松岡亮治さん】
「白菜とか小松菜とかはカピバラが食べてくれて、ワオキツネザルが白菜にも少し興味を示してくれてよかったなと思います。もうなくなっちゃいましたね」
■環境・生き物・ヒトにいいことづくし
実は、食品ロスを減らすだけでなく、生き物が生活する上でもプラスの要素があります。
生き物たちは、同じ時間に同じものばかり食べると、エサに興味を示さなくなり、必要なエネルギーが取れなくなることがあります。
廃棄野菜でエサのバリエーションを増やし、決められたエサの時間以外におやつがあるという環境の変化が、生き物たちにとって刺激になります。そうすることで、飽きずにエサを食べて栄養を取ることができるのです。
さらに、飼育担当の職員にとっていいこともあります。
【ニフレル飼育担当・松岡亮治さん】
「スイカや柿など、1個、2個買うだけなら買いづらくて、あげることができなかったりするんですが、廃棄野菜としていただけると、(エサの)レパートリーが増え、何が食べて良くて、何は食べられないのかという勉強にもなるので、とてもいいきっかけかなと思う」
環境にとっても、生き物にとっても、飼育するうえでも、いいことづくしの取り組みが広がればいいですね。
持続可能な社会のために世界中で2030年までに達成しようと取り決められている17の目標をSDGsといいます。 今週は「カンテレSDGsウイーク」。SDGsに関することを紹介していきます。今回、取り上げた「廃棄野菜をエサに」は、12番の「作る責任、使う責任」にあたる取り組みとして取材しました。
(関西テレビ「newsランナー」2023年11月21日放送)