パレスチナ問題が混沌とするなか、中国の習近平国家主席がアメリカ入りしました。16日に行われる米中首脳会談が、今後の国際情勢に大きな影響を及ぼしそうです。 約1年ぶりの米中首脳会談。バイデン大統領、習近平国家主席、2人が挑む“大一番”について、ジャーナリストの近藤大介さんに聞きます。
■それぞれの思惑
なんと、中国がアメリカにラブコールを送ったそうです。アメリカとの関係を12文字で表現したそうです。
・相互尊重
・和平共処(平和共存という意味)
・合作共勝(ウィンウィンの関係を意味)
【近藤大介さん】
「中国はプライドの高い国ですので、アメリカに助けてくださいとは言えないわけです。なので、お互いに平等で尊重するとか、平和的にやろうとか、協力してウィンウィンを築こうと中国式の言い方をしました。太平洋を東西に分かつ、世界の2大国家・経済大国であるということ、それからGDPが世界の1/3、人口が1/4、両国の貿易額は1/5を占めるという、最も重要な2国間関係だと示して、アメリカにとっても中国は重要な国だというところを示したいというのが中国の狙いですね」
助けてほしいけど、対等な大国だというアピールをするのですね。 中国側にとっては今回の首脳会談で何を得ると成功と言えますか?
【近藤大介さん】
「昨年の例では、あまり大きな合意はありませんでしたが、バイデン大統領が9つのことを認めたと、中国側で一方的に発表しました。なので今回も、会談は多分4時間以上やると思いますが、中国側に都合のいい部分をピックアップして、バイデン大統領がいくつの合意をしたんだということを発表すると思います。例えば、台湾の独立は支持しないとか、米中のデカップリング・分断も支持しないとか、中国側の都合のいい部分をピックアップして大きく発表していくんだろうと思います」
■中国は中東へ影響力がある?
では、アメリカが中国に求めるものとは ? それは「イスラエル軍とハマスの戦闘を止めたい 」です。 イスラム国家に影響力を持つ中国に期待が大きいということです。そもそも中国はイスラム国家に影響力が大きいのでしょうか?
【近藤大介さん】
「大変強い影響力を持っております。と言いますのも、アメリカが中東の石油をだんだん必要としなくなってきており、中東から引き始めています。そこに中国が入り込むというような情勢があります。例えば、2022年12月に習近平主席はサウジアラビアに行き、中東など21か国の首脳を集めて、第一回中国中東諸国サミットを開きました。そこで8つのことをこれからやっていくということで、中国中東運命共同体という宣言をしました。そしてほとんどの国が、中国が最大の貿易相手国です。やはり中国が牽引して行くという形が、このところ顕著になってきています。なのでバイデン大統領としては、イスラエル・ハマス紛争を解決するには、中東の国がハマスを支持して中東戦争になってほしくないわけです。そのためには中国の協力・助力が必要だということだろうと思います」
中国はイスラム諸国に影響力はあるということですけども、説得することはできるのでしょうか?
【近藤大介さん】
「一回で決まらないにしても、例えば平和共存のための枠組みとか、平和共存の為の多国籍の会議を開くとか、中国にも協力してもらってそういったものを開くとか、あるいは中国に特に強い影響力を持つイランに対して、これ以上、手出しをしないようにとか、いくつか要求をしていくんだろうと思います」
■アメリカの思惑に協力することで中国側にメリットはあるのか?
中国独自のルートで停戦に向けて動いていくのであれば、それにはメリットも必要かなと思いますが、そのようなメリットはあるのでしょうか?
【近藤大介さん】
「中国としては、経済分野でのアメリカの妥協というのを求めています。言ってみれば経済と中東の抱き合わせみたいな形ですね」
それでウィンウィンの関係を狙っているということですね。
【近藤大介さん】
「そうですね。実は2001年に似たような例があり、911事件です。アメリカが中東に10年を費やすことになり、中国の協力を求め、中国はそれに応じたということがありました。その時はWTO世界貿易機関の加盟とか、北京オリンピックの開催とか、上海万博の開催とか、様々なことをアメリカが妥協しました。なので今回もある程度のその妥協というのは起こると思います」
経済的制裁を緩めるといったことは、比較的成果が出やすいと思いますが、イスラエルとハマスの戦闘というのは非常に複雑で歴史も長く、中国が一定の働きかけをしたとしても充分な成果が得られるかどうか分かりません。成果が得にくい中でどれほど中国が動くのかというのはどのように考えますか?
【近藤大介さん】
「1993年にオスロ合意というものをクリントン大統領が仲介しています。これはイスラエルという国とパレスチナという国を作る、共存させるということでした。それを今、イスラエルが破っているわけです。中国はずっとこの二国共存を早く認めるべきだと言っており、実はバイデン政権も同じことを言ってるんです。目標目的は米中一致しているので、そこに向けて米中の協力が今後行われていく風になると思います」
という米中首脳会談が注目されていますけれども、日本も中国との首脳会談を行うべく調整しています。
■日中首脳会談は開催自体が未定
ここで視聴者からラインで質問が来ています。
‐Q:中国の台湾侵攻はとめられるんですか?
【近藤大介さん】
「2024年1月13日に台湾の総統選挙、大統領選挙にあたる選挙が行われます。今4人の候補が立候補しているのですけれども、野党の3候補が、実は今日、合意に達して統一候補を決めるということになりました。そのため非常に接戦になるんだろうと思います。蔡英文総統の後継者である頼清徳副総統が総統になれば、一段と中台はヒートアップしていくと思います。もし野党の統一候補が勝てば、中台の関係はすごく良くなっていくんだろうと思います。なので台湾侵攻は可能性が減ることになると思います」
世界が注目する米中首脳会談で何が話し合われ、それにより何かが動くのか注目されます。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月15日放送)