11月23日に予定される阪神タイガースとオリックス・バファローズのリーグ優勝を祝うパレード。しかし今、開催地の大阪と兵庫では、その「費用」をめぐって暗雲が垂れ込めています。
6日夕方、突然報道陣を集めた吉村知事。「緊急発表」の内容は…
【大阪府 吉村洋文知事】
「まだまだクラウドファンディング、高い目標を掲げてやっていますので、ぜひご協力をいただけたらと思います。みなさん、よろしくお願いします」
23日に行われる阪神とオリックスのリーグ優勝パレードは、大阪の御堂筋と、神戸の三宮周辺で行われます。おめでたいイベントのはずですが、開催地の大阪・兵庫が頭を悩ませているのは、5億円もの“開催費用”です。
【記者リポート】
「目標金額は5億円となっていますが、現在約6000万円ほどしか集まっていません」
10月18日からクラウドファンディングによる寄付がスタートし、キーホルダーなど金額に応じた返礼品が用意されていますが、募集期間が残り3週間となった今も、目標の1割ほどしか集まっていません。 街で聞いてみると…
【街の人】
「関西人は無料でなんぼなので」
「ええ!5000円でそんな小さいキーホルダー?せめてカレンダーとかね、なかなか手に入りませんから」
■大阪・神戸で交互に行うことや警備強化のため開催費用“5億円”に
そもそも開催費用はなぜここまで高いのでしょうか。18年前、阪神が前回リーグ優勝を果たしたときのパレード費用は1.5億円で、ほとんどを企業からの協賛金で賄っていました。しかし、今回のパレードは、大阪と神戸で交互に行われる大規模なものになっています。
また去年、韓国・梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故などを念頭に、警備体制を強化するための費用も高額になっています。 大阪府・大阪市は、職員3000人の“ボランティア”としての参加を見込むなど、内部にも負担をかけていますが、それでも開催費用は18年前を大きく上回る5億円となっているのです。
本当に5億円が集まるのか、不安が募る中、仮に寄付が集まらなかったら、税金投入となるのか?と問うと…
【大阪市 横山英幸市長】
「税を投与するという考え方は今時点で持っておりません。今時点というか、持っていないです。引き続き1人でも多くの方にクラウドファンディングをお願いしたいと思います」
【兵庫県 斉藤元彦知事】
「現時点では県費は投入しないという方向。企業の協賛金を(お願いするため)、今、一生懸命回っているので。最大限努力していく」
なかなか集まらない寄付に、焦りも見える大阪と兵庫のリーダーたち。2週間後のパレードは、どうなるのでしょうか。
■「地域の最大のアピール、行政がちょっと出しても」とジャーナリスト・鈴木哲夫さん
59年ぶりに関西ダービーが実現して大いに盛り上がりましたが、お金となると話はまた違ってくるようです。 現在のクラウドファンディングの状況は、 ・優勝パレードの開催費用、目標金額を5億円としてクラウドファンディングを実施していますが、現在までに集まっている金額は約6000万円 ・大阪府の吉村知事、「費用については府費を投入しない。ファンと府民の皆さんからの寄付と企業からの協賛金でやっていく」と話しています 開催費用に税金を投入するつもりはないとのことですが、安全に開催するための警備費などが削られることがあってはなりません。この点について、大阪市の横山市長は8日、記者の質問に答えて、「予定通り開催できるようにする」と繰り返すだけでした。盤石な体制で開催することが、大阪府や兵庫県には求められます。
関西テレビ「newsランナー」コメンテーターの鈴木哲夫さんは、「ファンは球場に駆けつけてお金を払い、グッズもいっぱい買って、さんざんお金を出してきているわけです。(パレード費用は)企業の協賛金が一義的には考えられます。やっぱりスポーツと地域の関係、これだけ全国に『大阪』『甲子園』と印象づけて盛り上がった。ライオンズファンの僕もやっぱり大阪決戦を見ましたから。それを考えたら行政が少し補助してもいいのではと思います。警備に関して警察も出るでしょうけど、こういうところで余計にかかる費用は行政が出すとか、地域の最大のアピールになるので、出してもいいかと僕は思います」
素晴らしい戦いを見せてくれた阪神とオリックスの優勝をお祝いできるようなパレードになればと願うばかりです。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月8日放送)