経済産業省は6日、仕事と介護の両立に向けて、専門家などでつくる検討会を立ち上げました。
6日午後5時から経済産業省で「企業経営と介護両立支援に関する検討会」の会合が開かれました。経済産業省は、仕事をしながら親などの介護をする人が、2030年には318万人となり、労働生産性の低下などによる経済損失が、およそ9.2兆円に上ると試算しています。検討会では、介護を企業の経営上の課題としてとらえ、従業員への支援策を示した企業向けのガイドラインの作成に向けて議論を行います。
■研修や相談窓口の設置などが想定される
支援策としては、介護制度についての知識を深める研修を従業員に対して実施することや、社内に個別の相談窓口を設置することなどが想定されています。 近年、介護を理由に仕事をやめる「介護離職者」は、年間10万人前後で推移しています。企業による支援を充実させることで、望まない「介護離職」を食い止める狙いです。経済産業省の担当者は次のように話します。
「親の介護というのはどなたでも生じ得る話ですし、働き手が限られている、しかも、介護が発生すると労働生産性も落ちてしまう。ここの問題がすごく深刻だと思っていまして、企業側にとっても、企業活動に影響するような問題。そういった側面で、経産省が取り組むいる意義があるかなと思っています」(経済産業省ヘルスケア産業課・水口怜斉課長補佐)
■当事者は…介護のため夫婦で交互に在宅勤務
こうした国の動きを、実際に仕事と介護を両立する当事者は、どのように受け止めているのでしょうか。
小島さんは、勤務先では長らく人事部門に在籍しています。企業向けのガイドラインの作成については、「個人としてはありがたい」と話す一方で、企業側からみた対応の難しさも指摘します。
「自分自身は本当にありがたいことだなと思います。一方で企業はすごく大変だろうなっていうのも実感しています。従業員の方から相談を受けた時に、どういうふうに対応していくのかなっていうことを考えますと、特に現業工場ですとか、セールスやっていらっしゃる方ですとか、お客様に直接、フェイス・トゥ・フェイスで接しないといけないような方って、会社としての対応も厳しいというふうに思うんです。本当に、本当に難しい問題だと思うんですが、無理だからと言っちゃたらそれで終わりなので、(今回の国の動きは)考えるきっかけになると思いますし、育児で休みをとるのが当たり前になっているように、介護についても同じようになってくれればいいと思っています」(小島麻紀子さん)
経済産業省は、大企業と中小企業では、取り組める支援策にも差が出てくるとして、ガイドラインの中身について慎重に検討した上で、今年度末までにガイドラインを作成し、企業に速やかに周知する方針です。
(関西テレビ 2023年11月6日)