気象庁は10月24日、11月からの3カ月の予報を発表しました。この夏は、異常な暑さとなりましたが、この冬も、例年とは少し違うようです。
本格的な冬の訪れを前に、神戸市の六甲山小学校で毎年恒例の「ストーブの火入れ式」がありました。小学校は、朝夕の冷え込みが厳しい標高約800メートルの場所にあり、毎年、霜が降り始めるといわれる「霜降」の日に合わせて、児童が昔ながらの道具を使って火を起こし、ストーブに点火していきました。
10月も後半となり、少しずつ肌寒くなってきました。 ところで、今年の冬は「暖かい」のでしょうか?それとも「寒い」のでしょうか? 気象庁は24日午後、11月から2024年1月までの3か月の予報を発表しました。
【気象庁大気海洋部・楳田貴郁所長】
「簡単にいえば、暖冬の予報です。全国的に高温または高温傾向という予報になっています」
向こう3か月の気温は、西日本や東日本では平年より高い日が続くと予想されるとのことです。
その理由は…
【気象庁大気海洋部・楳田貴郁所長】
「エルニーニョの影響がはっきり出てくるという予報でして、12月以降は特にはっきりと出てくる」
「エルニーニョ現象」とは太平洋赤道域東部で海面水温が平年より高くなる現象で、ブラジルのアマゾン熱帯雨林では干ばつの被害が深刻化しています。 エルニーニョ現象が起これば日本列島への寒気の影響が弱まり、暖冬になる可能性が高くなるのです。
‐Q:エルニーニョの強まり方は?
【気象庁大気海洋部・楳田貴郁所長】
「現時点では、過去5番目ぐらいの(規模)。この後も、若干上昇する可能性はあります」
この冬はどれぐらい暖かくなるのでしょうか?気象予報士の片平敦さんの解説です。
【片平敦気象予報士】
「今年は9月ぐらいまで夏の暑さが記録的でしたが、今の気温がほぼ平年並みです。この時期の普通の気温です。来月からはどうなるのかということですが、真冬が近づくにつれ、あまり冬らしくない状況に近づいていきます。11月は平年並みか高め、12月の西日本は平年より高くなって、1月になると東日本にかけてまで平年より高いということです。どんどんと暖冬の傾向が顕著になってきます」
「11月はちょっと寒く、涼しくなったかなと思いきや、12月になってもまだ11月みたいな気温で、1月になってようやく12月のような寒さになってくるような状況です。季節が足踏みしていて、最後には止まってしまうようなイメージを持っていただくと良いかと思います」
■北海道や東北に早期天候情報
【片平敦気象予報士】
「そんな中、11月の初めにかけて気温が高くなりますよという情報が23日、気象庁から発表されました。『早期天候情報』という情報で、これはこれから1週間~2週間先に気温がいつもと違うぐらいになりますよという時に出る情報です。北海道や東北では来週から再来週にかけてこの時期としては10年に1回あるかどうかの気温が高い状況になりそうだと予報されています。11月に入ってちょうど冬に入るタイミングで季節が足踏み、むしろ逆戻りしちゃうかもしれないという状況になってきています」
近畿はどのようになっていくのかというところが心配な所ですが…。
【気象予報士 片平敦さん】
「近畿地方もこの後、冬はまだまだ長いですから、この早期天候情報がでることがあってもおかしくないです。暖冬というのがいろいろな所に表れています」
■スーパーエルニーニョとは?過去にも発生していた?
この暖かさはエルニーニョ現象が関係しているということです。8年ぶりの“スーパーエルニーニョ”が発生するとどうなるのでしょうか?
【気象予報士 片平敦さん】
「エルニーニョ現象の時の暖冬傾向がより一層きつくでてしまう恐れもあります。エルニーニョ現象というのはペルー沖の海面水温が基準値よりも0.5度以上高くなるときのことでです。海の暖かくなる場所が変わってくることにもなるので雲のでき方が変わり、雲のでき方が変わると上空の風の流れが変わるということで世界中に影響が広がっていきます。日本だと暖冬になりやすいと言われています」
「しっかりとした定義はありませんが、海面温度が2度以上高くなった場合をスーパーエルニーニョと呼ぶことがあり、今回そのレベルになってしまうのではないかと言われています。最近は2015年にスーパーエルニーニョが発生して、冬の気温がいつもの年よりは3カ月間通して、毎日1度前後高くなるという大きな影響が出ました」
2015年当時の映像を見てみると、12月の映像にもかかわらずコートを手に持って歩いている人がいたり、半そでで歩いている人もいるという状況でした。 寒くなくてうれしい人もいるかもしれませんが、スキー場では12月になっても雪が全然降らず大打撃を受けることになりました。今年はさらに温暖化も進んでいますので、温暖化で気温が高い上にスーパーエルニーニョが効いてくるとなおさら雪が降りにくくなるのではないかという心配があります。
■今年の雪の降り方は「厄介」
今年は暖冬傾向になるということですが、どのような冬になるのでしょうか?
【片平敦気象予報士】
「気温は高めという予想ですが、穏やかかと言われるとそうでもなくて、時折寒気が流れ込んできます。日本海側に雪を降らせる雲がどこからやって来るかというと、日本海の暖かさで湯気ができて、そこに冷たい空気が流れ込んできて発生します。今年は、時折強い寒気がやってきますので、時折大雪になる可能性があります。3カ月通すと大して降ってないように見えても、その中の何日かはドカッと降るということは十分ありますので、厄介な降り方になると思います。」
2023年の1月、大雪によって京都府内でJR線が立ち往生するということもありました。 雪に対しての備えも早い段階から始めていただくと良いかなと思います。 これからイベントが多い季節ですから、こまめに情報をとるというのも大事になりそうです。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月24日放送)