将棋界初の偉業達成から一夜明けた、12日。
【藤井聡太八冠(21)】
「それ(八冠)を実現できたのも、まだまだ実感がわかないというのが正直なところ」
八冠制覇まであと1勝として迎えた、11日の王座戦第四局。 相手は、ファンの間で「軍曹」とも呼ばれる永瀬王座でした。
■将棋界世紀の一局を振り返る
対局の序盤は、永瀬王座の鋭い一手を前に1時間以上の長考を迫られ、持ち時間の差は一時、3時間以上となります。
【解説】
「(藤井さん)ちょっと苦しそうな感じにも見えますね」
厳しい展開に、ファンもかたずをのんで見守ります。
【ファン歴6年】
「きょうはもう心配です。勝利を信じて応援します」
【将棋を習う小学5年生】
「八冠になってほしいなと思ってます」
将棋界にとっての世紀の一局。 夜になると、大阪府高槻市にある将棋bar「ルゥク」にも愛好家が集まり始めました。
【バーに集まった人】
「二転三転やなーこれ。局面もやっぱり序盤より切迫してるし、一手間違える重みが大きいですからね」
そんな中、終盤戦は両者の思いがぶつかり合う、激しい展開となりました。 永瀬王座の正確な指し回しに押され、AIによる形成判断は、ついに「永瀬99%対藤井1%」となります。
もはやこれまでか…と思われた、そのときでした。
【解説】
「ひゃっ?まぁこれでも詰みってことか。え?」
永瀬王座の痛恨の一手で、形勢は大逆転しました。 将棋バーではー
【バーに集まった人】
「え!えええ!逆転した」「いきなり藤井90%なったけどうっそー」
そのことに気づいた永瀬王座は、冷静ではいられない様子でした。
将棋界を代表する2人が、死力を尽くした一局。 そして、ついに…
【永瀬王座】
「まいりました」
「藤井八冠」が誕生しました。
【ファン歴6年】
「感無量ですね。解説会場でこんなに泣くとは思いませんでした」
【将棋を習う小学5年生】
「最後まで諦めずにやって、逆転してすごかったなと思います」
■歴史的な激闘から一夜
藤井八冠は、会見で「8」のポーズを披露。 そして、偉業を成し遂げた直後とは思えない、謙虚な発言を続けました。
【藤井聡太八冠(21)】
「もっと実力が必要だなと感じることが多いシリーズだったと思っています(Q.自分へのご褒美は?)勝ったときご褒美をというのはあまり考えていなくて、王座戦をしっかり振り返ってまた前に進んでいけたらと」
■対局が行われたホテルでは…
今回対局の場所となったのは京都・東山区のウェスティン都ホテル京都。 ホテルの7階に静かにたたずむ離れの一棟「可楽庵」で勝負が行われました。 普段はお茶会や宴会で使われるということで、今後は、「聖地」になるかもしれません。
さて、対局の結果のほかに、注目されるのが、藤井八冠が選ぶ食事です。 今回、昼食に選んだのは、ホテルのおすし“7貫”盛り合わせでした。11日時点では、藤井「七冠」だったことから、「7貫」にしたのでしょうか。
その真相は…
【ウェスティン都ホテル京都和食担当 横山嘉人シェフ】
「和食は基本的に偶数で提供するということはあまりしないので、基本的に七貫という形でご提供したんですけど」
七冠で“7貫”というわけではなかったようですが、昨日から問い合わせの電話も複数あり、反響の大きさを感じているようです。
さらに、藤井“八冠”の誕生にあやかって、
【ウェスティン都ホテル京都和食担当 横山嘉人シェフ】
「ウニの軍艦を1貫足して八貫(=八冠)で提供させていただきます」
12日から10月末まで1貫足して8貫で提供するそうです。 このホテルでは、藤井八冠がおやつに選んだ「丹波栗とラズベリーのムース」も11月末まで楽しめるということです。
■藤井八冠の次回の対戦は世界遺産「仁和寺」
【宇都宮雄太郎記者】
「藤井八冠の次回の対戦の舞台は世界遺産「仁和寺」です」
早速来週の10月17日から、タイトル「竜王」の防衛戦、7番勝負の第2局にのぞみます。
【仁和寺・大林實温執行長】
「皆さんおはようございます。八冠達成して最初の対局かと思います。両者の健闘を祈りまして、そしてまたお二人を温かく迎えたいなと思います」
仁和寺では、これまで4年連続で竜王戦の対局が行われて、この対局の勝利者がいずれも「竜王戦」を制覇しています。
【仁和寺・大林實温執行長】
「仁和寺の対局に勝つと竜王の座を射止めると言われています。持っている力を十分に発揮して、いい対局、素晴らしい対局にしていただきたいと思っています」
これからも藤井八冠の活躍をみていきたいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月12日放送)