ジャニー喜多川元社長による性加害問題を巡り、7日、ジャニーズ事務所がこの問題で初めて会見を開き、新しい社長には少年隊の東山紀之さんが就任することなどが発表されました。事務所会見を性加害問題の当事者はどう見たのでしょう。
ジャニーズ性加害問題当事者の会の二本樹顕理(にほんぎあきまさ)さんに聞きました。
■「『ジャニーズ』という社名は変更してほしい。フラッシュバックが起きることもある」
7日のジャニーズ事務所の会見をどう受け止めましたか?
【元ジャニーズJr. 二本樹顕理さん】
「事務所として今回初めて性加害の事実があったということを認定していただきました。それは大きな一歩だと感じています。このあと当事者の会メンバー全員と話し合ったうえで、それぞれの感想も聞いていきたいと思っていますけれども、ジャニーズ事務所による被害者救済の対応や全貌が明かされていませんので、それに関しては今後の動きに注目していきたいと思っています」
「ジャニーズ」という社名が残ることについてはどのように思いますか?
【元ジャニーズJr. 二本樹顕理さん】
「私個人としましては、非常に残念だと感じています。やはりジャニーズ事務所を退所してから『ジャニーズ』という言葉をずっと聞きたくないと思っていた自分がいました。その言葉を聞いてしまうとやはり過去の被害体験を思い出してしまったり、フラッシュバックが起きてしまうことがありましたので、きっと私以外にもそうした思いを抱えている被害者の方たちはいると思います。やはり事務所の名前を変更していただきたいというのが、私個人の思いではあります」
被害者への補償について、7日の会見で東山新社長は、「被害者救済の委員会は設置します。全ては補償含めこれから動きます。法を超えて救済補償が必要だと思っています。時間を区切らず、覚悟を持ってやる」と話しました。同席した弁護士は、「全体的な金額や具体的な補償の方法、どの財産をあてていくかについては、これから検討」と述べました。
【元ジャニーズJr. 二本樹顕理さん】
「補償については、再発防止特別チームの調査報告書で提言されていた内容と完全に一致していると思いますので、その定義に沿った補償をしていくということを表明してくださったのは評価したいというか、感謝します」
ジュリー前社長が取締役に残って補償にあたっていくことはどう考えますか?
【元ジャニーズJr. 二本樹顕理さん】
「当事者の会としましては、当初発表があった当時からジュリー氏の安易な辞任は求めていないということを発言させていただいていました。今回ジュリー氏が社長の座を退いて、取締役に残留されるということですけれども、この決断が本当に喜多川一族・藤島一族の遺族であるジュリー氏本人が余生をかけて、被害者たちの救済にあたっていきたい、そうした真実の思いからの決断だったことを願っています」
「法を超えて」とか「対話を通して被害者の方に接していきたい」という言葉があったことについてはいかがでしょうか?
【元ジャニーズJr. 二本樹顕理さん】
「その点については大きな希望が見えました。実質私たち当事者の会のメンバーやほとんどのものが性加害の時効を迎えていますので、法を超えて救済措置にあたっていただける、そこには希望を持てたと感じています」
■東山新社長は「難しい決断をされた。一方タレントであった方との交渉に不安残る」
ここで関西テレビ「newsランナー」視聴者からの質問です。
Q.東山さんに後輩が意見できるとは思えない。風通しはよくなるんでしょうか?
【ジャーナリスト 松谷創一郎さん】
「かなり年配の人に、若い人が意見できる可能性は低いんですけど、シンプルに考えて意見できないような風通しが悪い会社は、退所して他のプロダクションに移って活躍すればいいというだけの話なんです。
ジャニーズ事務所が圧力をかけたり、テレビ局がほしたりすることがあって、退所しにくくなっている業界慣行みたいなものが問題であって、風通しが良くなるに越したことはないけど、良くならないなら辞めたらいいということだと思うんです。この問題を契機に、そういう風に業界を作り直す方向にテレビ局とかも一体となって動く必要があると私は思います」
二本樹さんは、東山新社長にどんなことを期待しますか?
【元ジャニーズJr. 二本樹顕理さん】
「この騒乱の中で、社長の座につくと決断されたことは非常に難しいことではあったと思います。そうした中でもご自身が責任を取ろうと名乗り出てくださった部分に関しては、非常に難しい決断をよくされたと思う部分もあります。けれども、現役タレントだった方と今後当事者の会として交渉を進めてくという部分には若干不安は残っています」
これからジャニーズ事務所が解体的に出直すことができるのか、注目していきたいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」9月7日放送)