9月5日未明、兵庫県赤穂市の山陽自動車道のトンネル内で起きた車両火災。発生から約40時間たって火は消し止められましたが、なぜ消火活動が長引いたのでしょうか?
兵庫県・赤穂市を走る山陽自動車道の尼子山(あまこやま)トンネル。
【カメラマンレポート】
「火災発生から1日以上たった今も、トンネル内では消火活動が続いています」
5日午前1時すぎ、トンネル内でトラックが炎上し、脇を通り抜けようとしていた後続の車がブレーキをかけるなどしたため、車9台が絡む追突事故が相次いで発生しました。この事故で4人が重軽傷を負いました。 当時の映像には充満した煙の中で車を乗り捨てて逃げる人の姿が映っています。 火が消し止められたのは発生から約40時間たった、6日午後5時半ごろ。通行止めは、山陽自動車道の上下線ともに一部区間で続いています。
トンネル内では何が起こっていたのでしょうか? 消防などによると、トンネルは長さ約600メートルで、入口から400メートルほどの地点でトラックが炎上しました。
【車で通った人】
「すごく燃えていたので、車で通り過ぎるだけでもすごい熱さが伝わってくるような感じでした」
専門家はさまざまな要因で火災が長引いたと指摘します。
【関西大学社会安全学部 吉田裕教授】
「夏場の高温と、車の台数が多い、かつ換気設備が整っていない。そういったことが重なって長引いたのではないか」
約600メートルのこのトンネルには熱や煙を外に送る排煙設備の設置義務はなく、実際に設置されていませんでした。その結果、乗り捨てられていた20台以上の車に、次々と炎が燃え広がり、煙と一酸化炭素、熱がこもって一部のコンクリートが落下。 消防はトンネルに入ることができず、消火活動が難航したということです。
トンネルの復旧には相当な時間を要する見込みで、7日以降も通行止め解除の目途は立っていません。
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月6日放送)