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京都アニメーションの第1スタジオにガソリンをまいて放火し、36人を殺害した罪などに問われている青葉真司被告の裁判が始まります。被害者の遺体を解剖し、死因の究明にあたった医師が、関西テレビの取材に明かした事件の裏側。そして、今、告に訴えたいこととは…

■死因の究明へ…被害者の遺体を解剖した法医学者が語る

【京都府立医科大学・池谷博教授】
「ここからが解剖室になります。京都アニメーションの時は３人しかいなかったので、３台使って…」

京都府立医科大学、法医学教室の池谷博（いけがやひろし）教授。京都アニメーションの放火殺人事件で被害者の遺体を解剖した法医学者です。

４年前、京都アニメーション第一スタジオが放火され、36人が死亡、32人が重軽傷を負いました。殺人などの罪で起訴された青葉真司被告。取り調べに対し、「京アニに恨みがあった」などと供述しています。

この法医学教室では、25人の遺体の解剖を担当しましたが池谷教授が遺体を見て最初に感じたのは“違和感”でした。

【京都府立医科大学・池谷博教授】
「一人一人のご遺体を見ると、燃えている人と燃えていない人とか色々差がある。燃えていない人がいて、なぜ燃えていない人がいるのか謎だった。バラバラなんですよね。ひとつの火災現場で発見された遺体と言われても納得できないような印象」

■死因の大半は焼死や一酸化炭素中毒　一方で「窒息」が５人と判明

事件当日、青葉被告は、３階建ての建物の１階らせん階段付近でガソリンをまき、ライターを使って火を放ちました。スタジオでは煙が瞬く間に広がり、放火からわずか１分後には、全体に充満します。建物内の温度は100度から300度に達し、避難が困難な状況になっていました。

池谷教授らが死因を調べたところ、焼死や一酸化炭素中毒で命を落とした人が大半を占めていましたが、一方で、窒息で死亡した人が５人いたことがわかりました。このうち数人には逃げようとした際にできたとみられる打撲の痕が複数見つかったのです。

【京都府立医科大学・池谷博教授】
「つまづいたりとか、もしくは人が人の上に折り重なっていくというか殺到した際に、後ろに転倒するとかで（打撲痕が）ついたのではないかと推定している。逃げる際の本当に混乱した状況が私たちには見えるような感じで、こんな凄惨な状況だったんだなと感じました」

青葉被告の初公判は9月から始まります。8月31日も証拠や争点を絞り込む「公判前整理手続き」が京都地裁で行われ、青葉被告本人が出席しました。裁判では事件当時の放火の詳細な状況が明かされるとみられていますが、池谷教授が４年間、青葉被告に対して思い続けていることがあります。

【京都府立医科大学・池谷博教授】
「被害者がどんな辛い状況にあって亡くなったというのを加害者は知るべきだと思う。『火をつけて亡くなった』、そういう簡単な言葉で言い表せないと思うんです。被告には自分がやったことを素直に認めて、結果に対してきちんと直視して反省する。死ぬから反省しないというのはありえないと思う。だからきちんとやったことを認識することが一番重要」

裁判で青葉被告は事件にどのように向き合い、何を語るのでしょうか。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年8月31日放送)