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夏休みの琵琶湖で、尊い命が犠牲となる水難事故が相次いでいます。8月7日以降わずか8日間で子どもを含む3人が溺れて死亡しました。なぜ、琵琶湖で水難事故が相次ぐのか、またどうすれば防げるのか、水難学会理事の木村隆彦さんに琵琶湖から、事故多発の「3つの理由」を解説してもらいました。

■わずか8日間で3人が死亡　いずれも”県外”からの来訪者

あらためて、琵琶湖の水難事故の状況です。
今月の7日以降わずか8日で3人死亡…というこの数字は多いとみていいのでしょうか？

【水難学会理事 木村隆彦さん】
「本当に悲しい事故。例年と比べても事故件数は増えてきた印象があります」

なぜこれだけ多いのか、3つ理由があるということです。
1つ目はこちら「琵琶湖の危険を知らない」ということ。これはどういうことでしょうか。

【水難学会理事 木村隆彦さん】
「琵琶湖は、西側は急に深くなるんです。水に入って1メートルくらいまでは、膝下に水面がある。ところが3メートルくらい進むと、水面は膝上にきます。ここから約5メートルも行けば、もう私の背が立たないほどです。水深が大体1メートル70センチから80センチくらい非常に深いですね。
（Q.遊泳区域の目印の黄色いロープの下にはネットがある？）
ロープを張って浮かせているだけで、ロープの上にも下にもネットはありません。なので簡単に乗り越えられてしまいます。先日から続いている死亡事故も、他府県からの方。実は地元も子どもは、琵琶湖の危険性を学ぶ場所がある。地元の子どもは注意をしていると聞いている」

■足場が崩れやすい あり地獄のような独特の地形「安息角」

過去5年間で18件、琵琶湖では水難事故が起きていますが、13件が琵琶湖の西側で起きました。そして12件が”遊泳区域外”です。

なぜ西側に集中しているのか、注意しなければならないポイントは”地形”だそうです。
遠浅に見えていても急に深くなる水深「安息角」ということですが、これはどういう地形なのでしょうか。

【水難学会理事 木村隆彦さん】
「安息角というのは砂が斜めで、足の踏ん張りがきかない場所のことです。足の力が入りにくいんです。浅いところだとまだしも、急激に深くなると、斜めの角度がキツくなるので、足場が崩れ、砂が動くので、前に進めず、あり地獄のようになる。びっくりしてパニックになる。陸に上がれない。足元がずるずる引きずられるような感じです」

そして、注意すべきは地形だけではありません。琵琶湖独特の強風「比良おろし」も危険です。気象庁によると、今月14日の事故当時は、風速9ｍ以上の北西の風が吹いていたそうです。

【水難学会理事 木村隆彦さん】
「比良山を越えて吹き降ろすように吹く風が比良おろし。湖の東側に向かって風が吹いて、人が流される危険性があります。比良おろしが吹くと、浮輪が流されたりビーチボールが流されたりします。それを追いかける人が出てくると、遊泳区域の外に出ることもあります、それが危険なんです」

■事故は疲れが出てくる「終了間際」に起きやすい　発生のピークは午後3時

では、琵琶湖で水難事故に遭わないためには、どうすればいいのでしょうか。
まずは遊泳区域内を守ること。そして、ライフジャケットを着用しておくことです。
そして、水難事故のピークなんですが、午後2時から4時に多くなっているそうで、この時間帯、特に注意が必要だということです。
なぜこの時間帯に事故が多いのでしょうか？

【水難学会理事 木村隆彦さん】
「朝から琵琶湖にやって来てお昼ご飯を食べてちょうど琵琶湖に慣れてくる時間帯。最初は水難事故防止を心がけるが、忘れてくる、油断をする時間帯でもある。疲れがあると、身体のバランスを崩して、立て直せなくなったりします」

ここで視聴者の方からLINEで質問を頂きました。

Q.琵琶湖の底は水草が生えていて足に絡まって危険だと家族から聞きました。本当ですか？

【水難学会理事 木村隆彦さん】
「琵琶湖も広いので地域によって水草の特性もあるのですが、消防などの水難救助のプロでも必ずナイフを持つそう。水草に足が絡まった時に脱出用に使うそうです。そのような水草が生えている場所があるのは確かです」

Q.小さい子供と水遊びするときどのようなものがあると安全対策になりますか？
木村さん、いかがでしょうか？

【水難学会理事 木村隆彦さん】
「まずはライフジャケットです。それと必ず水面が膝下の水場で遊ばせる。深いところに行くと風で流されるので、足の立つ場所で遊ばせることですね。後は保護者が必ず子どもを監視すること」

琵琶湖での水遊びは、独特のリスクがあることをしっかりと認識したいものです。

（関西テレビ「newsランナー」8月21日放送）