琵琶湖の西側にある、「近江舞子水泳場」。21日、取材に行くと小さい子どもを連れた家族など、多くの人でにぎわっていました。
【琵琶湖を訪れた人】
「大阪からです。家族で来るのは初めてです。」
【琵琶湖を訪れた人】
「波が強くないので、小さいお子さんは遊びやすいし、海水ではないので片付けが楽」
しかし、水泳客たちのすぐ後ろには、警察や消防の船が行方不明者の捜索をしていました。 8月18日、この水泳場の沖合で大阪市に住む19歳の男子大学生が溺れ、行方が分からなくなりました。 友人らと遊んでいて、岸に戻ろうと泳いでゴムボートを押していたところ、溺れたということです。
水泳場では、警察官からは切実なアナウンスも…。
【警察官からのアナウンス】
「ライフジャケット、浮き輪、絶対に着けさせてください。子どもは浮いてこない場合があります。ですから、絶対、絶対に、目を離さないでください」
琵琶湖では、今月に入ってから子どもを含む尊い命が犠牲となる水難事故が相次いでいます。
今月7日、この水泳場のすぐ近くで、サッカークラブのメンバーと遊びにきていた大阪府枚方市に住む小学4年の男の子が溺れ、死亡しました。
【記者リポート】(今月7日)
「水難事故があった現場です。男の子はブイの左側、水深1.5メートルほどの場所で見つかったということです」
さらに、今月9日と今月14日には、同じ近江舞子水泳場で京都市の女性(47)と、京田辺市のスリランカ国籍の男性(48)が溺れて死亡。警察によると、2人はいずれも遊泳区域の外で泳いでいる姿が目撃されていて、死亡した女性は、飲酒していたということです。
つまり琵琶湖では、わずか8日間で3人が溺れて死亡したことになります。
【大阪から来た人】
「(子どもには)ライフジャケットと浮き輪を着けて、『絶対1人では行かないように、(湖に)入る時は親と手をつないで』と言い聞かせています」
穏やかに見える琵琶湖でなぜ事故が続いているのか。滋賀県警・水上警察隊の田村さんは、傾向として琵琶湖の西側に事故が集中していると話します。
【滋賀県警水上警察隊長・田村知史さん】
「京阪神からの交通のアクセスも良く、水泳場にたくさんの人が来ているというのもありますが、西岸はすり鉢状、急に深くなる地形になっています」
滋賀県警によると、過去5年間の6月から9月に琵琶湖で起きた水難事故は18件。そのうち、13件が琵琶湖の西側での事故でした。
■琵琶湖の地形に特徴が?「10メートル行ったら足がつかない」
琵琶湖の東と西で地形にどんな違いがあるのでしょうか。
【滋賀県立琵琶湖博物館・里口保文さん】
「西側がすごく深くなっていて、そこから離れている東側は緩やかな斜面を作っている形状です。東側はだいたい数十メートルくらい向こうまで、例えば100メートルくらい向こうまで泳いで行っても足がつくところもあるのですが、西側の場合はすぐそこ、例えば10メートルくらい行ったらもう足がつかない状況になりますので」
琵琶湖の西側、今月事故が相次いでいる近江舞子水泳場のあたりも、模型を見ると遠浅の東側と比べ急に深くなっているのがわかります。 このような地形のため、遊泳区域はブイで囲われていますが、過去5年間の18件の事故のうち、12件がブイの外側で起きてしまいました。
水遊びをする時は、水泳場の特徴や危険を知って、安全に対する細心の注意が必要です。
(関西テレビ「newsランナー」8月21日放送)