■「救急車がない」 救急の現場が危機的な状態に
大阪市では最近の猛暑で、熱中症で搬送される患者が急増し、救急がひっ迫して、1分1秒を争う患者の搬送が遅れかねない危機的な状態に陥っているということです。
8月10日午前11時45分、大阪市消防局の指令情報センターでは…
「救急車がない」「『コートリ』1で」「はい」
指示が飛んだのは「コートリ」=「コールトリアージ」です。大阪市内の救急車がほぼ全て出払ってしまった時、やむを得ず搬送する患者に優先順位をつけ対応する方法で、「搬送しない」という選択もあります。
【大阪市消防局司令情報センターの電話対応】
「実は大阪市内、救急車が出払ってまして、今順番に救急車を向けさせていただいているところなんです」
救急の体制がここまでひっ迫している原因は、今年の“夏の暑さ”にあります。
■元気にラジオ体操する皆さんも「暑いです。暑いです」
10日午前6時の大阪城公園
【記者リポート】
「大阪城公園では朝の6時からラジオ体操が行われているんですが、手元の温度計は30.9度と大変暑くなっています」
その後、大阪市の気温はぐんぐん上がり最高38度になり、3日連続の猛暑日となりました。
【ラジオ体操参加者】
「暑いです。暑いです。3人でこれ(ペットボトル)1本で済むかなあってぐらい」
「来ようかどうしようか、ちょっと迷いましたよね」
(Q.昔はこんなに暑かった?)「いやそんなことない!朝は涼しかったイメージ。夏でも」
ラジオ体操に参加していた皆さんはとても元気でしたが、今“熱中症”で救急搬送される人が後を絶たない状況にあります。
■消防局の司令情報センターでは朝から電話が鳴りやまず
大阪府では、7月上旬から患者数が急増しています。今では毎週700人前後が熱中症で運ばれています。 10日、大阪市消防局の司令情報センターでは、朝から救急要請の電話が鳴りやみません。
【司令情報センターの電話対応】
「熱中症ですね。ご本人はしんどい・気分悪い、そういうのおっしゃってます?」
「熱中症のような感じですか?今、意識はありますか?」
搬送のために救急車が出動していることを示す緑色の表示がずらりと並び始めました。
【司令情報センターの電話対応】
「今、救急車いっぱい出払っててね。大正区から行くことになるんで、時間が20~30分かかっちゃうんですよ」
近場の救急車がすべて出払い、遠くの地区から出動せざるを得ない状況になっていました。大阪市では、通報をして救急車が現場に到着するまで平均8.6分とされている中、大幅に遅れが出ている状況なのです。
そして午前11時45分、大阪市内にある救急車80台が、いよいよ残り4台になりました。
【司令情報センターでのやりとり】
「藤原さん、救急車がない」
「『コートリ』1で」
「『コートリ』1、了解です」
「コールトリアージ」を発令。緊急性の高い要請に応えられないという事態を防ぐため、出動に優先順位をつけます。熱中症の疑いがある患者は原則搬送することが決まっていますが、ねん挫や切り傷など軽症とみられる症状の場合は一時的に搬送を見送ります。
【司令情報センターの電話対応】
「お話はできますかね?顔色も悪くないですか?いま順番に救急車向けさせていただいているところなんです。ちょっとお待ちいただく形になるんですよ。必ずそちらには向かいますんでね」
70代の男性が足の痛みを訴えたものの、意識があったため救急隊に空きができ出次第、連絡するという対応になりました。
さらに大阪市消防局が危機感をつのらせているのは、11日から始まる“お盆休み”です。
【大阪市消防局 池側智一消防監】
「お盆シーズンになると、医療機関が閉鎖されていることも多いかと思います。不安になられて119番される方が多い傾向にあります」
救急体制はお盆休みでさらにひっ迫することが予想されています。
(関西テレビ「newsランナー」2023年8月10日放送)