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大阪の夏を彩る「なにわ淀川花火大会」。新型コロナウイルスによる制限もなくなり、４年ぶりに完全な形で8月5日に開催されました。

 制限がなくなった今年は45万人が訪れました。雑踏事故を防ぐため、およそ1700人の警備員が誘導にあたりましたが…想定外の事態で大混雑。さらには、猛暑と人混みによる体調不良者も続出しました。

完全復活した、なにわ淀川花火大会で楽しい思い出を残してもらうために奮闘する人たちの裏側に密着しました。

■ 雑踏事故を防げ！ポイントは「十三駅」

大会前日、会議室は緊張の面持ちで包まれていました。
誘導などにあたる、およそ1700人の警備の指揮を執る大屋佳昭さん。去年よりも多くの人出が予想される今年、警備のポイントは「十三駅」付近の誘導だと言います。

【会場の警備を指揮・大屋佳昭さん】
「『176スロープの直近』、十三駅に近いエリアが一番花火が見やすいエリアになるので、そこをいかに(会場の)中に引き込んでいくかが、明日の勝負かなと思っています」

来場者の多くは、きれいに花火が見られて打ち上げ場所から近い会場に集まるため、放置すれば人が集中し雑踏事故の危険が高まります。

ポイントは、人の流れを止めることなく会場全体に人を誘導することです。

■ 迎えた当日 会場には早くから人がギッシリ

【記者レポート】
「午後１時過ぎの淀川河川敷です。花火開始まであと６時間ほどなのですが、ご覧のように多くの人々が場所取りのために集まってきています」

【見に来た人】
「初花火なんです！(―Q：水飲んでいますか？)もうないです」

【見に来た人】
「保冷バック持ってきて凍らしてみたいな。(―Ｑ：あと６時間くらいどうする？)ひたすらしのぐしかないです。待っときます」

午後４時、混雑が予想される十三駅近くの「１７６スロープ」にも徐々に人が集まってきました。
大屋さんも会場内に設置された14台の監視カメラを見ながら誘導の指揮をとります。

【警備員】
「この階段を上っても観覧エリアはありません。この階段を上った先に待っているのは、時間のロスだけです」

■ 厳しい暑さの中で体調不良者も…救命士が奮闘

花火開始まであと少し。徐々に会場の熱気も高まり、警備スタッフの声も大きくなる中、人が増えるにつれて体調不良者も増えてきました。
救護所を取り仕切るのは救急救命士の泊菜穂さん。今年初めて淀川花火大会を担当します。

【泊菜穂さん】
「今運ばれてくる方、25歳女性、結構ぐったりしている感じ」

この日の大阪市の最高気温は38.4度。夕方になっても厳しい暑さが残ります。

【救護担当者】
「大丈夫？飲めるかな？お水」

【泊菜穂さん】
「主に熱中症疑いですね。それにプラスして『過換気』と言って、人混みに慣れていない人の症状が多い印象です」

そして、迎えた午後７時半。花火の打ち上げが始まりました。

救護室には、次々と救護要請が入ります。

【泊菜穂さん】
「スロープの近くで１名。そこのスロープ！」

幸い救護所内で重症者は出ませんでしたが、この1日で60人ほどの体調不良者が運び込まれました。

【泊菜穂さん】
「やっぱり落ち着くことが大事で、あと水分摂取もですし。改善点がいっぱいあるので、また来年ですね」

一方で、誘導を行う警備では、花火終了を待たず早めに退場誘導を始めていました。

【警備員】
「このスロープは梅田方面専用出口です。十三方面へお帰りの方はこの先の真教寺階段へお進みください」

十三大橋の上に多くの人が集まるなど危ないタイミングもありましたが、何とか乗り切ったと思った矢先、この日最大の危機が起きました。
一番の混雑が予想されていた十三駅の阪急神戸線が、人身事故で動かなくなったのです。

大混雑が起こりうる、想定外の事態に大屋さんは…

【大屋佳昭さん】
「神戸線だけ止まっているんで、神戸線を利用する方は塚本駅、またはJR大阪駅に誘導してほしい」

【警備員】
「阪急神戸線の運転がストップしております。電車を使われる方は、他の鉄道会社、JR、地下鉄等をご利用いただくことも合わせてご検討ください」

冷静な対処の甲斐があり、大きな混乱はなく、何とか１時間半ほどでほとんどの人が花火会場の外に出ることができました。

大きな事故なく終えられた今年の花火大会。
【大屋佳昭さん】
「来場者が固まって来られる時間帯に各駅がパンクするくらい人が来た。その辺の振り分けでかなり時間を要して力を入れました。ぜひとも苦労しているところも含めてご協力いただきたいなと思っています」

多くの人が集まる花火大会。

来場者の笑顔の裏側には、このような人たちの奮闘があります。

(2023年8月7日　関西テレビ「newsランナー」放送)