大阪自民 “公募”は“出来レース”か? 衆院選に向け10小選挙区の候補者発表 演歌歌手・尾形大作氏ら決まる 谷川とむ府連会長「ふさわしい方を選んだ」 2023年08月03日
大阪で維新に敗北が続く自民党が、次の総選挙に向け、「公募」で選び直した候補者(支部長)を発表しました。「大阪刷新」を掲げる自民党ですが、本当に“刷新”されるのでしょうか。これで維新に勝てるのでしょうか。自民党大阪府連の谷川とむ会長に話を聞きました。
■「今回『心の刷新』できた」と谷川とむ会長
2日に決まった立候補予定者の顔ぶれですが、気になるところもあります。公募ではありましたが、8区・10区・12区については再任となりました。4区と17区については再任が保留中ということで、2日の発表では公表されていません。そして5人の新候補が決まっています。もし保留されている中山氏と岡下氏も再任となると、10人のうち5人が再任になるかもしれない状況で、これで大阪を刷新するということになるんでしょうか?
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「私が前回『newsランナー』に出演した時も、大阪府連の会長に就任した時にも、マスコミの皆さんの取材でお答えしていますが、今、大阪府連で一番大事な事は、『意識改革』『心の刷新』をしないといけないと思っていました。
今回3人が再任され、2人が保留という形で、『イメージの刷新ができてないんじゃないか』と指摘されるかと思いますが、心の刷新をして、意識改革をしてどういう風な形で大阪を変えていくか、大阪の未来予想図を作っていくということを大阪府民の皆さんに伝えることが一番重要だと思っています。イメージの刷新も必要かもしれないですが、『心の刷新』が今回できたのではないかと思い、意義があったと思っています」
【番組コメンテーター・ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】
「再任であっても新人であっても、その人が優秀で、その人だっていうんだったら選ばれていいと私個人は思っています。
私は福岡の公募なども取材していますが、問題はプロセスです。今回の大阪は面接が中心だった。福岡なんかは党員投票で決めたりしている。なぜこの人になったのかというプロセスが明らかにならないと、公募の意味がないと思います。なぜこの人たちが選ばれたのか説明するところが抜けているのではないかと思います。面接だと“出来レース”と言われてもしょうがない部分がある。選び方を透明化することが大事だと思いますが、どうですか」
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「私も公募で選ばれた候補者でした。地域の支部がありまして、そこから大阪府連に申請をして、大阪府連で書類選考または面接をして、しっかりと選ばれた形で党本部に申請をして、党本部の支部長選任会議で選任されるという形が従来の公募のあり方でした。
今回、現支部長に関しても公募の対象にしたのは本当に特異なものであって、大なたを振ったと思っています。今回私も書類をしっかりと70名全部見させていただきましたし、その中で29名の方、私は現支部長の面接はしていませんが、新人の方の面接をさせていただきました。その中で政策立案能力や、選挙をどうやって戦っていくのか、または大阪との親和性であったり、また刷新感があるかといったいろんな項目があって、総合的に点数の高いというか、この人がこの地域にふさわしいよねっていう形で選ばせていただいています」
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「全ての人たちの採点を出していくのは個人情報の問題等もあろうかと思いますので、なかなか伝えづらいですが、これから選ばれた人たちが地域でどういう説明をして、どういう形で地域の中に溶け込んでいくか。そうしないと選挙になった時に誰も応援してくれない状況を作ってはいけないので、やっぱり個人個人がしっかりやることによって、払拭できるのではないかという風に思っているんです」
【鈴木哲夫さん】
「落ちた方ではなく、選ばれた人の評価だけでも透明性を確保できないのですか?」
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「先ほど会見で、一人一人から自己紹介と意気込みをお話させていただきました。幹事長からも、例えば11区で選ばれた大辻沙耶さんであれば、女性で28歳と若く、意欲もある、それでいろんなことをこれまでやってこられた。新しい支部長はそれぞれ経歴も違います。首長もいれば元府議もいる。再任された方もいれば、商社で働いている若者もいる。尾形大作さんのように演歌歌手もいて多種多様です。
これが連携を取りながらやっていくことによって、良い大阪の街を作っていけるというような形で、一人一人の能力だったり、地域の親和性というものはあろうかと思います。そこを見ていただいて、その辺は個別具体的にお伝えさせていただけたらなと思っています」
今回の公募について、応募した議員経験者から、「茂木さんにおもちゃにされた。(再任された人たちは)裏口と言われている」という声も上がっています。自民党内から茂木さん批判の声が出ているのですね。
【関西テレビ 神崎報道デスク】
「“大阪刷新”ということで、公募の当初は女性や若い候補者を立てていくという話がありました。しかしふたを開けてみたら、選び直しの6人のうち、保留中の2人を入れると5人はそのままです。さらに新しく選ばれた人を見ても、女性は1人だけで、20代~30代の人も2人だけです。なかなか“刷新”には程遠いかなと思います。結局、話題作りでメディアを動員して、ある種“出来レース”というか“茶番劇”だと思ったりしますが、そのあたりどうですかね」
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「われわれはしっかりとした目で選ばせていただいたと思っています。中身が大事です。イメージも必要かもしれないですけれども、やはり大阪をどうやって元気にしていくか、未来予想図をどういう風に考えて、大阪府民の皆さんに理解を得られるかということが一番大切です。
再任された方は、再任されただけの活動量であったり、これから次の戦いに向けた取り組みがしっかりできていると。 20代~30代が少ないと言われ、女性の方も確かに1人です。 じゃあ3人~4人女性を入れたとして、大阪の街を変えていけない人材であればやはり選ばれないことになります。
理想として幹事長も言っていましたが、女性・若手を登用していきたいという気持ちはありますが、適材適所で、この地域にはこの人がふさわしいという形で選ばせていただいた。批判もあろうかと思いますけれども、その批判を打ち消していけるだけ、これからの活動に精進していきたいと思っています」
【関西テレビ 神崎報道デスク】
「裏を返せば、女性や若い方に良い候補者がいなかったということですか?」
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「たくさんの方に応募をしていただきましたけれども、選ばれた方々が今回の公募ではふさわしかったということです」
今回の公募のやり方に納得いかないと政治家を引退したのが、前衆議院議員の佐藤ゆかりさんですが、2日の発表をどう思っているのか、関西テレビの単独インタビューに次のように話しました。
【政治家を引退した 佐藤ゆかり氏】
「公募で大阪の自民党が刷新されるとは思っておりません。問題はもっと根深いところにあります。私が指摘をしたいのは、やはり自民党大阪府連の組織の問題、それから党本部における幹部の方々の一部と維新の会が接触をしている、こうしたなあなあなやり取りの問題です。谷川府連会長には、やはり大阪府連の組織を抜本的に改革をすること、根っこの病理というものをしっかり洗い出して、変えていっていただかないといけないというふうに思います」
谷川会長は、佐藤ゆかりさんのインタビューを聞いてどう思われましたか?
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「組織をガラッと変えるから、組織が良く生まれ変わるというものではありません。問題があるところには、しっかりとメスを入れて改革を進めていきたい。その中で多くの皆さんの理解をいただきながら、組織の変革も確かに必要でありますので 、これから検討していきたいと思っています」
佐藤さんはビジョンを話してほしいということも言っていたのですが、ビジョンの説明はできていますでしょうか?
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「刷新については、私自身も心がピリッとしました。心の刷新というか、非常に頑張っていかないといけない、みんなと力を合わせて大阪を良くしていかないという風に改めて生まれ変わった気持ちであります。
これから維新とどうやって戦っていくかというと、維新さんは身を切る改革、教育の無償化、定数削減とか、府民の皆さんに共感を持たれる形で政策を訴えています。その中で自民党大阪がどう政策を立案して、府民の皆さんに提示をできるか、これを1カ月ぐらいかけて、政策を考えて、また改めて示させていただきたいと思います。今の段階では具体的な政策は検討段階に入っているところで、まだお示しはできない状況ではあります」
大阪府民ファーストにならずに、党執行部の言いなりにならないか心配ですが?
【自民党大阪府連 谷川とむ会長】
「それは大丈夫です。新しく8名の支部長が決定されましたので、これから各地域において活動を展開していきます。その声をしっかりと受け止めて、大阪府連内で大阪の未来予想図を作っていきます。自民党本部から、『こういう政策をしろ こういう風な形で持っていこう』という形にはならない。われわれ大阪自民がしっかりと議論をさせていただいて、府民の皆さんにお伝えさせていただきます。
私であれば泉州のことは一番よく分かっていると思っていますので、やっぱり地域のことは地域の人が一番知ってるので、これから必死にいろんな意見を聞かせていただいて、政策立案につなげていきたいと思っていますので、そこは期待をしていただきたいと思っています」
大阪の自民党、10人の衆院選候補者のうち、2日に8人が決定、2人が保留となっています。10人出揃って新しくなった自民党がどのような政策を訴えていくのか、注目していきたいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」2023年8月2日放送)