7月27日、日本で一番暑かった場所は大阪の枚方市でした。最高気温は40度に迫る39.8度になりました。近畿各地で人間の体温以上のまさに“酷暑”となりました。
どうしてこんなに暑いのか?暑さをしのぐテクニックは?熱中症にはどう対策すればいいのか? 気象予報士の片平敦さんに聞きました。
■本州のすぐ近くにある“太平洋高気圧”が厳しい暑さの一因
【気象予報士・防災士 片平敦さん】
「なんでこんなに暑いのか、一言で言って“真夏”だからです。27日は真夏の中でも特に暑くなりやすい条件が重なりました。27日正午の天気図ですが、関東地方の横に高気圧マークがあります。これは夏になるとよく聞く“太平洋高気圧”です。今、太平洋高気圧の中心が本州のすぐ近くにあります。高気圧の中心がほぼ真上やすぐ近くにある時はそれだけで熱くなりやすいです。 断面をみると、太平洋高気圧は非常に背が高く、高さ1万メートルぐらいあります。高気圧は下降気流といって、上から下に風が吹いています。背が高い高気圧だとすごい高いところからグーッと風が吹き降りてきます。空気は圧縮すると暑くなる性質がありますので、ただでさえ暑い空気がさらに暑くなって、特に気温が高くなりやすい状況になっています」
■片平さんが実践する暑さをしのぐテクニックは「地下で移動」と「日傘」
暑さをしのぐテクニックですが、片平さんが実践しているのは「地下で移動」と「日傘」だということです。
【気象予報士・防災士 片平敦さん】
「暑さの原因は日差しですので、日陰に行く、日陰を作ります。通勤やお出かけになる際、地下街があればあまり地上を通らず、地下を通りましょう。地下はエアコンも結構効いてます。 あとは日傘です。男性でも持ち歩いてる方が多いと思います。日傘があると“日陰を持ち歩けます”。とにかく日差しを避けるのがポイントです。 服装は白とか明るい色で、日差しを反射させて、熱をこもりにくくするのがいいです。紫外線が気になる方はインナーを黒いものをするといいです。 もう一つ言いますと、暑い時間に出歩かないことです。家でエアコンを効かせて涼しくして、朝とか晩のできるだけ涼しい時間帯に出掛けるようにすることが一番大事なんじゃないかと思います」
また暑さをしのぐため、日陰を探してくれるアプリがあります。
「ALKOO by NAVITIME」というアプリで、日陰マップ&ルート機能があって、太陽の高さや建物の高さなどから日陰部分を計算し、地図上に日陰になるルートをリアルタイム表示してくれます。こういったアプリも使って対策していただければと思います。
■熱中症には要注意
そして熱中症には要注意です。
【気象予報士・防災士 片平敦さん】
「消防庁がまとめた熱中症の搬送者数ですが、7月17日~23日の1週間、去年は4078人だったのが、今年は倍以上の9190人になっているということです。コロナの影響で去年は出歩く方が減っていたこともありますが、それにしてもやっぱり搬送される方が多くなっています。今週は同じかそれ以上に搬送されてもおかしくない暑さになっています」
「熱中症は夜も気を付けてください。昼間のイメージがあるかもしれませんが、夜家に帰ってから調子が悪くなることもあります。27日夜から28日朝にかけて、大阪の最低気温は28度の予想です。25度以上を熱帯夜と言いますが、それより3度も高いです。夜の間も熱中症になる可能性がありますから くれぐれも用心してください。
私は熱中症対策として、エアコンを夜の間もつけっぱなしにしています。弱めにはしていますが、タイマーで切れたりすると暑くて目が覚めたりしますし、睡眠不足になると翌日それがまた熱中症の引き金になったりもします。ですので、安心して眠れるよう、つけっぱなしにすることも一つの手かと思います」
どういう状態になれば熱中症なのか、熱中症のサインとして
・汗のかき方がおかしい
・爪を押して赤く戻るのに3秒以上かかる
・筋肉がけいれんする
といったものがあります。
【気象予報士・防災士 片平敦さん】
「あくまでも目安です。汗のかき方がおかしいというのは、暑かったら汗をかくはずなんですが、全くかいてなくて、皮膚が乾いて温度だけ高いときは、体の中に水分がない状況になっていることがあります。一方で普段よりも汗をかいていて、意識もはっきりしてない状況になってる時にも熱中症になってる可能性が高いです。いつもと違うということを見てください。 指の爪を押したとき、なかなか赤く戻らないことも目安だと言われています。 あと、ふくらはぎだったり、腕だったり筋肉がけいれんしている時は、やはり熱中症になっている可能性が高いというわけなんですね」
「呼びかけて反応がないとか、危ないなって思う時には迷わず救急車を呼んでください。そのうえで救急隊が到着するまでの間、日陰など涼しい場所に移動させ、服の上から体全体に水をかけたり、タオルなどで風を送るといった方法で温度を下げてあげる応急処置をするということを覚えておいてください」
■視聴者から質問 Qこの暑さいつまで→A厳しい暑さ続きそう
ここで関西テレビ「newsランナー」視聴者からの質問です。
「Q.この暑さ、いつまで続くの?秋も暑くなるの?」
【気象予報士・防災士 片平敦さん】
「今回のこの暑さは、8月1週の少なくとも前半ぐらいまでは続く見通しです。厳しい暑さが続きそうです。そして夏から秋にかけてもやっぱり気温は高めの可能性があります。少なくとも9月ぐらいまでは残暑が厳しい予想です。夏休み明けも危険な状況が続きます。熱中症対策はまだ1カ月~2カ月、もしかしたらそれ以上に必要かもしれないです」
熱中症は命にも関わるものですので、しっかり対策をしてください。
(関西テレビ「newsランナー」7月27日放送)