4年ぶりに帰ってきた大阪“夏の風物詩” 天神祭の始まり告げる「どんどこ船」 初挑戦の少年 かいが重く…大旋回に苦戦も 親子で挑む夏の伝統行事 2023年07月27日
7月24・25日に大阪の夏の風物詩「天神祭」が、4年ぶりに通常開催されました。中でも江戸時代末期から続くのが、祭りの始まりを知らせるどんどこ船です。
そんな伝統ある船に初めて乗った少年のひと夏の挑戦を追いました。
■4年ぶりに復活!伝統の「どんどこ船」 集まったのは…初参加の子どもたち
6月、4年ぶりにどんどこ船の本格的な練習が始まりました。こぎ手となるのは地元の小学5年生から中学3年生までの少年たち。およそ30人が集まりましたが…
【指導する大人たち】
「こいだことある?」
【子どもたち】
「ない」
【指導する大人たち】
「(経験者は)前の二人だけ!?」
新型コロナで3年間、「どんどこ船」は中止となっていたため、経験者がほとんど残っておらず、初参加の子どもたちばかりです。かいが重く、なかなか前に進みません。
経験者の大人たちがこぐ「どんどこ船」は、かいがきれいにそろい、まっすぐ進んでいきます。
本番の大川は、流れも風も強いため、このままでは流されてしまいます。
■「どんどこ船」に初めて挑む小学5年生 大旋回に苦戦!
小学5年生の松田瞬くんも「どんどこ船」に初めて挑戦する一人です。
【松田瞬くん】
「船をこぐのに興味があったから入りました」
【瞬くんの父・遼さん】
「初めて聞いた」
–Q:自分からやりたいって言った?
【松田瞬くん】
「最初はやめようかなと思ったけど、お父さんに『やってみ』って言われたから入りました」
小柄な瞬くん、周りに遅れを取らないよう、全身を使ってかいを回します。
苦戦しているのは、船の方向を変える時の「大旋回」。合図があったらすぐに、かいを逆に回す「後打ち」というこぎ方に変えなければいけないが、なかなかうまくいきません。
【松田瞬くん】
「師匠が30点っていうなら100点取れるように頑張ります。100点やったら何くれる?」
【どんどこ船講 髙山和眞さん】
「サプライズが待っているから!」
■天神祭の中で唯一の手こぎ船 本番に向け猛特訓! 挑戦する親子の思い
子どもの「どんどこ船」が始まったのは、およそ25年前。大人のこぎ手の減少を背景に、後継者を子どものうちから育てたいと結成されました。
地元の小学校でも、「どんどこ船」の歴史ついて学び、地域をあげて伝統を守ろうとしています。
【どんどこ船講 髙山和眞さん】
「(船渡御で)手こぎの船はうち(どんどこ船)しかない。昔の天神祭の姿の一部がどんどこ船。これは、天神祭のお渡り(船渡御)の中で特別な存在だと思うし、残していきたい」
瞬くんの家は、大阪の商人の街「船場」で、80年以上続く老舗の和菓子店です。本番1週間前、瞬くんは和菓子を作る道具で「どんどこ船」を再現し、練習をしていました。
見守るはずのお父さんも、「ちょっと遅いで、俺の方が分かっているやんけ」と思わず口を出ししてしまいます。
【瞬くんの父・遼さん】
「僕は小さいころから(天神祭を)ずっとテレビでも見ていたし、中高生になったら友だちと天神さん行こうやと遊びに行っていて、もうちょっと大きくなってそこで太鼓たたいたりしているのを見ていると楽しそうなんで、やりたいけどやれない、やれる年は過ぎたというのがあったので」
【松田瞬くん】
「でも、大人のやつ(どんどこ船)あるやん、何で『入らん』と思ったん?」
【瞬くんの父・遼さん】
「(大人の船は)ずっとやっている人ばっかりやから、いきなり入られへん、子どもと違って大人は新しいこと覚えるの大変やねん。子どもは覚えるのが早い」
どんどこ船をこぎたかったお父さんの思いも背負って、瞬くんは本番にのぞみます。
■とうとう迎えた本番! 活気づく大阪の街 親子でこぐ夏の伝統行事
堂島川に神を迎え入れる「鉾流神事」で祭りが幕を開けます。
どんどこ船がその鉾を回収し、大阪天満宮に返納する儀式「宮入り」を執り行います。
いよいよ、子どもたちも練習の成果を披露します。大川を堂々とまっすぐに進むどんどこ船。 かいもきれいにそろっています。
そして、瞬くんが最後まで練習していた「大旋回」も…うまくいきました!どんどこ船は、一番に川に出て、街中に祭りの始まりを知らせていきます。
【見物客たち】
「懐かしいというかね、毎年来ているけど、この3年間なかったから」
「うれしいです、大阪はこれじゃなくちゃ」
瞬くんのお父さんもなぜか、瞬くんと同じ法被姿です。
【松田瞬くん】
「お父さん、こぐん?とにかく頑張ってこいで」
【瞬くんの父・遼さん】
「(瞬が)先輩やからね、こぐ方は」
大人の船のこぎ手が足りず、実はお父さんも練習に参加していました。どんどこ船を親子でこぐことに。
およそ100隻の船が大川を行き交う「船渡御」。どんどこ船は船渡御の列に参加せず、自由にこぎまわって祭りを盛り上げます。
瞬くんたちの船は、かいの動きもそろい、さっそうと川面を走ります。力いっぱいかいをこぐ子どもたちの顔つきが、少し大人びたように見えました。打ち上げられた花火を、みんなが見上げました。
大阪の夏が、帰ってきました。
初挑戦のどんどこ船を終えました。
–Q:来年はどうするの?
【松田瞬くん】
「(来年も)やろうかなって思っています。来年、お父さんも出てや」
【瞬くんの父・遼さん】
「瞬が出たらな」
どんどこ船にかけた夏。その経験が祭りの伝統をつないでいきます。
(関西テレビ「newsランナー」7月27日放送)