【自民党・佐藤ゆかり前衆院議員】
「政界離脱の決意をここに表明をさせていただきたい」
これまで国替えに次ぐ国替えの末、大阪で政治活動を続けてきた自民党の佐藤ゆかり前衆議院議員が18日、政治家を引退すると発表しました。
その政治家としての出発点は当時の小泉総理が「改革」を掲げ、自民党がくしくも公募で候補者を募っていた時代でした。
【自民党・佐藤ゆかり前衆院議員(2005年9月11日当時)】
「自民党が改革政党になった。公募制度を通じて私のような民間人が自民党公認を賜る機会ができた」
出身は東京ながら、郵政民営化に反対した野田聖子議員の「刺客」として、出馬した選挙区は岐阜1区。 「小泉チルドレン」として名をはせる一方でその次の選挙からは東京5区。参議院比例代表を経て2014年に大阪11区に国替えしました。
【自民党・佐藤ゆかり前衆院議員】
「私は自民党の中でも苦労に苦労を重ねた人間だと、自他ともに言われております。しかし私は折れませんでした。それは国を良くしたいという強い気持ちがあったから」
その佐藤前議員が政治家を辞めることとなった理由は「公募」でした。
自民党本部の茂木幹事長などは、7月初め、佐藤前議員が出馬する予定の選挙区を含む大阪の一部の選挙区で現在の候補者を事実上差し替え、「公募をする」と発表。
その背景にあるのは維新に歯が立たない「大阪自民」の現状でした。 大阪の自民党は維新の勢いに押され、前回の衆院選の小選挙区で全敗。4月の統一地方選でも知事・市長のポストや、大阪府議会と市議会での単独過半数の議席を維新に獲得され、自民は大きく議席を減らしました。
次の衆院選が早ければこの秋にも想定される中で、維新に勝てない大阪にメスを入れようと、自民党本部が立ち上げたのが、「大阪刷新本部」です。
【自民党・大阪府連 谷川とむ会長】
「大手術的に何かを変えなきゃならないといった時には、僕らも嫌ですけれどもやっぱり血を流さざるを得ないのかなということもあります。何か違う角度からの刺激がなければやっぱり劇薬なので今回多分やろうとしていることは」
次の衆院選に向け、維新に対抗すべくたてた策が、「イメージ刷新」です。
7月、大阪府内で立候補者をたてる予定の15選挙区中、実に10選挙区の「立候補予定者」を一斉に公募するという異例の決定を下しました。
中でも、“維新に勝てそうにない”と判断した佐藤前議員を含む6人の立候補予定者を事実上差し替えることに。
肩をたたかれた人の中には、外務副大臣などを歴任した中山泰秀前衆院議員も入っています。
【中山泰秀大阪4区支部長】
「今までの実績とかそういった戦績何かは全く考慮せずこういったことが行われているっていうことを鑑みますと、自民党が今まで決めたルールと違うことをイレギュラーにやられているなという気持ち」
今回の見直しについて、党本部からは「情勢調査などをふまえて考慮」というだけで、具体的な判断基準は示されませんでした。
【岡下昌平大阪17区支部長】
「怒りというより怒りを通り過ぎてあ然というか…。(判断基準の)具体的根拠も何も示されませんでしたし、納得いくような説明が一切なく終わってしまったので」
こう語るのは、差し替え対象となった大阪17区の岡下昌平前議員です。
今回の公募には、差し替えられた6人も参加資格があることから、岡下前議員も応募を決めました。
【岡下昌平大阪17区支部長】
「大阪府連所属の地方議員、国会議員含めて、まるで遊んでいるかのように活動してないかのように思われているんではないかなと。そんなことはないと。みんな一生懸命自民党の看板掲げて、歯を食いしばって頑張っていると言うことを理解して欲しいという思いを論文に書きました」
公募は、7月18日で締め切られ、書類選考や面接などを経て7月中にも新たな立候補予定者が発表される予定です。
【中山泰秀大阪4区支部長】
「中山がここで逃げるのか?そうは思われたくない。僕は自民党だと誰よりも思っていますから。どうやって自民党に対して自分の姿勢を政治家として示せるかというのを有権者に見てもらいたいと思っているんですね」
立候補予定者の差し替えという「劇薬」が思うような効果をもたらすのか、自民党の模索が続いています。
(関西テレビ「newsランナー」2023年7月18日放送)