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JR西日本はうめきたの新ホームを開業し、おおさか東線が大阪駅まで乗り入れることになりました。
このタイミングで奈良へ乗り換えなしで行ける臨時特急「まほろば」が１日１往復、６月までの土曜、日曜、祝日、期間限定で運行されました。
車両は２８７系の３両編成で、普段は「くろしお」の増結車両として運行されている編成を使っています。

午前10時前に大阪駅の新しい地下ホームに入線してきた「まほろば」。通常は新大阪方面から入線しますが、この日は前日までの大雨の影響で西九条方面からの入線となり、新大阪方面から来ると待ち構えていた「撮り鉄」の皆さんは一斉に逆方向にカメラを向けることになりました。

この日は列車名表示が入線してから行われる、いわゆる「幕まわし」も見ることができました。大阪駅を出た列車は新大阪駅手前で地上に出て、新大阪駅に停車。「まほろば」は全席指定なのですが、指定席券を持たない多数の外国人観光客が乗り込んできました。しかし指定席は完売の満席状態で、新大阪を出た後は奈良までノンストップなので降りることもできず、立ったまま奈良まで乗車していました。

おおさか東線の区間は待避線もなく、先行する列車を追い抜くことができないので久宝寺駅までは特急にも関わらず超スロー運転。「まほろば」の運行が決まった時に、「これで大阪駅から奈良までスピードアップか」と思いましたが、JR西日本の会見で実は大和路快速の環状線経由の方が数分早く着くことがわかりちょっとがっかりしたのですが、乗ってみてその理由がわかりました。大和路線に入った途端に急にスピードアップし、特急らしさを発揮しました。乗車時間、およそ６０分で奈良駅に到着。駅では歓迎セレモニーがあって、子どもたちには小旗のプレゼントがありました。

一方、奈良への観光特急として２０２２年から近鉄が運行を始めた「あをによし」。引退した１２２００系「スナックカー」を全面的に改装しました。外装は、高貴な色とされる紫のメタリックに金のラインが施され、内装は和洋折衷のデザインで、通常の座席は窓側に１列、全身を包むようなシートです。

大阪難波駅で入線を待っていたところ、ホームに設置され鉄道グッズの自販機が目に留まりました。中には「ひのとり」など近鉄特急のグッズが並んでいました。出発した列車は、しばらく地下を走り、鶴橋駅手前で地上に出ます。この日は長男と次男と３人でサロンシートに座っていたのですが、窓が大きく、駅に着くたびに鉄道ファンだけでなく物珍しさから多くの人がスマホのシャッターを押している姿が見られました。革製のソファー、見た目はおしゃれなのですが、座面が低く、ゆったり座れる感じではなかったのが少し残念でした。

車内の売店でまほろば（ＪＲの臨時特急の名前でもありますが…）の大仏プリンと「あをによし」名物、シェラトン都ホテル大阪特製のバターサンドを購入。味は季節ごとに変わるようで、この時はレーズンとマロンでした。生駒山を登っていくと眼下に大阪平野が広がります。生駒山を越えると奈良盆地へ。

大和西大寺駅を過ぎると、この路線のハイライト、平城宮跡のど真ん中を横切ります。左手に復元された大極殿、右手に朱雀門が見えてきます。線路が敷設されるとき、この辺りは一面田んぼだったのですが、平城宮跡があることは分かっていたので、遺跡を保護するために西大寺駅から当時分かっていた大極殿跡を避けるように南に大きくカーブして線路を敷設しました。しかし、発掘調査を始めると平城宮跡が当時の想定よりも大きな範囲だったことがわかり、今のように遺跡を横切るような形になったそうです。

奈良駅手前から再び地下に潜り、４０分ほどで奈良駅に到着。奈良駅で数分間停車し、再び平城宮跡を逆方向に横切って大和西大寺へ。そこから京都線へ入るのですが、この西大寺駅は京都線を始め、大阪、奈良方面へ向かう奈良線、橿原線が平面で複雑に交差し、線路を分岐させるポイントは４１基あります。複雑に行き交う電車を駅から眺めるのも楽しいのですが、車窓から並走する電車を眺めるのが面白く、私はいつもワクワクしながらこの西大寺駅を通過しています。この後、京都線で京都府南部を抜け、京都駅まで「あをによし」の旅は続きました。難波から京都まで乗り換えなしで約８０分の旅、少し贅沢な気分が味わえます。

JRは大阪や京都から奈良へのアクセス改善に努めていますが、王者・近鉄の利便性にはなかなか歯がたたないのが現状で、臨時特急「まほろば」もスピードでは近鉄にかなわず、専用車両で運行する「あをによし」のおもてなしとはまだまだ差があります。JRは外国人観光客向けの乗り放題チケット「ジャパン・レール・パス」を持つインバウンド客向けのサービスを充実させることが活路になるような気がしますが、インバウンドに振り切ると日本人利用客離れが起きそうな気がするので悩ましいところです…

大和は
国のまほろば
ゆっくりと

あをによし
奈良への路を
贅沢に