大阪のカラオケパブでオーナーの女性を殺害した罪に問われ、一審で懲役20年を言い渡された男が、遺族に手紙を送っていたことが分かりました。
ことし5月に遺族のもとに届いた手紙。
【宮本浩志被告の手紙】
「真優子さんに対しては、今も感謝しております。贈る言葉としては『ありがとう』以外に思い浮かびません」
この手紙の送り主は大阪拘置所にいる被告の男でした。
2021年6月、大阪・天満のカラオケパブ「ゴマちゃん」で、オーナーの稲田真優子さん(当時25)が首や胸など10カ所以上を刺されて殺害され、店の常連客だった宮本浩志被告(58)が逮捕・起訴されています。
真優子さんのスマートフォンには、しつように電話をかけ続けた記録など宮本被告の異常ともいえる執着が残されていました。
【宮本浩志被告】
「あー、まゆさんの声聞きたいな。眠れてないんです。勝手なことですが。1時間おきに目が覚めて」
また、犯行当日に真優子さんの店に訪れた写真も残っていて、このすぐ後に犯行に及んだとみられます。
一審の裁判員裁判で宮本被告は、「死刑をお願いします」と語った一方で「どなたからの質問にも答える気はありません」と罪を認めるかどうかすら、明らかにしませんでした。
大阪地裁は2022年「犯行の動機について詳細を明らかにすることは困難」とした上で、「強固な殺意に基づく無慈悲で残酷な犯行」として懲役20年の判決を言い渡し、宮本被告は控訴しています。
裁判で真実を知ることができないまま、2023年1月、真由子さんの父・峰雄さんが、すい臓がんでこの世を去りました。
【稲田真優子さんの母・由美子さん】
「病は気からっていうけど気力がガタ落ちしていたので。娘に先立たれて」
なぜ娘の命は奪われたのか。母・由美子さんは、拘置所にいる被告に手紙で問いました。返事は、すぐに返ってきました。
【宮本浩志被告の手紙】
「真優子さんは両親が大好きだとよく話をしてくれました。よく『名前の通り、真に優しい子だね、君は。』と返していたことを思い出します。ちまたで小職のことをどう伝えられているかは具体的にはほとんど知りません。おそらく、無責任で適当な情報も多く流れていることでしょう。情報が満ちあふれている中で、正否の判断がつかずにご混乱されているのではないでしょうか」
一番知りたかったことに、何も答えませんでした。
【稲田真優子さんの母・由美子さん】
「これほどしらじらしかったら、こっちが勘違いしているのか錯覚しますよね。もしかして真犯人がおったりしてって、疑いたくなるぐらいしらばっくれているけど」
5月から控訴審が始まり弁護側は改めて無罪を主張していますが、宮本被告は法廷に姿を現していません。
【稲田真優子さんの母・由美子さん】
「最後までこの事件の真相を聞くことは、もう私が生きているうちにはないのかなと思ったり。この際、謝罪はいいんですよ。今更謝ってもらおうと思っていないんですけど、何がどうしてこうなったのか聞きたいという気持ちはあります。けど無理なんだろうなと思っていますけど」
宮本被告から何も語られないまま、控訴審は7月10日に判決を迎えようとしています。 残された家族は、被告の口から真実が聞けることを願っています。
(関西テレビ「newsランナー」7月6日放送)