“居場所”を探して…「グリ下」に 医学部受験に2度失敗した若者 お好み焼き屋アルバイトを生活基盤に再び“医者の夢”へ 「誰かのために頑張る力を」地元企業などが支援 2023年07月04日
様々な理由で生きづらさを抱える若者が集まる大阪・ミナミの通称「グリ下」。この場所から次の一歩を踏み出した若者がいます。
きっかけは「地域」の支え。若者の特別な1日を取材しました。
■医学部受験に失敗…“よりどころ”を求め「グリ下」に
開店直後からにぎわいを見せる大阪・ミナミのお好み焼き店。
この日からアルバイトとして働き始めたのは、中沢駿さん(21)です。
【中沢駿さん(21)】
「新たなスタートということで頑張っていきたいなと思います」
中沢さんは、医学部の受験に2度失敗して以降、心のよりどころを求めて各地を転々とし、「グリ下」にたどり着きました。
道頓堀のすぐ下、通称「グリ下」は、生きづらさを抱える若者たちの居場所になっています。
一方で、犯罪やトラブルに巻き込まれるケースも多発しています。
そこで、「千房」などの地元企業が若者を採用し、寮を提供するなどして自立を支援するプロジェクトを始めました。
【千房 中井貫二社長】
「われわれとしては、そういった子たちが日の当たる場所で普通にまっとうに仕事ができることをサポートできたらなと」
最初は興味本位で「グリ下」に来たという中沢さん。
2度の受験での挫折感を抱えながらも、先の見えない状況から抜け出し、自分を変えたかったといいます。
-Q:精神科医を目指している?
【中沢駿さん】
「そうですね。自分がしんどい時を経験したことがあるから、それも伝えながら3度目の正直ということで、3回目の受験にチャレンジしてみて」
■ 外国人との交流も アルバイトで基盤整えて再び夢へ
中沢さんは「千房」でのアルバイトに励み、生活基盤を整えながら、再び医者の夢を目指します。
海外からのお客さんが多く訪れるこの店で働くことをきっかけに、苦手だという英語への向上心も生まれていきました。
【中沢駿さん】
「英語を話せたら接客も楽になると思うので、それも含めてがんばりたい。楽しかったです。 皆さん良い方々で、人間関係作りやすそうだなという面で楽しかったです」
【千房 中井貫二社長】
「働くことで自分の活力を見いだしたり、誰かのために頑張る力が湧いてくる。彼らの心に芽生えてくれたら」
仕事を通して若者の孤立を防ぐ、支援の取り組みが今動き出しています。
(2023年7月4日 関西テレビ「newsランナー」放送)