性教育を少年院で コンドームで正しい避妊 「相手を思いやる気持ち」に気付いてもらいたい 助産師の特別授業「大事な話を改めて聞けて良かった」と入所者 2023年06月29日
10代のうちに正しい性の知識を知ってもらおうと、先日、兵庫県加古川市で助産師による「性教育」が行われました。
【スマルナステーション助産師 神保ゆうこさん】
「液貯めがあったでしょ。液貯めしっかり空気抜いてください。片手で空気抜いて、しっかり下ろしていく」
コンドームを使った正しい避妊について語る助産師の神保ゆうこさん。
■少年院に入所する16歳から20歳の約100人が“性教育”受講
6月5日、16歳から20歳の入所者約100人が受講しました。入所の理由は、窃盗や傷害の罪など様々ですが、中には性犯罪を犯した入所者もいます。
講師の神保ゆうこさんは、大阪・ミナミにある若者向けの相談施設「スマルナステーション」で、日頃から性の悩みを聞いています。
【スマルナステーション助産師 神保ゆうこさん】
「男性の相談は、自分の性自認だったりとか、ボディーイメージ(体形に関するコンプレックスなど)の相談もあれば、パートナーの妊娠とか妊娠不安の相談をする方もいらっしゃる」
■性教育を通じ「相手を思いやる気持ち」に気付いてもらう狙いが
少年の中にはパートナーの気持ちを考えてこなかったと話す人もいて、性教育を通じて「相手を思いやる気持ち」に気付いてもらおうという狙いがあります。
授業では、恋人から身体的・精神的な暴力を受ける「デートDV」や、性的な行為について互いの意思を確認する「性的同意」について知っておくことの重要性も伝えられました。
【入所者】
「(過去に)妊娠させちゃったりとかはあるんですけど。リスクを負ってるのは全部女性側なので、男の方がもっとちゃんと考えてやってあげないとあかんし。申し訳ないですね、本当に。無責任だったなと思います。学生の頃はそういう話をちゃんと聞く人間じゃなかったので、全然覚えてなくて。少年院に来て、色々考え方とか心境も変わって、こういう大事な話を改めて聞けて良かったと思います」
【スマルナステーション助産師 神保ゆうこさん】
「最初シーンとしていたので大丈夫かと思ったけど、途中からバンバン手が上がってきて、『この人に聞いていいんや』と思ってもらえたのは実感としてあります。自分で苦しくなっちゃってる子が多いかなと思うので、もっと聞いていいよ、もっと外に相談していいよ、もっとつながっていいよ、と。そこが一番伝えたいことかなと思います」
■「退所後に孤立しないように、相談できる場所があると知ってもらいたい」
神保さんが勤務する相談施設「スマルナステーション」など、近年、悩みを抱える若者が相談できる施設が増えつつあり、若者に寄り添う大人の活動も広がっています。
神保さんは「少年たちが退所した後に孤立してしまうことがないように、悩みを相談できる場所があると知ってもらいたい」と話していて、今後も少年院での性教育を続けたいとしています。
(関西テレビ「newsランナー」2023年6月28日放送)