6月から“条件付き特定外来生物”に指定された「アメリカザリガニ」と「アカミミガメ」が野生への放流や販売が禁止されました。そんな中、アカミミガメの拡大を防止するための異例の取り組みが神戸市で行われています。
■飼いきれなくなって飼い主が手放すアカミミガメ
神戸市にある「外来生物展示センター」。中へ入ると水槽がズラリと並んでいて特定外来生物の「ブルーギル」などが展示されています。その横にはブルーギルに捕食される側になってしまう在来種も展示されています。
今回詳しく見ていきたいのが「アカミミガメ」。目の横の赤い線が特徴で、北アメリカ原産で池や川に生息しています。小さい頃はミドリガメと呼ばれます。
1950年代にペット用としてアメリカから輸入されてきて、全国でおよそ160万匹が飼育されているとみられます。
小さくてかわいらしい感じもしますが、大きくなって野に放つと大変なことになってしまうそうで、神戸市自然環境課の岡田さんにお話を伺いました。
(Q.最初は小さくてかわいいのに成長するとかなり大きくなるようですね?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「育つとかなり大きくなります。爪も結構長いので、引っかかれると手が痛いです」
(Q.飼いきれなくて手放す人が多いそうですね?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「はいそうです。そういう方は多いと思います」
■本来ワニなどがいる環境に生息する生物で動きも早い
「特定外来生物」といっても捕獲や飼育、無償譲渡はこれまで通り問題ありません。しかし、野生に放したり、販売することは禁止されています。もし禁止行為をした場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられます。
(Q.厳しく取り締まらないといけないくらい生態系への影響が大きい生物ですか?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「似たような在来種でニホンイシガメがいるのですが、アカミミガメとほぼ同じものを食べ、ほぼ同じ場所に住んでいます。しかし、アカミミガメの方が繁殖力が強くて数も多く大きいので、イシガメはどんどん住処を奪われてしまうんです。それだけではなくて、アカミミガメが日本の水草とか日本の水生昆虫も食べる、それもかなり大量に食べるので、在来種の生態系に悪影響を及ぼしているという風に考えられています」
■捕獲したカメの数に応じて最大5万円を補助する神戸市
そんなアカミミガメの拡大を防止する、全国で唯一とみられる取り組みを神戸市は2016年度から続けています。
神戸市内に拠点があって、非営利目的であれば、このアカミミガメを捕獲した場合、亀の数に応じて最大5万円の補助金を出しています。飼いきれなくなった個人からも引き取っています。
(Q.アカミミガメは最大、どのくらいの大きさになるのですか?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「最大30センチくらいになります」
そのため飼いきれなくなって野に放してしまう人が多いのですが、それはもうできません。
(Q.神戸市では飼えなくなったアカミミガメも受け入れているのですか?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「ペットも神戸市で引き取ることにしています」
(Q.この1カ月で問い合わせも増えているのでしょうか?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「『引き取ってほしい』という依頼・問い合わせは増えています」
(Q.引き取ったカメはどうするんですか?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「放流する訳にはいかないので、環境省のマニュアルにのっとって冷凍処理で殺処分せざるを得ません」
アカミミガメの受け入れ・引き取りは全国の自治体でもあまり多くないそうで、受け入れない自治体もたくさんあります。
(Q.となると無償譲渡できる相手を探さないといけないですが、相手が見つからなかったら最悪、自分で殺処分するしかないってことですよね?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「はいそうです、最終的には殺処分するしかありません」
(Q:そういう結末を迎えないようにするためにはどうしらいいのでしょうか?)
【神戸市自然環境課・岡田篤課長】
「アカミミガメは長いものは40年も生きるので安易に飼わないことです。飼った以上は最後まで責任を持って飼って頂くことが必要です」
これから飼おうと思っている方は、本当に育て切れるのかよく考えたほうが良さそうです。飼い始めてから大変だから、「じゃあ放流しよう」ということはもうできません。 外来種の問題は、飼う側のモラルが大切だといえそうです。
(関西テレビ「newsランナー」6月27日放送)