弾痕が残る鍋に“虹”を 「戦争がれき」をアートに ウクライナ出身のアーティスト「涙の代わりに"心に花"を」 作品の収益はウクライナの戦争孤児の支援へ 2023年06月26日
去年、ウクライナから避難し、関西でアーティスト活動をしている女性がいます。作品に込めた思いを取材しました。
アーティストとして活動しているウクライナ人のユリヤ・ボンダレンコさん(31)。
【ユリヤ・ボンダレンコさん】
「(描いているのは)ウクライナの国の花、ひまわりです。『ウクライナ人の涙の代わりに、心の中に花が咲きますように』そんな願いを込めて…」
ユリアさんは去年、ロシアとの国境に近いチェルニヒウから関西に避難してきました。
【ユリヤ・ボンダレンコさん】
「戦争が始まった時、両側から空爆とかで攻められてしまって。爆弾の爆発のせいで、空が赤く染まることがありました。夜は昼と同じように明るくなりました、すごくすごく怖かったんです」
ユリヤさんが作品として使うのが、ふるさとのウクライナから届いた「戦災がれき」です。
届いた包みからは、戦場の悲惨さを物語るような、銃弾が貫通した鍋や割れた皿などが出てきました。
この欠けたり割れたりした日用品をつなぎ合わせ、虹色に装飾していきます。
【ユリヤ・ボンダレンコさん】
「虹は『希望』を表しています。今たくさんのウクライナ人は家を失って、愛する人を失ってしまって、その上たくさんの子どもたちは孤児になってしまいました。壊れたウクライナ人の心がまた癒されるように…そんな思いとか気持ちとか希望を伝えています」
作品は個展などで販売され、収益のほとんどはウクライナの戦争孤児を支援する団体に寄付されます。
【個展に来た人】
「ウクライナに起こっていたことが本当に悲しいことなのに、ユリヤさんの表現ってとても明るくてポップなのが救いになっているというか。希望を感じさせるなと思いました」
【ユリヤ・ボンダレンコさん】
「みんなにとってウクライナで起きている戦争は、当たり前のことになってしまった。ウクライナのことを忘れないように、ウクライナで起きている戦争が早く終わるように、そんなメッセージをできるだけ作品通じて伝えたいんです」
悲しい雨が降った心に再び虹がかかるよう…そんな願いを込めて、ユリヤさんは、作品を作り続けます。
ユリヤさんの初めての個展「Power to live.」は、8月10日から13日に大阪でも開かれる予定です。
(2023年6月26日 関西テレビ「newsランナー」放送)