「将太を返してください」「最も重い処罰を望む」と遺族は訴え… 13年前に高2男子生徒がナイフで刺され死亡した事件 殺人罪に問われている当時17歳”元少年”の男に検察側は懲役20年を求刑「深い刺し傷が複数あり殺意はあった」 2023年06月12日
13年前、神戸市で男子高校生を殺害した罪に問われている当時17歳の男の裁判で、検察は懲役20年を求刑しました。遺族は「最も重い処罰を望む」と訴えました。
■息子を亡くした母親 法廷で被告の男に向かって初めて訴える
事件から13年。
12日、法廷で息子を亡くした母親が、被告の男に向かって初めて訴えかけました。
【堤将太さんの母・正子さん】
「できることならば将太を返してください。大きな声で言いたいです」
当時17歳だった男(30)は2010年、神戸市北区で高校2年生だった堤将太さん(当時16)をナイフで複数回突き刺して、殺害した罪に問われています。
これまでの裁判で男は殺意を否認し、弁護側は「男は事件当時、心身耗弱で十分に刑事責任を問える状態ではなかった」と主張していました。
12日、遺族による意見陳述が行われ、将太さんの母・正子さんが息子への思いを語りました。
【堤将太さんの母・正子さん】
「先日将太の夢を見ました。『ただいま』と言っている声は聞こえるのに、29歳の息子の顔や姿が見えない。なぜ将太の命が奪われたのか、その日から心から笑えたことはありません。最も重い処罰を望みます」
■「心神耗弱状態だった」とする弁護側に対し「殺意はあったと判断できる」と検察側は指摘
父親の敏さんも将太さんとの思い出を語りました。
【堤将太さんの父親敏さん】
「(事件の年の)8月の終わり『お父さんの仕事継ぐか?』と聞いたことがあります。将太は飛び上がって喜び、大きな声で『ほんまに?ええの?』と言いました。輝くような笑顔を忘れることができません。被告は一日一日罪を重ねています。犯行から11年間すべてが犯罪だと思います。将太を返してください。元に戻してください」
被告の男は、意見陳述の間、ずっと遺族の方を見つめていました。
このあと検察側は「体の重要な部分を狙って深い刺し傷が複数あり、殺意はあったと判断できる。医師が精神障害はなかったと鑑定している」と指摘し、懲役20年を求刑しました。
一方、弁護側は「犯行の時期は人格が普段と違う精神状態で、犯行により死亡するとは思っていなかった」と指摘し懲役8年が相当だと主張しました。
裁判の最後に、男は「被害者から全てを奪ってしまった。遺族から、家族の心の平穏を奪ってしまいました。申し訳ありません」と、謝罪の言葉を口にしました。
12日の裁判の後、敏さんは会見に臨みました。
【堤さんの父・敏さん】
「私らの言うことが、彼に届く期待はしていないが、少しでもこの声が届いたらいいなと思う」
判決は6月23日に言い渡されます。
(関西テレビ「newsランナー」6月12日放送)