30歳の「元少年」裁判が7日から 事件当時は17歳 高校生の息子を殺害された父は「逃げている一日一日が犯罪なのでは」 逮捕までの11年間の責任は? 少年法に疑問投げかける 2023年06月07日
13年前、神戸市北区で高校生の堤将太さんが殺害された事件の裁判が7日から始まります。被告は、11年後に逮捕された当時17歳の元少年(30)。法的な手続きが少年法が適用されて進んでいます。そんな中、遺族は、「逃げ続けた11年の責任を問われるべきではないのか」と訴えています。
事件が起きて、およそ13年。父親の堤敏さんにとって、息子の姿は16歳のまま変わりません。
【堤敏さん(64)】
「同級生なんかが、当時と比べたら全然違う大人になってるよね。この中で将太はどうなってたんかなと思う。ずっと見ててやれん親のつらさっていうのは…それはあるよね、本当に」
2010年、神戸市北区の自宅近くで、高校2年生だった次男の将太さん(当時16歳)は、ナイフで刺され殺害されました。それから11年後、殺人の容疑で逮捕されたのは、現在30歳で犯行当時17歳だった元少年。犯行時の年齢から少年法が適用され、名前は公表されませんでした。
その元少年の裁判が7日から始まります。逃亡していた間に成人となりましたが、今でも元少年が名乗り出なかったこと自体を罪に問われることはありません。
【堤敏さん】
「僕らにしたら犯罪を犯して逃げてる一日一日が犯罪だから。今から更正を目的として教育して社会に戻す、そういうふうな処分しましょうかっていうことが、それでいいの?と思うよ」
事件があった日に合わせて、犯人逮捕につながる情報を呼びかけた日々がありました。犯罪被害者遺族となった苦しい立場を講演で訴える活動にも取り組んで来ました。2022年8月の講演で、堤さんは「奪われた命は戻りません。被害者は何年たっても、被害の中にいるんです」と苦しい胸の内を語りました。
元少年の逮捕後は、ほかの刑事裁判を見て裁判がどのように進むのか学びました。また、検察庁にも何度も足を運び、打ち合わせを重ねました。
【堤敏さん】
「将太の言いたいことを代弁してやらなあかんと思うし、それを伝えたいしね。相手にね。裁判員にも裁判官にも世間にも伝えたいからね。悔しかったやろうし、つらかった部分を言ってやろう。それだけ」
元少年は警察の調べに対し、「女の子と一緒にいて腹が立った」という趣旨の供述をし、犯行を認めています。しかし、敏さんたち家族に対して謝罪の言葉は一度もありません。
なぜ将太さんの命が奪われなければならなかったのか。敏さんは、裁判で明らかになることを望んでいます。
専門家の見解です。
【元少年院長の京都産業大学 服部達也教授】
「想定がある以上、少年法の対象として更生が第一とされるのはやむを得ない」
【犯罪被害者支援に取り組む高橋正人弁護士】
「自分から名乗り出ず成人となっている。実名の公表や刑の重さを成人並みとする選択肢もあるのでは」
また、関西テレビの加藤さゆりデスクは「少年法の適用で量刑が変わってきます。死刑の求刑はできません。有期刑でも成人より軽くなります。遺族からすると納得がいかないところだと思います。30歳となった被告に厚生の余地があるのかというところを考えるべきですし、裁判員裁判となりますので、どういった判断が下されるのか注目していきたいと思います」とコメントしました。
(関西テレビ「newsランナー」2023年6月6日放送)