「私たちの住んでいる世界を守るため、やはり核はいらない」 生後8カ月で“被爆” 核の残酷さを語り続ける女性 世界の首脳が被爆地に立ったということに大きな意義があると語る 2023年05月19日
19日、各国の首脳が被爆地を訪問する様子を、真剣な表情で見ている人がいました。
【近藤紘子さん(78)】
「私としてはうれしく思う。平和公園に立つということは、きっと一人一人の心の中に、何か残っているはず」
兵庫県三木市に住む近藤紘子さん(78)。近藤さんは生後8カ月の時、爆心地から1.1キロにある広島市の自宅で被爆しました。生き残った使命感から、日本のみならず世界に向けて、核の残酷さを語り続けます。
【近藤紘子さん】
「August 6th 1945, I wore this. This is the only dress I have. Because everything‘s burned(1945年8月6日。私はこの服を着ていました。今、私が持っている当時の服はこれだけ。なぜなら全部燃えてしまったから)」
18日、留学者に向けた講演会で、近藤さんは10歳の時に訪れた転機について語りました。被爆者の救済活動をしていた牧師の父とともに、アメリカのテレビ番組に出演した際、原爆を投下したB-29爆撃機の副操縦士と対面。憎み続けていた相手が原爆投下についてこんな反応をしたと言います。
【近藤紘子さん】
“After he said…(『なんてことを私たちはしてしまったんだろう』彼はそう言いました。その後、涙が流れ続けているのが見えたんです。私は、彼が怪物だと思っていました。でも違う。彼は、私と同じ人間だったんです。私は心の中で、『神よ。許してください』とつぶやきました)
戦後78年。近藤さんが願い続けてきた「核なき世界」は、いまだ実現していません。それでも、核保有国の首脳たちが被爆地に立ったということに、大きな意義があると近藤さんは語ります。
【近藤紘子さん】
「その場に立ったということは、何か心に、それぞれがこれからどうしなきゃいけないかと考えるチャンスが、できたんじゃないかと思います。私たちの住んでいる世界を守るためには、やはり核はいらない」
(関西テレビ「newsランナー」2023年5月19日放送)