“ふれあい”体験やめます 「動物の幸せ」ファーストで“持続可能”な動物園目指す アニマルのストレス減らす京都市動物園「動物福祉」の取り組みとは? 2023年05月04日
今、全国の動物園で大切にされているのが、「動物の幸せ」や「動物の福祉」という考え方です。
京都市左京区にある「京都市動物園」では“ある取り組み”で動物が健康になりました。
■ 「動物福祉」を重視 ふれあいを中止に
今年で、開園120周年を迎えた京都市動物園。
子どもたちに大人気の大きなアジアゾウに、悠々と食事をするニシゴリラや、歩いても寝そべっても姿がかっこいいアムールトラなど、100種類以上の動物たちを観察できます。
大型動物たちの他にも人気なのが、手のひらサイズのテンジクネズミを観察できるコーナー。
小さく、おとなしいので、なでたり、抱っこができるのかと思いきや…。
【スタッフ】
「大きい手で触られると、すごいビックリしてしまうので、ストレスを感じちゃう。優しく見るだけにして下さい」
【京都市動物園・佐々木智子さん】
「動物福祉をベースに動物のよりよい環境づくりに配慮しています。動物を触らずにできる工夫は考えています」
「動物福祉」とは、動物のストレスを取り除き、自然な行動ができる環境づくりを目指す考え方で、世界的にその大切さが提唱されています。
京都市動物園でもその一つとして、テンジクネズミとの「ふれあい」をやめました。かつては、「抱っこ」などのふれあいができましたが、2018年に「背中をなでる」形に変えました。
しかし、その後、背中をなでるだけでもストレスがかかることが研究で判明。
さらに、新型コロナの感染対策でふれあいを休止すると、体調を崩すテンジクネズミが減ったことから、ふれあい自体をやめることにしたのです。
そして、去年の秋からは、箱や、わらで「部屋」を作り、テンジクネズミがどう使うかを「観察」するプログラムを始めていますが、体験に来た人たちは触れないことに物足りなさを感じないのでしょうか?
―Q:体験してみてどうでしたか?
【体験した人】
「かわいかった」
「テンジクネズミの好きなことがいっぱいわかって、よかった」
「触れあうことはできなくても目の前で行動を見ることで、図鑑や本ではわからないことがわかるので、いい機会」
【京都市動物園・佐々木智子さん】
「最初は触れると思って入る方がおられるんですけど、参加された方は反応がよくて、動物を触らなくても、とても満足していただいています」
■ “財政難”でエサの寄付が集まる
一方で、京都市が抱える深刻な財政難の問題で、エサの寄付が増えているということです。
例えば、漬物屋からは野菜の切れ端、豆腐屋から「おから」などが寄付されています。個人でも寄付をする「エサ代サポーター」制度が設けられていて、一口500円からお金での寄付を受け付けています。
「動物福祉」の広まりで新しい動物園の楽しみ方が生まれています。
(2023年5月4日 関西テレビ「newsランナー」放送)