悪徳商法・カルト勧誘に狙われやすい人は? 大学では"高額"USBを買わされる事例が多発 勧誘されたらどう撃退すれば 「親をバカにする」が気づきのサインにも 紀藤正樹弁護士が解説 2023年04月19日
「新たな出会い」に最も注意が必要な春。カルトや悪徳商法にどう注意すればいいのか、消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士に話を聞きました。
■ どういう人が狙われる?
紀藤弁護士は、「人間関係が切り離されている人」や「好奇心がある人」が狙われやすいと指摘します。
【紀藤正樹弁護士】
「新入学や新社会人は環境の変化がある。下宿をしたり、忙しくなって友人などとの関係が希薄になったりしやすい。そういう方は友人や家族に相談されないので狙いやすい。一方で、ただ狙うだけでなく好奇心がニーズとなっている。これから新しいサークルで運動や勉強したい、社会の仕組みを知りたいと思う人は、近づいていきやすい」
好奇心がある人に対して、大阪大学が作った不当な勧誘への注意を呼びかける動画です。
留学を夢見るタカシくんは、ある日留学経験があるという先輩を紹介されます。
▼大阪大学の動画
【”留学経験がある”という先輩】
「留学に行くと視野が広がるねん。これまでの価値観が変わるわ。キャリアとしてアピールできるねん。就職に困らへんってことや。実は来月、留学経験者が集まるイベントがあるねん。君らも一緒に来うへん?」
【新入生】
「おぉ、いいですね!タカシ、一緒に行こうや!これチャンスやで!」
誘われていたイベントは留学のものではなく、宗教や悪徳商法の勧誘の可能性があるということです。
【関西テレビ・加藤さゆり解説デスク】
「文部科学省は毎年全国の大学に通知を出していますが、旧統一教会や闇バイト問題が明るみに出たので、今年はより具体的に対策を取ってほしいと注意を促したようです」
■ 勧誘の手口も多種多様に
勧誘の手口には、出会い系アプリに登録して相手に会えたものの、実は相手がカルトの勧誘だったという事例があるということです。
【紀藤正樹弁護士】
「人と出会いたいというのが新入生などに多くいます。その際に、出会い系アプリがよく使われていますが、相手はニーズがある人を狙っています。『一歩先には詐欺師がいる』という前提に、このようなアプリは使う必要があります」
また、暗号通貨や株取引で儲けるノウハウが入ったとされるUSBメモリを高額で売りつけるという商法もあるということです。
【紀藤正樹弁護士】
「大学で相当はやっています。USBの値段が10万~50万円で売られて、中には投資をする際の基本的なソフトが入っていて、これをすれば必ず儲かると言われるということです。さらに、人に紹介したら20~30%のマージンがもらえると言われ、4~5人に紹介すると元が取れると考えられています。しかし、それは儲かるはずがないので、結果的に友人知人との人間関係が破壊されるという問題が起きています」
―Q:怪しい手法でもひっかかるんですね?
【紀藤正樹弁護士】
「勧誘してくる人が詐欺師の顔をしていない。先輩や友人のような振る舞いで、サークルのように正体を隠した勧誘も多いです。最初はサークルとして友達関係を作ってから行われることもあります」
周囲が気を付けるべき変化として、「お金遣いが荒くなる」「親をバカにするようになる」とった特徴を紀藤弁護士はあげています。
【紀藤正樹弁護士】
「マルチ商法も、親から反対されることをわかっている。それを予想して、例えば親がサラリーマンや商売人だとすると、『そういう親と付き合っても一生お金儲けできない』と教え込むのです。10年後の自分のビジョンとして教えられると、自分の親を見た時に親をバカにするようになります。他律的に教え込んでいるのです。親から見たら人格の変化なので、『今までこんな子供じゃなかったのに』と意気消沈して、我々に相談されることが多いです」
視聴者から関西テレビ「newsランナー」の公式ラインに質問が来ています。
―Q:しつこく自宅に訪問して勧誘してくる行為の対処法は?
【紀藤正樹弁護士】
「すぐに断るのが大事ですが、自分で対処するのも危険です。政府も法テラスという場所に相談窓口を置いていて、『消費生活センター』などにも相談が来れば対処するようになっています。行政などに相談してもらうのがいいと思います」
(2023年4月19日 関西テレビ「newsランナー」放送)