堺市で、“少子化”と“空き家”という、現代社会が抱える2つの問題を、一石二鳥で解決しようという取り組みが始まります。
【記者リポート】
「こちら、築100年ほどの空き家なんですけれども、こうした空き家対策と少子化対策を掛け合わせた政策を堺市が発表しました」
堺市は、18日、若い世代の夫婦や子育て世帯が、市内の空き家を購入した場合、その費用の半額、最大120万円までを補助するという制度を発表しました。
人口・面積ともに、大阪第2の都市である堺市。ただ、街を歩いてみると…
【毎日不動産 伊津征彦代表】
「この家も空き家になっていますし、そのお隣も空き家になっているという状態が続いていますね」
堺市では、2012年をピークに人口の減少が続き、それに伴い市内の空き家率は13.6%にも上りました。
【毎日不動産 伊津征彦代表】
「どうぞ入ってください。間取りは、1間、2間、3間、4つあって、奥に庭があるんです」
40坪あるというこちらの住宅。築100年以上というだけあって、お風呂は外にあり、渡り廊下でつないでいます。なかなか次の入居者が決まらず、1年ほど空き家のままだということです。
【毎日不動産伊津征彦代表】
「2階は畳の部屋があるんですけれども、今度は若い人向けにフローリングにして、きれいにしようと思っています。市の計画通り、こちらも対応して、できるだけ買っていただこう、住んでいただこうと思います」
若い世代に入居してもらうため、リフォームが必須な空き家も、今回の補助制度があれば入居しやすくなるのではと、売り手側も期待します。
【堺市 永藤英機市長】
「空き家問題、これからさらに深刻化することが想定されますので、早い段階で空き家が放置されている状況を解消したい」
対象は、夫婦や市のパートナーシップ宣誓をした2人のどちらかが39歳以下の世帯と、18歳未満の子どもがいる子育て世帯で、来年2月までの購入希望者です。
【堺市民】
「補助あったら、リノベーションしたりして(空き家も)いいかなと思います」
【堺市民】
「120万円…」
「なぜ120万円なんだろうというのが逆に、中途半端というか」
「newsランナー」に出演した、大阪大学大学院・安田洋祐教授は「40代以上のカップルや独り暮らしの方は補助を受けられない。そうすると『堺市の空き家を活用して住みたい』と思っていても、何か損した気持ちになるかもしれない。条件を絞った政策は、該当しない人に不公平感を生み出しやすいので、もろ刃の剣になるのかと感じる」と話しました。
少子化と空き家の問題を一挙に解決しようというこの取り組み、果たして効果は出るのでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」2023年4月18日放送)