【専門家解説】首相襲撃に使われたとされる「パイプ爆弾」の威力は もし事件に遭遇したらどうしたらいい? "リスクある"応援演説は本当に必要なのか 2023年04月17日
■ 爆発物の正体は
銃器評論家の津田哲也さんは、爆発物を「パイプ爆弾」とみています。
これらは簡単に手に入る材料でネットで作成ができるということです。
爆発物の威力については映像を見る限り、そこまで大きくないため、殺傷目的ではなく愉快犯の可能性があるとしています。
またなぜおよそ50秒後に爆発したのかについて、木村容疑者が右手に銀色の筒を持っていることから、爆発物の1本目は右手の筒で操作した遠隔か時限式のもので、取り押さえられた時に持っていた2本目はライターで着火したのではないかと指摘しています。
この事件について、テロ対策に詳しい日本大学危機管理学部の福田充教授に話を聞きました。
―Q:今回の爆発物について、どうご覧になりましたか?
【日本大学危機管理学部・福田充教授】
「爆発物はおそらく鉄パイプ爆弾だと思いますし、中は黒色火薬だと思います。つまり、花火や爆竹の火薬を中に詰めているものです。そのため威力は弱いと考えられます。ただ、なぜあれだけ爆発物が飛んだのかというと、筒の両端を閉じていたものが爆発で片方の端が抜けて、そこからロケット花火のように飛んで行ったのではないかと思います。その結果、40メートル飛んだものの、爆発は現場ではそれほど起きていない。花火のようなにおいや白い煙が出たことも、それらが理由だと考えられます」
週末には統一地方選の後半戦、さらには来月にはG7広島サミットが迫っており、要人警護に関して緊張感が高まっています。
そんな中、自民党議員からは「人と会って訴えることが基本。投票するかどうかは、候補者を知っているかどうか。不安だが続けざるを得ない」という声も聞かれました。
【関西テレビ・神崎博解説】
「選挙で重要視されているのは、有権者にどれだけ多く会えるかという部分なんですね。田中角栄元首相は『手を握った数しか票が得られない』という、”どぶ板選挙”とも言われるような言葉を残しています。今回も岸田首相は応援演説として来ていて、現職の首相はより多くの人を集められることから来ているわけで、事前に自民党のホームページでも告知をしています。このような選挙のやり方は変えにくいという現状があります」
■ 事件に遭遇した時どうすれば?
関西テレビの視聴者からは「このような事件に遭遇した時、私たちにできることはありますか」といった質問が寄せられました。
【日本大学危機管理学部・福田充教授】
「爆発物がいつ爆発するか分からないので、物が投げられたら安全な場所に避難することが大事です。さらに、『避難してください』という放送ができるような環境を整えられるようにしてほしいです」
―Q:爆発物が投げられた時、写真を撮ろうと近づいている人がいましたが?
「とても危険ですね。2発目、3発目があるかもしれません。筒がこれから爆発するかもしれないという意識も大事。銃撃等があるかもしれないので、避難ができないならば、物陰に体を隠すとか、地面に伏せるなどすることが大事です」
―Q:応援演説をなくすことはできないのでしょうか?得票数に影響するのでしょうか。
【関西テレビ・神崎博解説】
「候補者がより多くの有権者に接するためには、人集めできる大物の政治家を応援演説に入れて多くの有権者に集まってもらうことで、候補者の顔を売り込むことができるとされています。これが得票数にも影響すると政治家側は考えていますね」
(2023年4月17日 関西テレビ「newsランナー」放送)