利用者が急増『チャットGPT』 使いこなすコツは“細かい設定”にあった! 漫画家が娘のために“前向き”指導をAIにお願い 一方、学問分野で京大総長は「懸念」 2023年04月11日
検索の概念を変えるとまで言われる最新技術「チャットGPT(ChatGPT)」。社会を大きく変える可能性があると期待される一方、学問の分野からは懸念の声も出ています。最新AIとの上手な付き合い方とは?
質問を入力すると人工知能=AIが、まるで会話をするように答えてくれる「チャットGPT」。人間が書いたような自然な文章を作成できるのが特徴です。アメリカの実業家らが設立した企業「オープンAI」が開発し、去年11月に公開しました。すると、わずか2カ月で利用者が1億人に到達。いま世界で最も注目されているといっても過言ではないサービスなのです。
■急速に利用者を増やす「チャットGPT」 懸念も示される…
そして4月10日、なんとオープンAI社のトップ・アルトマンCEOが日本を訪れ、岸田首相と面会しました。「日本への進出を考えている」との発言もあり、世界が大注目する技術に、期待が膨らむ一方で…
【オープンAI アルトマンCEO】
「(岸田首相と)AI技術の長所や、短所をどう軽減するかについて話した」
課題とされているのが、学問の分野での取り扱い。学生が大学のレポートや論文などに利用することが懸念されています。京都大学の湊総長も、4月7日に行われた入学式で、チャットGPTに言及しました。
【京都大学 湊長博総長】
「チャットGPTなどの生成AI・自動文書作成ソフトが話題になっています。『文章を書く』ということは、時間をかけてじっくりとこれらを検証しながら、できる限り正確な知識に基づいて、最も自分らしい思考や感性を作り上げ、表現していくプロセスであると言えるでしょう」
文部科学省は使い方に関するガイドラインを作成する方針です。
■チャットGPT利用したサービス 既に教育分野で使われている例も
学問の分野で懸念の声がある一方、教育の分野では、チャットGPTをうまく使いこなしたサービスもあります。生徒ひとりひとりと向き合って教えたいという“先生”たちの事務仕事の負担を減らすために、チャットGPTを利用したサービスがあります。その名も「先生のBUKA」。
【みんがく 佐藤雄太代表取締役】
「学習塾に通う生徒さんが、家で勉強する時、困った時に何かサポートできる、そんなサービスを作っております」
学習塾の生徒が家に帰ってから、塾の先生に「やる気が起きない」というメッセージを送ってきたとします。そこで先生がボタンをクリックすれば、“生徒を励ます返信メッセージの案”が表示されます。そのメッセージ案をもとに、“頑張りすぎている”と感じる生徒に対しては「リフレッシュするよう」先生が書き加えるなどして送信します。
【みんがく 佐藤雄太代表取締役】
「チャットGPTをはじめとする生成AIが、事務的なところをやってくれる。生徒さんとしっかり向き合う時間を取れる」
このサービスで適切なメッセージ案を作成させるポイントが、「プロンプト」と呼ばれる指示。「こんなメッセージを作るように」と細かく設定できます。
■活用のコツは「プロンプト」 チャットGPTに求める役割を細かく設定
プロンプトを工夫して、子どもたちの家庭学習に活用している人もいます。
【漫画家 小沢高広さん】
「やっぱり人間、大人が相手すると、ちょっとイライラしたり、誘導したりしちゃうんですよね。どうしても。でも(AIは)ずっと待ってくれる」
「うめ」というユニット名で活動している、漫画家 小沢高広さん。12歳の娘さんが「小学校生活の思い出」というテーマで作文を書こうとして悩んでしまった時に、チャットGPTを利用しました。
その時のやりとりは、
【チャットGPT】 「小学校生活で一番心に残った思い出は?」
【小沢さんの娘】 「わからないです」
【チャットGPT】 「大丈夫です!一つずつ考えていきましょう!」
チャットGPTが文章を作成するのではなく、娘さんが自分で考える手助けをしています。これは小沢さんがチャットGPTに与えたプロンプトを工夫したからです。
【漫画家 小沢高広さん】
「あなたはAI家庭教師ですという役割と、こちらは12歳ですと設定して、あと前向きで明るく優しく接してくださいと」
【小沢さんの娘】
「イチから教えてもらうというよりは、(AIと)一緒にできている感じだった」
使い方次第でメリット・デメリット、さまざまな側面がある「チャットGPT」。賢い利用の方法を考えていく必要がありそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2023年4月11日放送)