4月9日に投開票が行われる大阪市長選挙が3月26日告示され、新人5人が立候補しました。
大阪府知事選とのダブル選になり、長年にわたる維新政治の評価や、カジノを含む統合型リゾート(=IR)などが主要な争点になるとみられます。
【大阪市・松井一郎市長】
「僕はもう政治家も引退するんで、ここ(議会)に戻ることはありませんけど。口角泡をとばす議論を期待しまして退任のご挨拶といたします。どうもありがとうございました」
2011年から大阪府知事を8年、大阪市長を4年務め、大阪行政のトップに立ち続けた松井一郎大阪市長の政界引退。
「ポスト松井」を争い、5人の新人が名乗りを上げました。
■ 横山英幸候補(維新・新)
大阪維新の会の幹事長で元・大阪府議の横山英幸さん(41)。
「子育てと教育にお金がかからない大阪」を公約の大きな柱として掲げています。
横山さんは12年前、大阪府議に初当選。同じ年に大阪市議に初当選した現在の吉村洋文代表とは同期にあたり、維新の政策を中心的に推し進めてきました。
党内で行われた「予備選」で松井市長の”後継者”として市長選に立候補することが決まりましたが、課題の1つは「知名度」。「顔」を売るため、連日、住民への説明会を重ねています。
【横山英幸候補】
「全然余裕じゃないですよ。吉村知事の人気が高いっていうのはおかしいですけど、(たくさん支持いただいているので)『大丈夫ちゃう?』って言われることもありますけど、全然そんなことないです。めちゃくちゃ大変な選挙と思います」
-Q:松井さんの“後継者”としてプレッシャーは?
【横山英幸候補】
「いや…それはありますよ。でもあんまりそれを言い過ぎると情けない話ですし。松井さんと同じことは多分僕はできないので、自分らしさで戦っていきたい」
告示日の3月25日。強く訴えたのは、これまで所得制限があった0歳から2歳までの保育料や、高校授業料の無償化についてです。
府市一体の行政改革を行ってきた維新だからこそ、実現できると訴えます。
【横山英幸候補】
「子どもたちは家庭が豊かであろうと、しんどい家庭であろうと、教育に関しては等しくチャンスを持ってもらいたい。そのための財源、財政改革と成長戦略で教育の無償化、皆様と共に力強く進めてまいります」
■ 北野妙子候補(無・新)
維新の身を切る改革に「待った!」をかけるのは、元・大阪市議の北野妙子さん(63)。
【北野妙子候補】
「選択の幅があるというのはそれだけ豊かだということの象徴だと思う。二重行政の解消という名のもとに、スリム化とか行き過ぎた効率化はよい結果を生んで来なかった」
関西の経営者らが立ち上げた政治団体「アップデートおおさか」からの支援を受け、インバウンドに頼らない大阪経済の成長や、女性の雇用促進など”住民目線”での行政運営を訴えます。
北野さんは市議を5期18年務め、2回目の大阪都構想の住民投票では、反対運動の先頭に立って活動しました。
大阪自民の”顔”でしたが、幅広い支持を集めるため、先月、古巣・自民党を離党。
退路を断ち、市議の椅子を捨ててまで、厳しい戦いに挑む理由があります。
【北野妙子候補】
「大阪市、せっかく残ったのに、なんだかちょっと違う方向に行っているのがあったので『大阪市を残してね』と言った市民の声に応えていきたい」
大阪生まれ、大阪育ち、生粋の大阪人の北野さん。”街の声”を聞くことをなによりも大切にしています。
【北野妙子候補】
「町の商売が成り立っていくような大阪の経済にしないといけないと思っているので、頑張ります!」
小さな声にも耳を傾け、市民目線に立った新しい行政のカタチを訴えます。
【北野妙子候補】
「大阪市民の一人一人の暮らしに寄り添って、命を最優先に考えて、大阪市のお母さんになりたいんです。身を切る改革ではなく、私自身の身を尽くして、『身を尽くす改革』をしっかり行っていくことをお誓い申し上げます」
この2人は先週、関西経済同友会が主催する討論会で直接対決しました。
-Q:万博後の大阪をどのような地域都市にしたい?
【横山英幸候補】
「夢洲をどうしていくかというビジョンが非常に重要です。僕らはIRをしたいという思いです」
【北野妙子候補】
「大阪IRカジノには基本的に反対しております。徹底した住民への情報開示を行った上で、住民投票で決めるべき」
真っ向から意見が対立したのは、カジノを含む統合型リゾート施設=IRについてでした。
【横山英幸候補】
「民間事業者が主体となって開発いただいている。大きな経済波及効果も想定されますし、国際会議場機能や、自治体の納付金、経済波及効果を考えると大阪の次の時代の新たな起爆剤として位置付けていくべき」
【北野妙子候補】
「来場者の7割が日本人および国内の在住者ということで、これまでインバウンド頼みだったものと同じように、カジノIR一本足打法になってしまって、大阪自体がカジノ依存症になってしまうのではないか」
大阪の経済成長にIR・カジノが必要かどうかで激しく対立した両者。
さらにどんな大阪市を作りたいかについては次のように主張しました。
【北野妙子候補】
「統治機構を変えるとおっしゃっているが、私たちは統治されているのではなくて皆さんが主権者なので市民の方を向いた、生活に根差した議論を組み立てていきたい」
【横山英幸候補】
「財源を生み出して徹底した住民サービスの拡充が重要。過去の借金まみれの大阪に戻したら行政サービスが立ち行かない。強烈な府市一体の成長戦略、そして規律ある財政運営で大阪をしっかりと立て直していきたい」
大阪市長選挙にはこのほかにも3人が立候補しています。
■ 荒巻靖彦候補(無・新)
飲食店経営者の荒巻靖彦さん(58)は外国人の生活保護の見直しなどで財源を生み出すと訴えます。
■ ネペンサ候補(無・新)
作家のネペンサさん(48)は犯罪が少なく、お年寄りから子どもまで安心して住めるまちづくりを訴えます。
■ 山崎敏彦候補(無・新)
理学療法士の山崎敏彦さん(44)は介護職の待遇改善や市民の暮らしを支えるための財政政策を訴えます。
市長選の投開票は大阪府知事選と同じ4月9日に行われます。
(2023年3月27日 関西テレビ「報道ランナー」放送)