きのう岸田総理が、ユン大統領夫妻を招いて夕食会を行いました。まず一次会では両夫妻ですき焼きを堪能。そして二次会ではオムライス、とんかつ、ハンバーグ、ハヤシライスなどで交流を深めたということです。
戦後最悪と言われた日本と韓国との関係の改善に向けて動き出した日本と韓国。昨夜の異例ともいえる”二次会待遇”と今回の首脳会談の背景について神崎デスクの解説です。
■異例の”二次会待遇”でのおもてなしの裏には…
【関西テレビ 神崎博解説デスク】
「昨夜の二次会待遇なんですが、両首脳の飲み物にも注目です。韓国では広く行われている、ビールに焼酎を混ぜて飲む『爆弾酒』、これを両首脳が飲んだそうです。岸田総理はお酒が強いことで有名で、尹大統領もけっこうお酒が強いそうで、これを二人共に飲んだそうです。日本のビールと韓国の焼酎で”日韓融合”というメッセージも込められていたと言えるかもしれません」
二軒目に行くことは首脳会談の世界ではよくあることなのでしょうか?
【関西テレビ 神崎博解説デスク】
「一軒目でど~んと豪勢にいく、ということはよくあるのですが、二軒目を両首脳が”ハシゴする”ということは首脳会談においては滅多にありません。それだけ今回は日本がおもてなしをしたということなんです」
韓国政府としては元徴用工訴訟の問題について『日本企業の賠償支払いを、韓国の財団が肩代わりする』という解決策を日本政府に対して持ってきました。
一方、日本政府からは『韓国向けの輸出管理を厳しくしていた措置を解除する』であるとか、両首脳が相互に訪問する『シャトル外交』の再開を表明したわけです。
昨夜の”二次会待遇”も含めて、両国は関係改善に向けて大きく一歩を踏み出したかのように見えるのですが、神崎デスクの見方としてはこのおもてなしには”ウラ”があると?
【関西テレビ 神崎博解説デスク】
「はいそうです。まず、首脳会談というのは両国の首脳が会う訳なので、当然ですけど”手ぶら”で行く訳にはいきません。”お土産”がいる訳です。尹大統領は、国内で反対論が多い徴用工問題を解決してきたという、言わば”大きなお土産”を持って日本にやってきました。
尹大統領がここまでやったのであれば、韓国側としては岸田総理の口から、この問題に関する『お詫びと反省』というのが聞けるのではないか…という期待がありました。
ところが結果的に岸田総理は『これまでのことを踏襲する』だけで、新たなお詫びと反省はしなかったので、韓国の一部メディアはかなり反発していました」
日本と韓国でずっと関係が悪かったのですが、今回は尹大統領がかなりの政治的な決断をして日本に来てくれましたが、これを全面的に迎え入れるという訳にはいかない事情が日本側にあるのでしょうか?
【関西テレビ 神崎博解説デスク】
「岸田総理には色々と事情があります。1つは岸田総理が外務大臣の時に、慰安婦問題を解決したのに、結局、韓国側が手のひら返しをしてしまって、前に進まなくなってしまったという苦い経験がある訳です」
【関西テレビ 神崎博解説デスク】
「なので今回の徴用工問題に対しても、岸田総理はかなり慎重な見方をしています。あとは”自民党内への配慮”ですね。自民党内には保守派を中心に、韓国に対してある種の疑いをもっています」
【関西テレビ 神崎博解説デスク】
「他にも2018年に起きた『自衛隊のレーダー照射問題』があります。これについては韓国軍が認めてもいないし、謝ってもいません。そういう事が解決していないのに、韓国側のことを全面的に温かく迎え入れて…という”大きな土産”は渡せない。今回はこれくらいにしておこうか、という政治判断があったのだと思われます」
(関西テレビ「報道ランナー」3月17日放送)