春は出会いと別れの季節。
入学で制服を新調する人もいれば、卒業で制服とお別れする人もいますよね。
今日のテーマは「制服」です。
■ 遊びのための制服が当たり前?
制服の最新事情を調べにやってきたのは学校ではなく…ユニバーサルスタジオジャパン!
パークに入ると、制服の学生さんたちがあちらこちらに。
【高2】
「”エセ制服”でいくのが普通なんで」
「何の服着ていく?となったら、制服」
【高3】
「シャツは中学校ので、セーターはGUで、リボンはネットで買いました。普段はセーラー服です」
自分の学校の制服を着るのではなく、“遊びのため”の制服を買っているというのです。
「なんで、わざわざ制服にお金をかけるの?」と思った方も多いかもしれませんが、別に特別なことではないようです。
大手制服メーカーの「カンコ―学生服」は今年1月に、東京ディズニーリゾートの施設内で「制服レンタル」のお店をオープンしました。
【カンコ―学生服セレクトスクエア事業部・羽冨裕也さん】
「制服の専門店になると、やっぱり2月、3月はどうしても忙しくて、それ以外の時は閑散期っていう形になってしまうんですが、レンタルのサービスだったら、年間通して非常に忙しくなったので、増えてきているというような実感があります」
「学校であれば勉強する場でありますし、友達と遊びに行く時にはそのための制服っていうのはしっかりその場その場で使い分けているのかなっていうふうに思います」
■ Z世代に大人気の「韓国制服」
制服のレンタルサービスの中でも、Z世代に特に人気なのが「韓国制服」と呼ばれるジャンル。
実際に韓国で着られている制服を再現したポップな色が特徴です。
ドラマなどを見て「かわいい!」と注目されているそうで…
【韓国制服を借りに来た人】
「韓国はこの色かなって、『からし制服』。すごいかわいい」
「憧れてたんです。嬉しいです。テーマパークとか。こんな制服でいきたい。写真が映える」
【制服レンタルサービス「セプリッシュ」あべの店 くらげさん】
「Kポップがめちゃくちゃ流行りだして、実際に韓国アイドルさんが通っている学校の制服に憧れてみたいな方が多いです。BTSで人気になりました」
音楽グループ「BTS」のメンバーのジョングクさんが、実際に通っていた学校の制服がからし色だったことから、「韓国の制服といえば、この色」というイメージが広がったそう。
取材をしていた吉原功兼アナウンサーも韓国制服を着てみました。
【吉原功兼アナウンサー】
「今まで謙虚に生きて来たんですけど、こんな自分もいるんだみたいな。ドラマの主人公になったみたいな。調子のっちゃいますよね。制服は学ランしか着たことがない私にはとっても新鮮で…。この感覚が人気の理由なのかもしれませんね」
■ 「ジェンダーレス」制服を導入する学校も
去年のトンボ学生服の調査では、スカートかスラックスかを生徒が自由に選択できるという学校が4年間で4倍に増えているということです。
新年度から“進化系”ジェンダーレスの制服が取り入れられるという兵庫県・宍粟市の山崎高校へ取材に行きました。
【吉原功兼アナウンサー】
「4月から新しい制服が導入されるって聞いたんですけど、どんな制服なんですか?」
【生徒】
「キュロットです」
新しく開発されたのが、一見スカートに見えるけど裾が分れているキュロット型の制服です。
山崎高校では、2年前に男女兼用のスラックスを導入。
しかし、「スラックスもスカートも違和感がある」という生徒の意見があり、「新たな形はないか」と考案されました。
【兵庫県立山崎高校 武田由哉校長】
「一人一人を大切にすると言うことの根底だと思っていますので。やはり学校というところ、制服が基本になりますから。その制服に違和感を覚えてね。制服が着にくいとか、学校に行きにくいという生徒がいてはならないと思っていますので。例えば『スカートは履きたくないけどスラックスを選ぶと周りにどう思われるか不安だ』というような生徒の、第3の選択肢となることを目指しています」
【生徒】
「普通にファッション感覚でズボンを履いている子が沢山いて、もしその性に悩んでいる子がいても、すごくズボンを履きやすい環境になっているんじゃないかなって思っています」
「寒くなったら、そろそろスカートやめてスラックスとか生活の向上っていう面では選択肢が増えるのは、学校全体としてはいいことだなと思います」
「自転車通学なので、風が強い日とかはキュロットとかだったら、(スカートが)バーっと広がらないのでいいかなと思いました」
■ 制服のジェンダーレス化は大人の世界でも
京都中央信用金庫では、昨年の2022年の4月から制服が廃止になりました。
【京都中央信用金庫人事部 林万祐子次長】
「金融機関の女性職員は制服を着ているというのが当たり前でしたけれども」
-Q:男性は何を着ていたんですか?
【京都中央信用金庫人事部・林万祐子次長】
「ずっとスーツ着用のままですね、制服はございませんので。今の時代はジェンダーフリーに向かって進んでおりますので」
【京都中央信用金庫・山添茜さん】
「制服だと補助的なイメージがあるのかなというところもありますので。スーツになって上司や先輩方と同じような服装だと、お客様から見ても職位の区別がつかなくなったので、信頼してもらいやすいのかなと窓口で働いていて感じました」
■ 百貨店でも制服が廃止
高島屋では、去年8月に、100年以上の歴史を誇る制服を完全に廃止しました。
従業員の感想は…
【高島屋・古川千夏さん】
「高島の制服っていうのは、やっぱり従業員にとってもシンボル的なものではありましたので、着用していたものからすると/少し淋しい気持ちはございます。季節とか体調に合わせて自分の好きな服を着用できるというところが良くなったと感じております。一人一人の個性を出していけると感じておりますので、臨機応変にご提案できるような売り場になっていけたらと思います」
【訪れた客】
「接する時にかたい感じがなくなったような感じがします」
【訪れた客】
「個性というか、縛られるというよりは、みんなが着たい服を着て仕事できるっていうのもいいんじゃないかと思います」
女性の制服廃止は、ジェンダーフリーの理念だけではなく、実務上のメリットもあったということです。
【高島屋企画宣伝部 袁正記さん】
「着替える時間が短縮できたというところがまず一つ、大きなところでもございますし、(ロッカールームの)密回避ができるということで、そういった面でもコロナ感染の予防対策としてもできました」
Z世代の意外な楽しみ方に、ジェンダーフリーの考え方まで。
制服は、時代を映しだす鏡のような存在なのかもしれません。
(2023年3月16日 関西テレビ「報道ランナー」放送)