8日午前6時半ごろ、放水での歓迎を受けて神戸港にやってきた豪華客船。3年前、新型コロナウイルスの集団感染が発生した「ダイヤモンド・プリンセス」です。2月にアメリカを出発し、約3年ぶりの日本への寄港となりました。
港には船を待ちわびた人たちの姿が、
【見に来た人】
「すごいですね、素晴らしい。乗ってみたいけど…」
【神戸市港湾局振興課 瀬沢孝至課長】
「入港の姿を見まして、非常に興奮した感じで、非常にうれしく思っております」
■「ダイヤモンド・プリンセス」 乗客の多くは日本寄港が「楽しみ!」
乗客定員約2700人の大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。広々とした客室に、映画鑑賞もできるプール、眺望抜群の浴場や、ウェルカム・パーティーなどのイベントも開かれ、まさに“優雅”そのもの。
神戸に降り立った乗客たちは、
【アメリカから来た乗客】
「日本への寄港をずっと楽しみにしていました。これが初めてです」
(Q.何が楽しみ?)「全部が楽しみよ!」
「お寿司、刺身、まだ食べたことない物が楽しみだよ」
8日は、関西各地で観光を楽しめるとのことです。
神戸の南京町にも、
【アメリカから来た乗客】
「ここが南京町?美しい!みんな何か食べてるし最高ね」
「『神戸ビーフ』を探していて、『キリンビール』か『アサヒビール』と一緒に食べたいな」
ということで「神戸ビーフ」のお店探し。いろ~んなものが気になるようですが、無事に見つかりました。ビーフは食べ慣れていそうですが、神戸ビーフの感想は?
【アメリカから来た乗客】
「素晴らしいね!(日本語で)オイシイ、オイシイ、オイシイ」
【吉祥吉 南京町店 山下楓矢さん】
「コロナになって国内からも来なかったし、外国人のお客さんも少なかった。率直に海外からも来るのは、うれしいの一言です」
乗客も地元の人たちも、“待ちに待った”日本への寄港でした。
■過去の苦い経験 新たなガイドライン策定で、国際クルーズ船受け入れ再開
過去の苦い記憶から教訓を得ての再開となりました。
【2020年2月 船長アナウンス】
「分析の結果、10名の方から新型コロナウイルス陽性反応が出たとのことです」
3年前、新型コロナウイルスが世界中に広まり始めた時期に、横浜港に入港した「ダイヤモンド・プリンセス」。そこで集団感染が発生しました。
【2020年2月横浜港 坂元龍斗キャスターリポート】
「陽性反応が出た人を乗せたとみられる救急車が、今、海上保安部の敷地内から出てきます」
感染者は日ごとに増え、乗客・乗員の2割にあたる712人が感染。乗客らは14日間の“船内待機”を強いられました。これ以降、政府は国際クルーズ船の受け入れを停止することに。
2022年11月、業界団体が新たなガイドラインを策定したことなどから、2023年3月から国際クルーズ船の受け入れを再開しました。
【ガイドライン策定に関わった大阪大学大学院 赤井伸郎教授】
「クルーズ業界も、この3年間厳しい思いをしてきたと思います。その間に、できるだけ感染を広げないための新しい技術、非接触など導入してきていますし、より船内を楽しみながら感染対策できる」
3年ぶりに日本にやってきた「ダイヤモンド・プリンセス」は、人や物との接触を減らす「メダリオン」という新たなサービスを導入しています。メダル型の端末にワクチン接種や陰性証明などの情報を登録しておけば、スムーズにチェックインでき、密集を避けられます。また、船内での飲食のオーダーや客室のドアの解錠なども非接触ででき、感染の不安が軽減できます。
【アメリカからの乗客】
「旅行したいのと同時に、安全でもありたい」
「船内はとても清潔で、室内ではマスクをしないといけません」
「ダイヤモンド・プリンセス」は、8日夜、神戸を出発し、三重県の鳥羽を経由して、10日に横浜港に到着します。国際クルーズ船の受け入れ再開は、日本の観光産業にどんな影響をもたらすのでしょうか
■クルーズ船の経済効果は?
3年ぶりに日本にやってきたダイヤモンド・プリンセス。神戸に設置されたカメラで見ますと、とんでもなく大きく、マンションみたいです。 2月、アメリカのサンディエゴを出発し、ハワイやグアム、サイパンなどを経由して、8日朝、神戸港に到着しました。8日午後7時には出発するとのことで、鳥羽や横浜などに向かいます。
3年前にはかなりネガティブな印象もついてしまったクルーズ船ですが、感染対策がバージョンアップしています。
ダイヤモンド・プリンセスでは、前提として、ワクチン接種3回とPCR検査が必要になっています。その他に具体的な感染対策として、
・マスクの徹底
・空調設備を改善
・寄港地との連携
寄港地との連携とは、自治体などと連携し、船舶の支援体制を構築したということです。3年前のダイヤモンド・プリンセスで感染者が判明したとき、どこが対応するのか、感染者を陸上にあげるのかどうか、混乱がありました。現在は事前に自治体と連携し、対応を決めておくということです。
「メダリオン」という非接触の仕組みを導入したり、エアロゾル対策として空調設備の改善もされているとのことです。
経済効果についてみてみます。国際クルーズ船が日本の港へ寄港した回数は、2017年に2013回だったのが、コロナの影響で0回になり、今年は1100回、コロナ前の半分ほどまで回復する予定です。
2017年の経済効果は、日本船が寄港した751回を含む計算で、約3100億円ということです。その半分ほどは見込めるのではということです。
神戸市の担当者、港湾局振興課の瀬沢孝至課長によると、「国際クルーズが再開され、神戸のウォーターフロントエリアに、にぎわいが戻ってくる。神戸経済への貢献に期待したい」とのことです。
(関西テレビ「報道ランナー」3月8日放送)