「H3」打ち上がる…しかし、失敗で“指令破壊信号” 部品製造したバネ会社では“歓喜”のち“落胆” しかし、社長は「うまくいくまで、またみんなで!」 2023年03月07日
新型の国産主力ロケット「H3」初号機の打ち上げが7日午前に行われました。2月には直前で中止となり、今度こそはと期待されましたが、失敗に終わりました。原因は何なのでしょうか?
日本の新たな主力ロケット「H3」初号機。種子島宇宙センター近くの公園には、打ち上げを一目見ようと、大勢の人が集まりました。今度こそ… みんなの思いを乗せて、ついにその時を迎えます。
■「H3」 今度は打ち上がった…しかし
【JAXAのアナウンスの声】
「メインエンジンスタート」
【丸山純平記者リポート】
「開発期間9年分の思いを乗せて、今度こそ宇宙へと進んでいきます」
打ち上げを見守っていた人たちからは歓声が。補助エンジンなどを切り離し“成功”したかと思いましたが、しかし…
【JAXAのアナウンスの声】
「ロケットはミッションを達成する見込みがないとの判断から、“指令破壊信号”を送信しました」
【見学に来た人】
「あれ?ダメだったんですか?飛ぶだけで感動したんですけどね、そうですか…」
JAXAによると、2段エンジンの着火が確認できず、打ち上げから約10分後、地上からロケットを破壊する“指令破壊信号”が送られ、打ち上げは失敗に終わりました。
H3ロケットは、JAXAと三菱重工業が、9年の歳月をかけ共同で開発した新型の国産主力ロケット。地球観測衛星「だいち3号」を搭載し、災害時の状況把握に貢献することなどが期待されています。
■ロケットに使われた「バネ」の製造企業では、一丸となって発射を見守った
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「ロケットに使われる“バネ”を作っている会社に来ています。社員の皆さんが中継を見守っています」
兵庫県豊岡市に工場をもつ「東海バネ工業」。H3ロケットのメインエンジンにバネが使われているほか、発射から5分後に機体を分離させる際、この企業が作った“バネの押す力”だけでロケットを切り離します。そのため7日には、豊岡の工場と大阪の本社で、“会社一丸”となって打ち上げを見守りました。
【バネを製造した東海バネ工業 豊岡工場の人】
「緊張ですね。自分が作ったバネなので、ちゃんと飛んでくれるか、不安でしょうがない」
【東海バネ工業の皆さん】 「GoGo『H3』」 「8、7、6、5、4、3、2、1」
【JAXAのアナウンスの声】 「第一弾、第二弾、分離」
【東海バネ工業の皆さん】 「オーッ!」 「よっしゃ」
しかし、喜びも束の間・・・
【JAXAのアナウンスの声】 「現在、2段の点火が確認されておりません」
【東海バネ工業 取締役】 「いや~~」
“成功”は次回へ持ち越しとなりました。
■「またみんなで力を合わせて、“バネ”としてお役に立てるよう頑張りたい」
【東海バネ工業 本社の人】
「残念でした。きょうは気合いを入れて“H3ロケット弁当”作ってきたんですけど…次回も一緒に頑張って」
【東海バネ工業 豊岡工場の人】
「みんなの思いは熱いと思います」
【東海バネ工業 夏目直一社長】
「うまくいくまで、またみんなで力を合わせて。私たちも全力を尽くして、小さな力ですけど、“バネ”としてお役に立てるように頑張りたいと思います」
■JAXA 悔しさにじませた会見 再び打ち上げ目指す
“打ち上げ失敗”から約3時間後、JAXAが会見し、悔しさをにじませました。
【JAXA H3プロジェクトマネージャ 岡田匡史さん】
「地元の方々をはじめとして、多くの方々に見守っていただいた中で、このような結果になってしまいまして、申し訳なく思っています」
再び打ち上げを目指し、今後は対策本部を設置して、原因を究明するということです。
(関西テレビ放送「報道ランナー」2023年3月7日放送)