不安いっぱい…就活生は“フルコロナ”世代 でも実は「売り手市場」で『“逆”求人サイト』も当たり前 ついに名前も顔もいらない!?『メタバース面接』も登場…面接官は「ボブ」 2023年03月03日
■ 「フルコロナ」世代の就職活動いよいよ開始
今月から学生への広報活動が解禁され、本格的に始まった企業説明会。
【橋本和花子キャスター】
「こちらの会場では、合同企業説明会が行われるということで、スーツを来た就活生が続々と来ています」
会場に集まったのは、主に来年、社会人となる大学3年生です。
今年、就職活動をする学生は、コロナの流行後に入学したまさに「フルコロナ世代」。
【参加した学生】
「入学して2年間ぐらいオンラインの授業が多くて大変でした」
【参加した学生】
「(学生時代に)力をいれたこと…ずっと外に出ないように言われていたので難しいかもしれない」
コロナの影響で、ほとんど大学に通えていなかった学生たち。
何をアピールすればいいのか、不安を抱えているようですが、一方の企業はというと…。
【橋本和花子キャスター】
「看板掲げてます!呼び込みの熱量もすごい!『目が合ったら何かの縁です、お話聞いてって!』と書いてあります」
【スシロー担当者】
「どの企業もとにかく学生を呼びたいという思いが伝わってくる。少しでも負けないように、という思いでやっています」
どの企業も、大きな声を上げて、学生を呼び込む力の入れよう。
実は今年、就活は学生側が有利な「売り手市場」になっているのです。
コロナから経済はようやく回復傾向にあり、マイナビによると企業のおよそ3割が新卒の採用人数を増やすということ。
【マイナビ就職情報事業本部・橋口功部長】
「約6割の企業が初任給の引き上げの実施、もしくは検討という回答がありまして。採用競争が厳しい中ですので、思ったより新卒の採用数が確保できなかったり、あるいはコロナ禍の状況も落ち着いたり、既存事業の拡大の観点もあって、より活発になっている印象」
そんな中、学生たちが利用しているのは、逆求人型の就活サイト。そのひとつが「オファーボックス」です。
【就活生】
「会社の方から声がかかる」
【橋本和花子キャスター】
「企業側からアプローチがあるんですね」
【就活生】
「インターンシップとかやられませんかとかというのが来る感じ」
【オファーボックス運営会社・鹿毛あゆみさん】
「従来だとエントリー型というのが多くて、学生が企業を検索してエントリーするが、その真逆のスタイルで、学生が登録したプロフィールを企業が見て、直接うちに来てくれませんかとアプローチする」
就活生は、希望する企業のタイプや自己PR文などを記入するだけ。
それを企業側が検索する仕組みです。
12年前に誕生した「オファーボックス」は登録企業が年々増加、学生の登録数も増えていて、去年は就活生の3人に1人が利用した計算になります。
大阪に本社を置く「タビオ」。
靴下専門店「靴下屋」を運営していて、去年に続き、今年もオファーボックスを使って新卒採用を行っています。
【タビオ人事部 多田晋佑係長】
「アパレルに興味があるとか、大阪で勤務したいとか、弊社が求めている条件と、学生さんが思っている条件が合致しているのがすごく多いので、審査する時間が短縮された。今オファーボックスなしでは、採用活動は考えられない」
■最新の面接?「メタバース面接」とは
一方、ユニークな採用試験を行おうとしているのが、サーバー事業などを行うIT企業です。
【竹上萌奈キャスター】
「こちらの会社ではどういった採用試験をされているのですか?」
【ビヨンド・佐藤大輔さん】
「メタバース採用です」
およそ60人の社員が働くこの会社では、今月末から仮想空間=メタバースを使った採用面接を行います。
一体どんな面接なのか?竹上キャスターがVR(仮想現実)ゴーグルをつけてメタバース採用を体験させてもらいました。
【竹上萌奈キャスター】
「手を振られてる!誰?」
【面接官】
「私、面接官のボブと申します」
会話はアバターと呼ばれる自分の分身で行います。
ボブと名乗るアバターが面接官、リクルートスーツを着た学生のアバターが竹上キャスター。
この面接では、名前・年齢・学歴などの基本情報は求められません。
【面接官】
「弊社はインフラのMSP業務というのをしているんですけれども、IT業界に興味を持ったきっかけはあるんですか?」
【竹上キャスター】
「…ちょっとその質問は今答えられません。ちょっと秘密です」
【面接官】
「それも含めてなぜエンジニアになりたいか?というのも聞きたかったんですが?」
【竹上キャスター】
「私はもう箸を持つより先にゲームのコントローラーを握らされて育ってきまして。今アナウンサーという職業をしているんですけど、そろそろ自分の限界を感じはじめたので、できたら自分が得意なゲーム業界で作る方に転職できたらなと考えました」
【面接官】
「なるほど。色々(事情が)おありなんですね」
こんな感じで面接終了。面接官の正体はというと…23歳の若手エンジニアでした。
このメタバース面接。いったい、どんなメリットがあるのでしょうか?
【ビヨンド・佐藤大輔さん】
「あえてお互いどんな人物なのか、年齢・性別等も聞かないんですけど、そこを伏せることによって本来の持っている素材そのままが出てくるんじゃないか。今までにない観点から今までにない特徴の学生さんを採用できればなと」
時代にあわせて就職活動のトレンドやカタチは変化しているようです。
■大企業では初任給アップの傾向
株式会社ディスコによると、学生が企業に求めることをアンケート調査したところ1位が「給料」だったということです。
大企業では初任給アップの傾向がみられます。
▼みずほ銀行は来年4月に 20万5000円→26万円に
▼三井住友銀行は今年4月に 20万5000円→25万5千円に
▼三菱UFJ銀行も同程度の給料アップを検討
▼ANAは今年4月に21万8000円→23万8千円に
▼ファーストリテイリングは今年4月に25万5千円→30万円に
▼SEGAは来年4月に22万2000円→30万円に
■採用側のホンネは?
企業側の本音も採用担当に企業説明会の会場で”こっそり”と聞いてみました。
【中小商社】
「初任給アップを目指しているが間に合わないかも。本当はきょうの説明会でそれを打ち出したかった」
【中小小売】
「大企業が採用を早めているので学生を取られちゃう。実はうちも年明けから内定を出しています」
【大手ホテル業】
「コロナで充実した学生生活を送れていないので、”ガクチカ”(=学生時代に力を入れたこと)ではなく、『何に時間を費やしたか』など聞き方を配慮しています」
関西テレビの神崎博解説デスクは、「新型コロナの影響で学校に行けていなかった中で、自分自身のアピールの仕方の独創性や応用力が試されるようになり、企業側も学生がどう答えるのか注目するのではないか」と話しました。
(関西テレビ「報道ランナー」2023年3月3日放送)