およそ1カ月後に迫った大阪府知事と大阪市長のダブル選挙。維新と非維新の争いになるのですが今回、維新ははじめて「都構想」を公約に掲げていません。
では、今回の選挙では何について争うのか。主な立候補予定者の政策が出そろいました。“大阪ダブル選挙”を取材する行政担当の菊谷記者とともにお伝えしていきます。
■知事、市長選ともに”維新vs非維新”という構図だが…
【新実キャスター】
まずは選挙戦の構図を整理します。これまでに立候補を表明しているのは、市長選・知事選それぞれご覧の方々です。
知事、市長選ともに”維新vs非維新”という構図となっています。
「アップデートおおさか」という、(会社などの)組織が擁立した団地・候補ということなのですか、こちらはなんでしょうか?
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
こちらは”打倒!維新”を掲げて経営者らが作った団体で、”政党”ではなく”政治団体”になります
【新実キャスター】
主要政党の名前が(候補者)に見当たらないな…という風に思われる方も多いかもしれませんが、自民党や立憲民主党は今回の選挙にはどう関わるのでしょうか?
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
実は、自民党も当初は市長選・知事選ともに候補者を擁立しようとしていたのですが、最終的には「アップデートおおさか」の2人を自主支援とすることにしました。立憲民主党、国民民主党も同じスタンスです。
前回のダブル選挙では、自民党の候補を立てて民主系や共産なども支援したのですが、それぞれの党の支援者が離れてしまって一枚岩になれませんでした。その結果、維新の候補に負けたので「同じ失敗をしたくない」ということも背景にあるようです。
【新実キャスター】
なかなか解釈が難しいところですね。自主支援といいますが、特に谷口さんは、国政・自民党の考えとは相いれないような主張をしてこられた方ですが、自民党は本当に支援するのでしょうか?
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
まだ自民党が態度を表明する前の2月の話ですが、自民党の大阪府議の一人はこんなツイートを投稿しました。
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
自民党の議員も自分たちの選挙があるので、自民党に批判的だった谷口さんの支援にまわることで「自民党の支援者が離れるではないか…」と心配する人がいてもおかしくありません。そのため、”自主支援”とっても、実際には支援する人・しない人に分かれるのではないかと思います。
【新実キャスター】
維新は12年前から都構想を公約に掲げて、選挙に勝利し住民投票につなげてきました。しかし、2度の否決で都構想は立ち消えになり、今回の公約には入っていません。では、どういったことが主な争点になるのか、各陣営の政策や主張がこちらです。
【新実キャスター】
まず維新からです。12年間の実績を訴えています。「府市一体の改革を進めてきた、行財政改革を進めてきた。あとは看板の教育無償化をさらなる拡充をしますよ」と訴えています。
対して非維新陣営。アップデートおおさかは「府市一体改革の弊害、なんでも(維新の)府市一体改革の成果にするのは違うでしょと…」と。一方で、教育の無償化も訴えている。これは維新と同じですよね?
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
そうです。1日の会見で谷口さんは「無償化には賛成で、維新のやっていることでも良いものには乗ったらいい」と話し、教育の無償化は”争点”とはしない考えです。
また、記者からその財源について質問されると「維新は数字を持ってできると言っている以上、できるのだろう」と答える場面もありました。
■IRについて、維新は公約で触れない理由
【新実キャスター】
それからIRについてですが、共産党は「カジノではなく命を最優先する政治を」と訴え白紙撤回を。参政党も、IRの白紙撤回を求めています。「アップデートおおさか」はIRについては住民投票を求めています。この住民投票というのは、結局のところ賛成なのか反対なのか、ここはどうなのでしょうか?
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
「アップデートおおさか」の谷口さん・北野さん共に、”個人”としてはIRには反対だとおっしゃっていました。ただ、IRをどうするかは、住民が知らないことが多いので住民投票をして、情報を知ってもらおうと。その過程が大事なので住民投票で民意を問いたいという主張です。
【新実キャスター】
住民投票で賛成が多ければIRを進めるし、反対が多ければやめるということですか?
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
はい、そうです。
【新実キャスター】
一方で、維新は公約ではIRに触れていないと…これはなぜなのでしょうか?
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
はい、これまでは公約にIRを掲げてきましたけれども、すでにIRに関しては、議会で可決され、「国の認可」を待っている段階なので「今ここから議論する問題ではない」という主張ですね。
維新のタウンミーティングも取材していますが、自分たちからIRに触れることはありません。ただ参加者から質問が出ることは少なくないです。そういう時に吉村さんは「争点にはなると思うので、きちんと説明してきます」と答えていました。
【新実キャスター】
こうして対決の構図や各陣営の政策が見えてきた中、今回のダブル選、菊谷さんが思うポイントは?
【関西テレビ 菊谷雅美記者】
問われるのは維新の12年。維新はこれまで「ベンチャー政党」として、自民など既存政党に政治姿勢を問うチャレンジ政党をアピールしてきました。しかし12年たち、今度は逆に、他の候補から維新の政策を問われる立場に逆転したのだと思います。
皆さんも各立候補予定者の政策などをしっかりチェックしてみてください。大阪府知事選は3月23日、市長選は26日に告示されます。
(関西テレビ「報道ランナー」3月2日放送)