日本の宇宙戦略を左右する国家プロジェクト、新型ロケット「H3」の開発計画。関西各地からも熱い視線が注がれた” 初号機”の打ち上げが、17日、鹿児島県の種子島宇宙センターで行われました。
【見に来た人(種子島宇宙センター)】
(Q.今日は何時に来た?)
「7時半から来ています、期待してやって参りました、ドキドキしますね」
日本の新たな主力ロケット「H3」初号機。打ち上げ場所の種子島宇宙センターの周辺では、多くの人が打ち上げの様子を見守ります。そして、H3ロケットの開発に携わった大阪の会社でも…
【橋本和花子キャスター】
「打ち上げまで2分を切りました、皆さんその瞬間を今か今かと待っています、盛り上がる準備はバッチリです」
皆の夢と希望を載せていよいよその時が…
【記者リポート(午前10時37分ごろ)】
「開発期間9年分の思いを乗せて今、H3ロケットが宇宙へと旅立ち…、あ、違う?あれ?ロケットが打ち上がりません」
【種子島宇宙センター】
「着火しなかったのか、できなかったのか、どういう状況なのか分からない」
【見守る人たち】
「(次)頑張ろ…」
最新の国産ロケットに一体、何が起きたのでしょうか?H3ロケットは、JAXAと三菱重工業が9年の歳月をかけ共同で開発した、新型の国産主力ロケット。
地球観測衛星「だいち3号」を搭載し、災害時の状況把握に貢献することなどが期待されています。
これまでエンジントラブルなどで何度も打ち上げが延期されていて、17日、満を持して打ち上げの日を迎えました。この国家プロジェクトには、関西の技術も取り入れられています。
【橋本和花子キャスター】
「大阪にあるこちらの企業が作るバネが、H3ロケットに搭載されているんです」
大阪市にある東海バネ工業。この会社のバネは、メインエンジンなどロケットの重要な部分に使われています。兵庫県豊岡市にある工場と、大阪本社で打ち上げの時を見守りました。
【橋本和花子キャスター】
「みなさん配信映像を見ながらその瞬間を、今か今かと待っています」
【JAXA公式より】
「14、13、12…フライトモードON」
【東海バネ工業の社員ら】
「10、9、8…3、2、1」
【記者リポート】
「あれ?ロケットが打ち上がりません」
【JAXA】
「ただいまメインエンジンは着火しましたが、SRB3は着火しなかった模様です」
【JAXAスタッフは】
(Q.きょうの打ち上げはない?)
「この状態では、打てるものがない」
まさかの打ち上げ中止に、呆然とする人も…。
【東海バネ工業 社員】
「きょうは残念ですけど、次に無事に飛んでくれることを期待しています」
【東海バネ工業 夏目直一代表取締役】
「残念ながらきょうは私たちの”分身”のばねが大活躍するという事にはいきませんでしたけども、でもまだ次がありますので」
打ち上げの中止からおよそ3時間半。JAXAが会見を開き状況を説明しました。
【JAXA 岡田匡史プロジェクトマネジャー】
(Q.まず率直な受け止めをお願いします)
「きょうの日を待ってくれていた、このミッションのオーナーの方であるとか…、すみません…、本当はダメなんですけどこれ…。見守ってくださっていた方々が大勢いますので、申し訳ないと思っていますし、我々も悔しいです」
涙ながらに悔しさを語ったJAXAの岡田匡史プロジェクトマネジャー。
打ち上げ中止となった原因について、メインエンジンは問題なく作動したものの、その横に設置されている補助ロケットに、着火する過程で異常が検知され、信号が送られなかったということです。
まさかの打ち上げ中止でしたが、再挑戦に向け、力強い言葉も聞かれました。
【JAXA 岡田匡史プロジェクトマネジャー】
「もちろん、年度内の打ち上げをめざして頑張りたいと思います」
日本の宇宙開発を大きく左右する国家プロジェクト「H3」ロケット。打ち上げ成功のその時を皆が待っています。
(関西テレビ「報道ランナー」2月17日放送)