世は「イチゴ戦国時代」! 注目の新種「みおしずく」開発の滋賀県 いよいよ本格栽培へ 世界でも人気の「日本のイチゴ」 輸出額は過去最高も「苗の海外流出」が課題 2023年02月15日
イチゴがおいしい季節の今、スーパーをのぞいてみると皆さん次々とイチゴを手に取っていきます。
実はいま、日本は「イチゴ戦国時代」!
全国39の都道府県が自らオリジナルの品種を開発しています。
中でも注目の「新種」が、滋賀県の「みおしずく」です。
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「なんでそもそもブランドイチゴを作ろうと思ったんですか?」
【滋賀県農業技術振興センター栽培研究部 野菜係主任技師 花田惇史さん】
「(イチゴ栽培は)農家さんにとって収益をあげやすい品目になっていまして、新規就労の方でも経営を成り立たせやすいという側面があった」
他の農作物に比べて収益をあげやすく栽培環境も整えやすいイチゴ。
滋賀県では新規で栽培に乗り出す人が増えていて、「滋賀オリジナルの品種を作って欲しい」という要望が相次いだため、2016年に県が自ら、開発に乗り出し5年の歳月をかけて完成させたのが「みおしずく」です。
甘みが強い「章姫」と、適度な酸味、強い香りが特徴の「かおり野」をかけ合わせた大粒の品種だということですが、そのお味は…?
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「あまっ!練乳が最初からかかっているぐらいの甘さです」
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「どういうことが大変なんですか?」
【滋賀県農業技術振興センター栽培研究部 野菜係主任技師 花田惇史さん】
「『かおり野』と『章姫』という品種をかけ合わせて、いろんな種類の個体ができるんです。それが約1600個。その中から、このひとつの品種に絞る作業で、味はおいしいけど上手く育たない品種とかはじいていく過程がものすごく苦労しました」
これまでは県が主導して試験栽培を繰り返してきましたが、来月にはいよいよ県内の農家に苗が販売されて、「みおしずく」の本格的な栽培が始まります。
去年12月には滋賀県内のスーパーでの実証販売も始まっていて、流通ルートなどを整備しながら知名度をアップさせるのが狙いです。
「みおしずく」を買いに来た人は・・・
【初めて購入した人】
「私も子どももイチゴが好きで、そういうのが滋賀県で初めて開発されたっていうのは嬉しい」
【2回目の購入】
「味が濃かったし、甘かったんです。この前も買いに来たんやけどなかってん。今日あるわ!と思って」
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「『みおしずく』を今後どう展開されていく予定ですか?」
【滋賀県農業技術振興センター栽培研究部 野菜係主任技師 花田惇史さん】
「滋賀県としてのブランドを確立していきたいので、県外にも出していって、全国に知っていただけるような一大ブランドにできればなと思っています」
滋賀県は「みおしずく」の本格的な流通を年内中に目指しているということです。
「みおしずく」だけでなく、日本のイチゴというのは世界でとても人気があるんです。
農林水産省によると、イチゴの輸出額は2012年に1.8億円だったのが、おととしは40.6億円と、20倍以上になっています。
40.6億円というのは過去最高の輸出額ですが、一方で問題も起きています。
苗などが海外に流出し、農林水産省が発表した推計によると2017年までの5年間で、韓国で作られたブランドだけでも最大220億円もの損失が出たと考えられています。
滋賀県ではハウスに鍵をかけるなどの対応をしていて、「みおしずく」の品種登録を国に申請しています。品種登録されれば、苗の持ち出しを禁止できるようになります。
関西テレビ「報道ランナー」に出演する菊地幸夫弁護士は、海外への流出を防ぐために「国内外での品種登録が必要」だと話しました。
【菊地幸夫弁護士】
「実際に品種登録を海外でもやると、海外に持ち出されても対抗措置が可能になります。一方で、実際に対抗措置をやろうとすると海外での法律化といった労力や費用がかかります。なかなかハードルが高い部分があるので、どうやって苗の持ち出しを禁止するのかが重要になります」
(関西テレビ「報道ランナー」2023年2月15日放送)