1年に1度、女性が男性に勇気を出して愛の告白。お供は、あま~いチョコレート!…なんて遠い過去の話。
時代が変われば、チョコを贈る相手も変わる?
チョコを見れば社会が見える!「バレンタイン」の新常識に迫ります。
■バレンタインの新常識 義理・本命チョコはもはや渡さない!?
大丸・梅田店のバレンタインフェア「ショコラプロムナード」(2月14日まで開催)。
【吉原功兼アナウンサー】
「うわ~!にぎわっていますよね~!これだけあると目移りしますね、『何、買おうかしら』っていう感じで」
売場には今しか買えない限定のチョコや、イベント初登場のものまで世界各地からチョコレートが集まっています。
みなさん、誰にあげるのでしょうか。
【来場者は…】
「自分用、朝スイーツに食べようかなと思って」
「ここ最近は、自分にご褒美的な感じでおいしいチョコレート買う感じ」
「友だちとか職場の人とか、仲良い人と交換するみたいな方がメインの人がたぶん多いんじゃないかな…で、お互いおいしいやつオススメし合うみたいな」
日本最大級のバレンタインフェアで有名なJR名古屋高島屋の調べによると、バレンタインにチョコレートを送る相手の第一位は「自分」で36パーセント。好きな人に渡す本命チョコはわずか8パーセントで、義理チョコに至ってはなんと3パーセントという低さ…
【街で聞いてみると…】
「義理チョコ…今、義理チョコっていうのかな?お世話になった人に渡すっていうのは、一応していますけど…」
「わざわざ好きな人に『好きです』とか言って渡すとかはないです」
「バレンタインだから張り切ろうとは思わないですね」
「あげるっていう風習があるから、いつも遊んでくれる(友人に)『ありがとうね』って」
義理も本命ももはや少数派…最近はチョコを贈る対象も、気持ちもバラバラなようです。
一方、男性側はというと…
【男性たちは…】
「バレンタインはそうですね。憂鬱ですね…。『あー今年もないんだろうなぁ』っていうドキドキがあります」
「まぁ、女の子が男の子にチョコあげるじゃないですけど、何かしらちょっと気分は乗るような1日かなと思います」
「やっぱ変に期待していますね、「もらえるかな」みたいな。ワンチャンみたいな…あるかなって」
意外にも、男性側はバレンタインに対し、これまでの印象とは変わってないようです。
ただ、バレンタイン売り場は年々様変わりしています。
■注目商品はチョコではなく…チョコ味のスイーツ!?
【吉原アナウンサー】
「あーこれは、ロイズですね~ポテトチップにチョコレートにのるのがまた美味しいんですよね~」
【大丸梅田店 食品担当 西口修バイヤー】
「バレンタインの期間限定でショコラひよこが登場しております」
【吉原アナウンサー】
「バレンタインって、チョコレートを贈るってイメージなんですけど。何かそのチョコレートの中にひと手間ふた手間加えている感じですか?」
【大丸梅田店 食品担当 西口バイヤー】
「(メーカーも)チョコレートを加えていけばバレンタインに参戦できる、幅自体が広がってきております」
大丸梅田店ではおよそ90種類のラインナップのうち、3割以上がチョコレートそのものではなく、チョコ味の“スイーツ”です。
中でも注目の1つが今年初登場のバターサンド「ジュエル チョコレート」だそうですが…
【吉原アナウンサー】
「中にラズベリーが入っているんで、甘酸っぱくってチョコレートの甘さを引き立ててくれます」
【カバの気持ち 一ノ瀬ほなみ代表取締役】
「3つ食べて1つ分の糖質量にこだわりました」
低糖質を感じさせないほどリッチな味わいのバターサンド。考案者の一ノ瀬さんは、自身の摂食障害の経験から、糖質を抑えた、でも、心より満足感のあるスイーツを作りたいと開発しました。
【大丸梅田店 食品担当 西口バイヤー】
「Z世代の人、僕も含めてなんですけど、商品ができたその背景にすごくフォーカスしている部分がございますので、そういったところがZ世代に刺さる要因なのかなと思います」
ストーリー性や価値観を重視するZ世代に向けた商品にも百貨店は力を入れ始めているようです。
■もはや“お供え”!? 推しにささげるチョコレート
さらに、売り場の中でもひときわ目を引いたのが、かわいらしいキャラクターもの。
【吉原アナウンサー】
「キャラ?キャラ推しチョコ?あ、これスヌーピー。ドラえもん」
【大丸梅田店 食品担当 西口バイヤー】
「はい。今回、大丸梅田店のバレンタインは推し活バレンタインとして打ち出しておりまして、今回その1つとして“キャラ推し”」
今、社会現象となっている「推し活」の波がこんなところにまで!イメージしやすいアニメキャラクターだけではなく、大好きな動物のグッズや、おしゃれな入れ物の「かんかん」など、ついつい集めたくなっちゃう「推し活」心をくすぐるラインナップです。
「推し活バレンタイン」は百貨店以外でも…
【吉原アナウンサー】
「『きゅん』ですね。こんな文字作れるんだ」
100円ショップでは、推し活用語の「すきぴ」や「沼」といった文字のチョコを作れるグッズが発売。
SNS上ではファンの交流グッズとしてバズっています。
人型のチョコを自分、ピンクのチョコを愛の沼に見立てて“推し”と一緒に写真を撮れば…のめりこんだ状態、「沼ってる」様子を表現できる商品も登場。
「かわいい~!やばい!かわいい~!」と何やら盛り上がっている女性2人。何か作っているようです…
【盛り上がっている2人組の女性】
「推し活チョコをつくっています」
こちらは、「推し活」の波を受け、老舗チョコメーカーが、今年新発売した、その名も「推しごとチョコレート」!
アイドルやアニメでは、メンバーごとにイメージカラーがあるそうで、それに対応するため全8色のパッケージが用意されています。
中にはこんなオリジナルステッカーがついていて、自分が用意した「推し」のお気に入り画像と一緒にデコレーションすれば、オリジナルの「推し活チョコ」を作ることができます。
【ソフィヤさん(21)】
「食べ物を贈れないので自分で食べます。チョコレートも好きで、推しのことも好きで、一石二鳥じゃないけど好きなものは多い方がいいよねっていう」
【ほんださん(21)】
「推しに貢ぐことが幸せなので、もう自己満足なんですけど。祭壇に一回飾った後に自分で供養したいと思います」
実際に贈るわけじゃなく、自分だけで楽しむ。もはや、神様にお供えするっていう気持ちでしょうか?
“推し活チョコ”を楽しむ人たちはどう思っているのでしょうか?
【女性たちは…】
「疑似体験ではあるけど推しにチョコあげるっていうのはちょっとトキメキますよね」
「推しのために頑張る自分、見れる日みたいな」
「ツイッターとかにあげたりしたら、推しが見てくれたらうれしいなみたいな、伝わったらいいかなぐらいで」
推し活チョコの販売に踏み切ったメーカーの担当者は…
【メリーチョコレート執行役員 高田基位マーケティング本部長】
「特にこの数年というのは、自分自身がストレスなく、この時だけは自分の好きなチョコレートに出会ってですね、自分の好きなように楽しんでいただく。そんなイベントに今、様変わりしていっているのかなと。そういう時代背景に合わせた企画の商品を品ぞろえするっていうことが非常に大事なのではないかと」
時には、リアルじゃない相手にもチョコを贈るバレンタイン。時代と共に、その「常識」も変わっていくようです。
(関西テレビ「報道ランナー」2023年2月9日放送)