初連載は関西の大手私鉄各社が発売している「初詣きっぷ」の南海版『南海・泉北乗り放題きっぷ』で、南海全線乗りつぶしの旅です。
この切符は年末の12月30日まで発売され、利用は元日から1月15日まで。南海全線が2日間乗り放題で2200円。
当初は2日間かけてゆっくりまわるつもりでしたが、私の仕事の都合がつかず、1日で全線を走破するという強行スケジュールとなりました。
同行するのは「乗り鉄」の息子2人で、長男が綿密な乗り換えプランを作成してくれました。
まずは、新今宮から乗車し、岸里玉出へ。そこから地元では「汐見橋線」と呼ばれる高野線で汐見橋まで。この線は「都会のローカル線」と呼ばれる路線で、途中の駅の古めかしさも含めて「ここが大阪市内なのか?」と感じられるのが魅力です。起点となる汐見橋駅は路線に合った昭和っぽい駅舎で、改札の上には「南海沿線観光案内図」という味のある絵地図が掲げられています。
なんばまで戻り、ここからは南海が誇る特急「こうや」に乗車。1日で効率よくまわるために、特急を利用することになりました。私たちが乗った「こうや」は30000系で先頭車両は前面展望になっています。高野山のふもと極楽橋までおよそ1時間20分の旅で、橋本から先は山岳路線、特に高野下より先はかなり険しい勾配を上っていきます。この「こうや」も急カーブと起伏が激しい山岳路線に対応するため、通常の車両より4mほど車体が短くなっていると息子に教えてもらいました。
極楽橋からはケーブルカーに乗り換え、高野山へ。ここからバスに乗り換えるのですが、複数回乗車するなら南海りんかんバスの「1日フリー乗車券」がお得です。乗り放題なのに加え、金剛峯寺やお土産店の割引券もついてきます。駅前からバスに乗りますが、実は高野山の市街地まで南海バスだけが通れる専用の近道があり数分で目的地の奥の院前まで到着しました。この後、金剛峯寺を観光する予定にしていたので、弘法大使御廟まで登るのは時間的に厳しいと思い、参道で少し散策してお茶を濁すつもりでしたが、この日は参道が凍結していたため、通行止め。これはきっと弘法大使が「奥の院まで登って来い!」というお告げに違いないと勝手に判断し、雪が残り一部凍結している参道をかなり早めのペースで登っていきました。
通常20分ほどかかるとされるところを10分ちょっとで御廟に到着。ぐるっと一周して下山、そのままバスに乗って金剛峯寺へ。駅まで戻るバスの待ち時間に実家の母親向けに日本古来の胃腸薬「陀羅尼介」をお土産に買って、高野山駅へ。バス専用道の脇にも雪が残っていました。
天下茶屋駅まで戻り、昼食を取る時間はないのでコンビニでサンドイッチを買って「ラピート」で関西空港へ。この日は年始のUターンラッシュに当たり、ラピートの指定席券は完売。満席の車内で遅めの昼食を取って、関西空港に到着。
そのあと、多奈川線、加太線、和歌山港線と支線を走破し、和歌山市駅から特急「サザンプレミアム」に乗車。
これまでサザンに乗ったことはあったのですが有料座席は初めて。新しい12000系だったので、座席もゆったりしていて快適でした。
途中、岸和田付近で停電騒動があり、列車が数分遅れましたが、和泉中央へ向かう準急の接続にも間に合い、和泉中央へ。
泉北高速鉄道は元々大阪府の第三セクターでしたが南海の子会社となり、南海が沿線の再開発などにも乗り出しています。和泉中央からは本日最後の電車となる「泉北ライナー」に乗車。
これも12000系で外装だけでなく内装まで金ピカ。夜に大阪市内へ向かう電車だったので車内もガラガラで快適でした。
なんばまで戻り、1日で現在乗れる南海全線を乗りつぶし、乗り放題切符の券面ある4つの有料電車にも乗ることができて満喫しました。ただ、ほぼ1日電車に揺られるだけで、十分な観光もできず、食事もゆっくり取れなかったので、次こそは「2日間かけてゆったりまわりたい」と反省しました。
「今度こそ いつも思うの 旅の後」
関西テレビの夕方ニュース番組『報道ランナー』で、主にニュースの解説をしています。番組出演の傍ら週に1回のペースでYouTube動画を配信しています。
元々はその日のニュースについてスタジオで話しきれなかったことを配信でお伝えする趣旨でしたが、そのなかでも私がよく選ぶ鉄道の話題が一定の評価を頂くようになり、最近ではほぼ鉄道ネタになっています。
そこで、今度はニュースから少し離れて、私の趣味でもある鉄道の乗車記をウェブ記事でお伝えすることにしました。いつまで続くかわかりませんが、細々と不定期で連載していくつもりです。
【乗り鉄デスクのノリノリ日記】# 1
(関西テレビ報道局・解説デスク 神崎博)
【YouTube「神崎デスクの『これホンマ言いたかってん』」】毎週更新中