「今シーズン最強寒波」到来! 済んでますか?“雪への備え” 彦根市の26時間立ち往生から1年 スタッドレスタイヤでもわずかな勾配が命取りに… 対策と年末年始の天気を片平気象予報士が解説 2022年12月19日
今季一番となる寒気の影響で、日本海側を中心に記録的な大雪となりました。車の用品店でも、雪に備える買い物客が増えています。
■最強寒波到来 近畿各地では
12月19日、兵庫県養父市のハチ高原スキー場。辺り一面真っ白、横殴りの吹雪ですが、スキー場にとっては、待ち焦がれていた“恵みの雪”です。
【鉢伏開発観光 ハチ事務所 西坂智所長】
「かなりホッとしてます、うれしいです。やはりスキー場なので、ちょっとふぶいてますけど、これくらい白い雪がたくさんある方がいいと思います」
ハチ高原スキー場では、今シーズンは電気代の高騰で人工雪のコースが作れず、今月24日のクリスマスイブに、天然雪でのゲレンデオープンを目指しています。
【鉢伏開発観光 ハチ事務所 西坂智所長】
「寒気が入ってきまして、このように真っ白なゲレンデになりました。24日のオープンに向けて、何とか間に合うんじゃないかと思ってます」
スキー場にとっては“恵みの雪”も、日常生活には影響が大きそうです。
強い冬型の気圧配置の影響で、今シーズン最強の寒波が到来している日本列島。記録的な大雪となった山形県大蔵村では、全国で一番となる積雪227センチが記録されました。
寒波による大雪は、近畿でも。吹雪の中の登校となった兵庫県香美町香住では、18日から19日にかけ、今シーズン初めての本格的な積雪となりました。
――Q:結構降りましたね?
【雪かきをしている人】
「降りました、毎年のことなので、慣れというかこんなものだなぁと思って。腰を痛めないように頑張りたいと思います」
■大雪のトラブル 1年前には…
2021年、滋賀県の彦根市で、12月としては観測史上最も深い73センチの積雪を観測。市内の国道8号線でトレーラーが坂道の途中で動けなくなって道をふさぎ、後続の車が立ち往生しました。
国道がおよそ50キロ通行止めとなった間に、さらに別の車のスリップなどが相次ぎ、全てが解消するまで、およそ26時間かかる事態に。
こうした事態を防ぐために必要なのが“雪への備え”です。12月19日、東大阪市の車の用品店では…
【スーパーオートバックス 布施高井田 田中大樹さん】
「雪の予報が出てからは、スタッドレスタイヤやチェーンの問い合わせが多くなってきています」
先週末から冬用タイヤやチェーンの問い合わせが増えてきているそうで、今週末に欠品する商品が出てくる可能性もあるといいます。
【冬用タイヤとチェーンを購入した人】
「週末に九州に行くので、寒波でどうなるかなって…今回、どうしても行かないといけないことがあって。タイヤもスタッドレスに変えて、これ(布製のチェーン)も積んでいたら安心かなと」
【スーパーオートバックス 布施高井田 田中大樹さん】
「気温が3度をきると、凍結のリスクが多くなってきます。雨の日の翌日とかは橋の上で多いんですけど、凍結して走れない、滑る状態が大阪でも起きることがあるので、冬の準備はしてもらったほうがいいと思います」
■片平気象予報士の解説
“今季最強寒波”による今後の雪の見通しと気になる年末年始の天気について、片平敦気象予報士の解説です。
――Q:この寒さは今後どうなるのでしょうか?
【片平敦気象予報士】
「今日19日は北部で雪が降っていて、一部の雪雲が流れ込み、京都でも初雪を観測しました。近畿北部は明日20日の午前中にかけて雪が続き、大雪注意報が出ているところもあります。その後いったん雪はやみそうですが、水曜と木曜は雨が降りそうなんです。雨の後はまた次の寒波がやってきて、日本海側はクリスマス寒波となりそうです。週末は大阪の最高気温も7度と、また寒さがやってきそうです」
――Q:帰省や旅行を予定している人も多い、年末年始の天気はどうですか?
「年末年始は例年より寒く、例年より雪が多くなりそうです。先週の予報から状況が変わり、より寒気の影響を受けやすくなるという見立てに変わってきました。年末年始はいつも寒いんですけど、今年はいつもより寒くなりそうですし、雪も多くなってきそうです。普段は積もらない場所でも積もる可能性がありますので、年末年始は移動する機会も多いと思いますが、特に車の運転などは気を付けてください」
■雪道の走行で気を付けたいこと
JAFが、雪道のカーブをチェーンを付けた車でテスト走行した映像があります。時速20キロでは、カーブに沿って安定して走行することができました。
しかし、同じチェーンで時速30キロで走行すると、後輪が滑り出し、カーブを曲がり切れずスピンしてしまいました。チェーンを付けていても、スピードによっては危険が伴うということです。
また、チェーンより雪対策として優れているとされるスタッドレスタイヤも、油断は禁物です。JAFの検証では、平たんな道から勾配20パーセントの坂道を上ることはできますが、坂道の途中でいったん止まり再発進しようとすると、タイヤが空回りし、後ろに滑り降りてしまいました。
同じような状況で起こったトラブルが、2021年12月の彦根市でのトレーラー立往生です。トレーラーはスタッドレスタイヤをはいていて、現場は勾配2~3パーセントほどの緩やかな坂道だったにも関わらず、再発進することができなかったということです。
関西テレビの神崎デスクは、大型車のドライバーには特に気をつけてもらいたいと話します。
【関西テレビ 神崎デスク】
「雪道の立ち往生は多く発生しています。2021年1月にも、福井県の北陸自動車道で1500台ほどが立ち往生しました。スタッドレスを過信しすぎるとこういうことがあり得るので、スタッドレスの上にチェーンなど、準備が必要です。トレーラーは仕事なので雪道を通らなくてはいけないんでしょうけど、大型車が道をふさいでしまうと他の車はよけることができないので、プロのドライバーの方は、一層の注意が必要だと思います」
片平気象予報士は、雪道でのトラブルを避けるために、天気予報を何度もチェックしてほしいといいます。
【片平敦気象予報士】
「大雪が降りそうな場合は、早いときは5日くらい前から注意を呼び掛けます。ニュースはもちろん、気象庁のホームページから確認することもできます。基本的なことですが、しっかり確認してください。その上で、普段運転する機会の少ない人は特に、予定変更も視野に入れてください。やめるのも勇気です。次善の策を考えて行動してください」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年12月19日放送)