かわいい!癒される! SNSで大人気のおじいちゃん・おばあちゃん ありのままの日常が魅力的に映る理由とは 孫との何気ない掛け合いや「推し活」に励む姿がトレンドに 2022年12月08日
今、おじいちゃんやおばあちゃんの日常を配信するSNSが、若者に大バズりしています。人生100年時代に注目されるシニアの生き方を取材しました。
■おじいちゃん、おばあちゃんはかわいい!
<祖母と孫ちゃんねる(TikTok)>
【おばあちゃん】
「うどん食べるか?」
【孫】
「うどんはいいわ…いいよ、2つ3つなんか食べれるでしょ」
【おばあちゃん】
「食べれんじゃん!あの…持ってって!!」
【孫】
「いいよ、うどんは。おばあちゃん食べな?」
【おばあちゃん】
「ある!お願いだで食べてください!」
【孫】
「うんうんうん、分かった。ありがとうございます」
今、TikTokで人気の「祖母と孫ちゃんねる」。おばあちゃんと孫が会話をするだけの動画ですが、フォロワーは23万人を超えています。
シニアの「バズり動画」は、他にも。
99歳祖父との2人暮らしを配信する「あしなっすの1週間/OmO(youtube)」は、約22万人が登録する人気のチャンネル。
沖縄おばーの日常をつづった「南の島のおばーと孫(TikTok)」もフォロワー約36万人と、多くの人に愛されています。
若い世代は、「シニア動画」のどんなところに魅力を感じているのか、聞いてみました。
【高校生】
「かわいいから!」
「面白いしね、しゃべり方かわいいよね」
「ほわほわしてる」
【大学生】
「若い人のかわいいと、『かわいい』が別やから。いろんなジャンルのかわいいが見れて楽しい」
【高校生】
「笑ってたりとか、自分が全力でやれるようなことやってると、なんかいいかなとと思う。そこで元気もらえたりとか癒されたりとかする」
20代の人気TiKToker「マスク兄弟」も…
【マスク兄弟】
「めちゃめちゃかわいいな~って」
「かわいい女の子よく見るんですけど、それ見る感じで『あ!おばあちゃんや~!!』って。『いいね』押しちゃえ!ってなる」
――Q:ライバルじゃないんですか?
【マスク兄弟】
「そんなん負けますよ~おばあちゃん!おばあちゃん!」
若者たちに多かったのが、「かわいい」「癒される」という声。おじいちゃん・おばあちゃんの一生懸命な姿に、キュンとなるそうです。
■“ありのまま”の安心感
なぜ、おばちゃんの動画を投稿し始めたのか、「祖母と孫ちゃんねる」の孫・よしのさんに話を聞きました。
【「祖母と孫ちゃんねる」孫・よしのさん】
「通院のサポートとか、買い物のサポートとかしに毎月祖母の家に行っているんですけど、そのときのいつもの様子を他の家族に『こんなふうにおばあちゃん過ごしてたよ』っていうのが分かるような感じで。家族に見てもらいたいなあと思って、どこかのSNSにちょっと置いてみようぐらいの感覚で、家族への共有のためにちょっと投稿したのが始まりです。ちょっとずつ投稿していたら、1か月たたないぐらいでフォロワーさんが10万人超えて…びっくりしましたね」
もともとは、おばあちゃんの“近況”を家族に報告するために投稿していたというよしのさん。若者にバズった理由は、つくられていない“ありのまま”の安心感にあるのではないかと話します。
【よしのさん】
「SNSとか、作りこんでるものが多い時代になってきていると思うんですよね。加工していないナチュラルな姿をちょっと求めている人もいるのかなとか、実家に帰ってきたような安心感のある投稿に慣れているのかな、なんて思ったりしますね」
――Q:見てる人みんなのおばあちゃんになっている気がしますね
「ちょっと離れた親戚のおばあちゃんぐらいに思ってくださってる方が多い印象がありますね」
■“日常を楽しむシニア”への憧れ
12月4日、大阪市内の公園で開かれたフリーマーケットでは、シニアが出品した商品を手に取る若い人たちの姿が多く見られました。
【10代】
「好きな部類があるので、ちょくちょく来てます」
【70代】
「1人で家にこもるより、外行って若い子と話すのも楽しいと思いますよ。それで元気もらって」
【74歳】
「着物をほどいてリフォームして、洋服に仕立てて…(今着ているものも)自分でリフォームして作った。バックや小物類は(若い人に)買っていただきました」
書店にも、シニアのライフスタイルをテーマにした本がずらりと並びます。
【50代】
「みなさんすごく生き生きされてて、自分もそんなふうに楽しく暮らせるように年をとっていけたらいいなと思います」
出版社の人たちに話を聞くと「人生100年時代」に向け、年齢を重ねても意欲的な「アクティブシニア」の生き方をテーマにした本が多く出版されているそう。
中でも今話題なのが、「89歳、ひとり暮らし。お金がなくても幸せな日々の作りかた(宝島社)」です。
著者の大崎博子さんに、リモートで話を聞きました。
――Q:90歳になられたということで、おめでとうございます
【大崎博子さん】
「すごいですよね…」
11月に90歳の誕生日を迎えた大崎博子さん。自らを「高貴香麗者(こうきこうれいしゃ)」と称しています。
78歳のころにパソコンを覚え、Twitterを始めて、今ではフォロワーが19万人超え。今回のリモートインタビューも、1人でセッティングされたそう。
――Q:おばあちゃんっていうふうに言われたりも…
【大崎さん】
「おばあちゃんもいいとこですよ、90歳じゃ。死んじゃった人いっぱいいるんだから…ははは。何かいつの間にかフォロワーさんが増えていって、大したつぶやきもしてないのに、たまにいいこと言ってるらしいですけど…。(フォロワーで)一番多いのが40~50代ですね」
――Q:人生の先輩にアドバイスを求めてる?
【大崎さん】
「う~ん、そういうのもありますね」
大崎さんのTwitterには金言がいっぱい。
「明日という字は『明るい日』と書きます!」
「歳を重ねたら、風邪ひくな!転ぶな!義理はかけ!」
朝は太極拳に始まり、一日8000歩を歩くことが日課。毎日、大好きなお酒で晩酌し、韓国アイドルの東方神起・BTSの「推し活」を楽しむ。そんな姿が、特に40~50代の間で“憧れ”となっているそうです。
――Q:今日はこの後、BTSを見るんですか?
【大崎さん】
「今日はBTSじゃなくて、多分ネットフリックスですかね。佐藤健くんの『初恋』っていうドラマがすごく良いっていうんで…おとといから見始めて、きのうも2話分を見てるんで」
――Q:「楽しい」を見つけるのがうまいのはなぜなんですか?
【大崎さん】
「私、Macを触ってできるようになったときの感動が忘れられない。(最初は)機械音痴だから触れないって頭しかなかった。でもそんなことないのね、何もしないと見つけられない、好きなこと・楽しいことは。だからまずやってみないと駄目ですよね、なんでも。心が元気じゃないと、体も元気にならない」
■シニアがトレンドをつくる時代へ
なぜ今、シニアに注目が集まっているのでしょうか。シニアの生き方を研究する、「ハルメク 生きかた上手研究所」の梅津所長は、「シニアが世の中のトレンドをつくり出す」と話します。
【ハルメク 生きかた上手研究所 梅津順江所長】
「『トレンドは若者がつくる』みたいな認識があったと思うんですけれども、親とかおばあちゃんがやってることが、意外と今新しいみたいな。意外と賢いよね、スマートだよねっていうふうに、若者の方がちゃんと親世代・おばあちゃん世代を見るようになった。『丁寧な暮らし』をきちんと生活の中に根差してきた人たち、そういった世代なんですよね。なので、『別にSDGsといわれる前からやってますけど?』みたいな感じで。他の世代にも影響を与えていくんではないかと、際立って感じた1年だったと思います」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年12月8日放送)