兵庫で行方不明になったオオサンショウウオ 10年後に滋賀で発見 許可のない捕獲・移動は法律違反も… 専門家は「誰かが持っていった以外考えられない」 2022年12月05日
兵庫県で10年前から行方不明になっていたオオサンショウウオが、100km以上離れた滋賀県で見つかりました。一体、何があったのでしょうか。
国の特別天然記念物、オオサンショウウオ。世界最大の両生類で、3000万年前からほぼ姿が変わらないことから、「生きた化石」とも呼ばれています。
水質汚染などの影響で数が大きく減っていて、環境省のレッドリストでは「絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)」に指定されています。
オオサンショウウオが1000匹以上生息しているとみられる兵庫県三田市の羽束川では、個体を識別するためのICチップを埋め込んで、保護活動が行われています。
しかし、このうち1匹が2012年から行方不明になっていました。そして、10年たったことし6月、およそ110キロも離れた滋賀県甲賀市の野洲川で、行方不明だったオオサンショウウオが見つかったのです。
オオサンショウウオは、元の川へと戻されました。
専門家は、オオサンショウウオが自力でこの距離を移動することはありえないといいます。
【兵庫県自然保護協会 大沼弘一 調査部長】
「ここから上流・下流2kmくらいがあの個体の行動範囲。誰かが持っていった人的な移動、それ以外考えられない。持ち帰って飼育したのが逃げたのかもしれませんね」
オオサンショウウオは許可なく捕獲したり移動させたりすると法律違反となりますが、違反の疑いがある事案は後を絶たないといいます。
【兵庫県自然保護協会 松下紫 副理事長】
「かわいいと感じる人も中にはいるでしょうし、珍しい動物を飼いたいっていう欲を持つ人もいますでしょうし。法律で捕獲自体が許可されていないのでやめてほしい」
オオサンショウウオは固有種消滅の恐れがあり、無許可で捕獲・放流すると、日本固有種と外来種の交雑の原因になってしまいます。
貴重な生き物の保護のためにも、人間のモラルが問われています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年12月5日放送)