「楽しければOK!」 走ってはいけないサッカー、お酒を飲みながら斧投げ、何も考えずにできるチャンバラ… 「苦しい、つらい」を覆す新感覚スポーツの世界 2022年12月01日
今、運動が得意ではない人でも楽しめるスポーツが、続々誕生しています。楽しむことを目的とした、新感覚スポーツを調査しました。
■「やっちゃいけない」でストレス発散
まず吉原アナが訪れたのは、大阪・中央区の地下のバー。壁にはずらりと木製の的が並んでいます。
アメリカでスポーツとして人気の「斧投げ」をお酒を飲みながら楽しめる、「THE AXE THROWING BAR」です。
スタッフの指導の下、吉原アナも人生初の斧投げに挑戦です。
【吉原アナ】
「こういうことですか?…投げられるかな…」
【吉原アナ】
「めちゃくちゃ気持ちいい!ガサ!グシャって刺さったとき、ちょっと『やっちゃいけないよね』みたいな気持ちが解放されたみたいな。新感覚…!」
「ストレス発散」になるスポーツは、他にも。スポーツチャンバラのSASSEN(サッセン)は、内蔵されたセンサーへの衝撃をアプリで読み取り勝敗を判定する、デジタル時代のチャンバラです。
11月27日に開催された関西大会には、小学生から55歳まで幅広い年齢層の人たちが参加しました。
【小学生】
「剣を振り回すのとか外でやったらあかんから、ここでしかできへんから楽しかった」
【20代】
「ちょっとのルールで、他は自由みたいな感じなので。楽しく、あんまり何にも気にせずできる」
スマホとチャンバラさえあれば、どこでも誰でも楽しめるのが魅力のSASSEN。競技人口は3500人を超えたそうです。
■スポーツ嫌いが考案の「ゆるスポーツ」
スポーツが苦手な人にこそ楽しんでもらいたいと結成されたグループがあります。「世界ゆるスポーツ協会」です。
【世界ゆるスポーツ協会 澤田智洋代表】
「僕自身、世界で一番嫌いなのがスポーツでして。体育がすごい苦手だったんですけど、あるときに、もしかしたら『スポーツの方にも責任があるんじゃないか』って気付いて」
AR技術を使って表情筋を動かす競技「フェイスマッチ」や、声で土俵を振動させる紙相撲「トントンボイス相撲」など、競技数は100種類以上。どれも年齢や性別、運動神経に関係なく楽しむことができます。
吉原アナは、スポーツメーカーのミズノとゆるスポーツ協会が3年をかけて競技化した「500歩サッカー」に挑戦することに。
500歩しか歩けないのがルールで、500歩を超えると退場になる競技です。
スマホのアプリと連動させたベルトが歩数をカウント。激しく動くとアラーム音が鳴って、残りの歩数が10歩ずつ減ってしまいます。一方、その場で止まると歩数が回復するので、「休むこと」が勝敗のカギを握ります。
吉原チームと対戦するのは、57歳の大先輩・関純子アナウンサー。
【関アナウンサー】
「カンテレの昭和のアナウンサー関純子です。50代、まだまだ吉原チームには負けないぞ~!」
5人制、5分ハーフで始まった試合は、ゆっくりとした立ち上がり。黒ゼッケンの吉原チーム、青ゼッケンの関チーム、どちらも最小限の動きでゆるやかにボールを追います。
通常とは異なる柔らかな生地でできたボールは大きく弾みはしませんが、パスを中心とした試合運びで、いつしか手に汗握る展開に。
57歳の関アナウンサーも、攻守に大活躍です。
試合終盤、動き過ぎで残り歩数わずかとなった吉原アナは、「頑張れ!俺はもう動けないんだ!」とピッチの真ん中で声援を送るだけの人に…しかしメンバーの活躍で、見事、吉原チームの勝利となりました。
【試合を終えた選手たち】
「普段めちゃくちゃ下手くそなんですけど、みんなが躊躇(ちゅうちょ)して前に前に来ないから、遠慮なくシュートが打てました」
「僕は膝をけがしてるんですけど、接触とかの心配もないので、全速力で楽しめました」
年齢差がハードルにならず、運動が苦手な人やけがの経験がある人でも楽しめる、ゆるスポーツ。「スポーツを好きだと思ってもらいたい」と澤田代表は話します。
【世界ゆるスポーツ協会 澤田智洋代表】
「日本の体育に代表されるスポーツって、どっちかというと息抜きじゃなくて“強烈なバトル”になってしまっているから。『私はスポーツが好きなんだな』、そういうふうに思ってもらえたら」
■スポ根は古い? “ゆる部活”も
学校にも、楽しく活動することを目的とした「ゆる部活」が。
京都府立北桑田高校で2年前に創部された「フリースポーツクラブ」は、生徒たちが人気投票を行い、1年間取り組むスポーツを自由に決めています。2022年度はバドミントンなんだそう。
活動は週3回。月・火曜はバドミントン、金曜日はバスケットボールを練習していますが、参加するかどうかは生徒自身で決めることができます。
なぜ「ゆるい部活」を選んだのか、部員たちに聞いてみると…
【1年生】
「普通に体動かしたいなという意味でフリースポーツに入りました」
【3年生】
「野球部に入ってたんですけど、ちょっと精神的にも肉体的にもきつかったので、退部をお願いして転部しました。(野球部と比べて)リラックスしてできますし、きちきちしてないので、和やかにできてます」
「中学の頃も吹奏楽部とかで全然運動もしてなかったんですけど、汗流してしっかりと運動してるなって感じも出てて、すごく楽しいです」
大会に出場するかどうかも本人次第というゆるさ。この高校では部員数が3番目に多いという人気の部活を考案したのは、徳廣剛校長。「続けること」が大切だと話します。
【京都府立北桑田高校 徳廣剛校長】
「スタートでやっぱり『苦しい』とか『つらい』思いをしたら、なかなか続けられない。将来もスポーツに親しんでほしいなあという思いがありますから、そういうきっかけになれば、本当にこのフリースポーツクラブの値打ちはあるんじゃないかなと思っています」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年12月1日放送)