史上初となる中東で開幕した、FIFAワールドカップ カタール2022。日本代表躍進のカギを握る専属料理人を取材しました。
開幕を前に行われた、日本代表の写真撮影。吉田麻也選手からキャプテンマークを付けられて加わったユニホーム姿の男性は、サッカー日本代表帯同シェフの西芳照(にし よしてる)さんです。
2004年からサッカー日本代表の専属シェフとして、ワールドカップ過去4大会に参加。数々の代表選手のパフォーマンスと健康を支えてきました。
ワールドカップ開催前の11月4日、福島県のお店を訪ねました。
――Q:専属シェフになったきっかけは?
【西シェフ】
「(2004年)オリンピック代表がUAEで、最終戦の負けたら終わりというときに、下痢と嘔吐(おうと)でフラフラの状態で試合に出た」
こんなことが二度と起こらないようにと、当時「Jヴィレッジ」の総料理長を務めていた西シェフに声がかかったといいます。
西シェフがこだわるのは、ビュッフェスタイルでありながら選手たちの目の前で調理すること。
【西シェフ】
「選手の皆さんの食欲が湧くように、匂いも大事。目の前で玉ねぎ炒めたり、にんにくを炒めたりする」
また、選手それぞれの要望にも対応します。
【西シェフ】
「吉田さんはグルテンフリーをやっていて、パン粉が入っているのが食べられない。だからパン粉なしを別で作って。堂安さんはビーツっていうボルシチに入れる野菜、大きい赤かぶみたいな。それが栄養豊富で、朝昼晩で必ず出してくださいと。そういうオーダーは受けました」
3日前はハンバーグ、2日前は西京焼き、前日はうな丼と、試合3日前からメニューを固定している西シェフ。
試合後に必ず出すというカレーには、ある思いが込められています。
【西シェフ】
「家族に電話したり友達に電話したり、選手の皆さん結構忙しいので。カレーだと1皿で(栄養が)全部完結する」
関西テレビのディレクターも、1番人気だというハンバーグを試食させてもらえることになりました。
おいしそうなハンバーグを前に、笑顔で箸を手に取ります。しかし…
【西シェフ】
「なんか箸の持ち方がおかしいですね。ダメっすよそれ!ダメダメ!テレビを見た子供たちがまねしちゃうから」
日本代表のお父さん的存在でもある西シェフ。叱られたディレクターは、箸を諦めてナイフとフォークでハンバーグをいただくことに。
【林ディレクター】
「おいしいです!むちゃくちゃ和風の味付けなんで、海外でこの味が食べられるのはうれしいですね。ご飯が進みます」
【西シェフ】
「ご飯をたくさん食べてもらうためのおかずですね」
カタールはイスラム教の国で豚肉やお酒を入手することができないため、牛や魚などで代用するそうです。
今回で帯同シェフを引退するという西シェフ。選手たちと最後のワ-ルドカップに挑みます。
【西シェフ】
「関西の皆さん、大阪の皆さんにいい報告ができて、大阪で盛り上がっていってもらえるように頑張ってきたいと思います。応援よろしくお願いします」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月21日放送)