ヨットで世界一周へ出航 23歳の青年が日本人「最年少」約30年ぶりの記録更新へ 半年かけて日本に戻る計画 "高校時代からの夢"の実現へ 「太平洋横断」の堀江さんも激励 2022年11月15日
ヨットによる世界一周に挑むため、23歳の男性が兵庫県西宮市のヨットハーバーから出航しました。成功すれば、日本人最年少記録をおよそ30年ぶりに更新します。
■ヨットで日本人最年少 世界一周に挑む
11月12日、大阪湾で、1隻のヨットが大きな夢に向かってゆっくりと進んでいきました。操縦するのは、大分県出身で西宮市在住の、木村啓嗣(きむら ひろつぐ)さん、23歳。
単独で、港に立ち寄らず、食料などの補給を受けずに世界を一周する航海に挑みます。
出航前の11月4日、兵庫県西宮市にあるヨットハーバーで、実際に航海するヨットの内部を特別に見せてもらいました。
【木村啓嗣さん】
「準備中ですけど、船内から見ます?」
全長12メートルほどのヨットには、通信機器や食糧など、航海に必要なものが備えられています。
寝る部屋も案内してもらいました。船の傾きによって、頭の位置を変えています。
【木村啓嗣さん】
「寝ている時は大体こっち方向で寝ているんですけど、船がこっちに傾くとこっちにしています。逆に傾いたら頭の位置を逆にしています。ゆらゆら揺れているので、ゆりかごみたいなハンモックの上で寝てるみたいな」
木村さんが大切にしているお守りも見せてくれました。ヨット部だった高校生の時に作ってもらったものです。
【木村啓嗣さん】
「このお守りは、どんな効果があるか分からないですけど、持ち歩いてる大事なものです」
■高校卒業後は海上自衛官に…しかし夢はあきらめきれず
高校時代からヨットに乗り、いつしか、ヨットで世界一周をするという夢を持つようになった木村さん。
高校卒業後は、海上自衛官として潜水艦で勤務しましたが、夢をあきらめきれず、ヨットを通じて知り合った現在勤めている大阪の会社の社長に直談判。何と、会社の事業として、世界一周に挑戦することになりました。
【木村啓嗣さん】
「風も波もない落ち着いた日の夜は星空が海にも映るので、独り占めするのが楽しみです。できれば独り占めにとどまらずに、どうにか写真とか動画を撮ってきたいと思っているのですが…どこまでうまくいくか」
計画では、太平洋を南へ下り、南アメリカ大陸とアフリカ大陸の南の端を通過、およそ半年かけて日本に戻る予定です。成功すれば、26歳で達成した白石康次郎さん以来、日本人最年少記録を、およそ30年ぶりに更新します。
取材中、木村さんのもとに、たまたまやってきたのが、海洋冒険家の堀江謙一さん(84歳)です。堀江さんはことし6月、83歳の世界最高齢で単独無寄港での太平洋横断を果たすなど、木村さんにとって憧れの存在です。
【堀江謙一さん】
「ハワイの東側を通ると(コースに)出ているんですけど、地図を見ると西側を通っているように見える」
【木村啓嗣さん】
「ハワイ近辺を通るんですけど、低気圧の関係でもっと南米よりになっちゃうかと思います」
【堀江謙一さん】
「どっちでも大差ないとは思うんですけどね。あのコースが一番いいかなと僕も思っているんでね」
堀江さん、木村さんに「頑張ってください」と声を掛け、握手を交わしました。
■いよいよ出航! 長年の夢かなう 大分から家族も見送りに
そして、迎えた出航当日。大分から家族が駆け付けました。
【木村さんの姉・咲貴さん(29)】
「啓嗣くん、帰って来たら何を食べたいですか。用意して待っておきます」
【木村啓嗣さん】
「(航海に)出ている時に、思い出す味が食べたくなります。陸にいる間に『帰ってきたら何食べたい?』って聞かれても分かりません。なので、姉には(航海に)出ている最中に電話で伝えておきます」
出航前の、家族とのひと時。抱き合って声をかけ合いました。
【木村さん】
「行ってきます」
家族や会社の仲間たち数十人に見送られながら出航しました。
航海の様子は、インスタグラムで発信することにしていて、順調にいけば、2023年5月のゴールデンウィークごろに西宮に戻ってくるということです。
(2022年11月14日放送)