冬を前に、各地でクマの出没情報が相次いでいます。万が一遭遇してしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
■京都では男性が襲われけが
11月10日午後5時30分ごろ、京都府伊根町に住む60代の男性が自宅のシャッターを開けたところ、親子とみられるクマ3頭と遭遇しました。
棒で追い返そうとした男性は、顔と腕を爪で引っかかれ、顎を5針縫うけがをしました。
クマは山の方に逃げたとみられます。
【クマに襲われた男性】
「四つんばいになってたのが、こう(急に立ち上がった)。あっという間やで」
周辺ではこれまでにも、クマによるとみられる柿の木の引っかき傷やふんが見つかっていて、町は注意を呼び掛けています。
■兵庫県は3年ぶりに狩猟を解禁
兵庫県では、11月15日からツキノワグマの狩猟が3年ぶりに解禁となります。その背景にあるのは、ツキノワグマの増加です。
兵庫県では、ツキノワグマの生息数が100頭以下になり、絶滅の恐れがあることから、1996年から20年間にわたって狩猟が禁止されていました。
しかし、絶滅の危機を解消するまでに生息数が増えたとして、5年前に狩猟を解禁。3年前に一度禁止されましたが、2022年に入り、隣接府県を含む東西の地域で推定生息数が800頭を超えたため、再び解禁されることになりました。
兵庫県佐用町では、15日の狩猟解禁に向けて準備が進められています。
【佐用町猟友会 樫本誠一さん】
「佐用町というとこは餌が豊富なんよ。どんぐりとか柿が人家の横にたくさんあるでしょ、それを食べにくる。今の時期は昼も夜も活動している。10月の半ばぐらいから(目撃情報は)10件は入ってるね。町役場にはもっと入ってると思う」
■犬が襲われる被害も
佐用町では10月、衝撃的な出来事がありました。畜産業を営む田邊さんの愛犬が、死んでいるのが見つかったのです。
【田邊美代子さん】
「2カ所に血のりがあって…ここに犬が。見たらここから下が皮むけて、ひっくり返したらはらわたが出ていた。そのときはクマって分からなくて、車にはねられたと思っていた。でも車にはねられたら、はらわた食わんでしょ」
田邊さんは、古い牛舎で3匹の犬を番犬として飼っていました。10月14日の早朝、3匹のうち1匹は死骸で発見、もう1匹は行方不明に。残った1匹も大けがを負いました。
近くに数カ所クマの足跡があったことから、襲われたものとみられています。
【田邊美代子さん】
「まぶたの奥に焼きついて…つらい。(首輪)抜けるほどの力で引っ張ってる。よう仕事する子やったから、ワンワンほえたんやろね…紀州犬、猟犬やから」
生き残った犬の腹には、1カ月近くたった今も、傷痕が残っています。
【田邊美代子さん】
「骨まで達していたんやって。(クマが)爪でガッと持ち上げたんですって。で、回転してドサッと落ちて…それっきり、怖いから震えてて助かったみたい、この子。寂しいらしいわ、こんなに甘える子じゃなかったんやけどね」
田邊さんは、クマに襲われたとみられるその日のうちに、防犯カメラと電気柵を設置。地元の猟友会も近隣に防犯カメラを設置したところ、およそ1週間後、クマの姿が確認されました。しかし11月に入っても見つかっておらず、警戒が続いています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月10日放送)