イノシシに襲われ6人が負傷 「この辺でイノシシ出たという話は聞いたことがない」 防犯カメラのイノシシは落ち着きなく行ったり来たり 市街地になぜ? 遭遇時の対策は? 専門家に聞く 2022年11月09日
11月9日午前、徳島県小松島市でイノシシが出没し、小学生など周辺の住民6人が相次いで襲われてけがをしました。
イノシシは、9日午後5時の時点でも捕まっていないということです。
■街中に現れたイノシシ
9日午前7時半ごろ、徳島県小松島市のショッピングセンターの防犯カメラに、イノシシの姿が捉えられました。1頭のイノシシが何かを探すかのように、車の周りを回ったり、行ったり来たりしています。
店や住宅が立ち並ぶエリアに突然姿を現したイノシシに、小学生2人を含む男女6人が次々と襲われました。
最初の通報があったのは、午前7時15分ごろ。付近に保育園もある住宅街で、40代の女性と60代の男性が足などをかまれました。
【けがをした女性の母親】
「『イノシシにかまれた』って言うから、『誰が?』って聞いたら『私が』って言うんでびっくりして。縫うくらいの深い傷が3カ所と、浅い傷が4カ所くらい」
その後、イノシシは通学中だった小学1年の男子児童に体当たり。さらに、最初の通報があった場所から1キロほど離れたホームセンターの近くで、小学6年の男子児童など3人が相次いで襲われました。
【襲われた男子児童(小学6年)】
「犬かなと思ったらイノシシで、襲われました。太ももをかんできて、腕もかまれて、振り払って逃げて、(イノシシは)違う男の人に行きました。軽傷かと思ったけど、後からヒリヒリしてきて痛いです」
合わせて男女6人がけがをしましたが、いずれも軽傷だということです。
そして、最初の通報からおよそ15分後、近くのショッピングセンターの屋上で、たまたま近くにいた人がイノシシを発見しました。
駆け付けた警察官が追い込みましたが、イノシシはパトカーに体当たりするなどして逃げていったということです。
イノシシは午後5時時点でまだ見つかっておらず、小松島市では猟友会や警察官などが巡回にあたり、注意を呼び掛けています。
■現場から最新情報
【記者リポート】
「私は今、イノシシが目撃された小松島市内のショッピングセンターの屋上にいます。目撃者の男性によると、イノシシは地上と屋上をつなぐスロープから上ってきて、しばらく屋上をうろつきました。スロープの近くに止まっていたパトカーの方に走っていき、パトカーに接触。そのままスロープを下りて、出口へ向かっていったということです」
「屋上には血の痕のようなものもあります。イノシシが目撃された現場には同じような血の痕が残っていて、目撃者の『イノシシは鼻の辺りから血を流していた』という証言もありますので、イノシシ自身がけがをしている可能性も考えられます」
「イノシシが最初に発見された橋の近くには保育園もあって、お子さんを迎えに来たお母さんは、『まだ見つかっていなくて怖い』と話していました。今は警察や地元の猟友会の方々が捜索を続けていますが、これまでにイノシシが見つかったという情報は入ってきていません。近隣の住人の方にインタビューしましたが、この辺りでイノシシが出たという話は聞いたことがないということで、『びっくりした』という声が多かったです。また、襲われた方の中には犬を連れていた方もいますが、犬を連れているとイノシシが敵とみなして襲ってくる可能性があるということで、小松島市は『犬の散歩などは極力控えてほしい』と呼び掛けています」
■どうして街中にイノシシが? もし遭遇したら
今回の出没について、イノシシの生態に詳しい兵庫県立大学の栗山武夫准教授は、「12月の発情期を前にエサを探して行動が広がる時期なので、注意が必要」と指摘します。
しかしイノシシの行動には、季節的な変動がそう多くないそうで、年間を通して見つかるケースはあるということです。
イノシシと遭遇した場合は、次のような行動を取ると良いそうです。
・刺激せずその場を立ち去る(大声を出したり威嚇せず、ゆっくり後ろに下がる)
・物陰に隠れてイノシシの視界から消える
・買い物袋を放す(食べ物を狙っているので、買い物袋を持っているとついてくる可能性がある)
(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月9日放送)